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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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女王様



ドラツー内、リビング。


驚いていてるアキナさんにドラツーの事を説明して、それから王妃様との再会。


「じゃあ、セルナを届けるためにわざわざ来てくれたの?」

「王妃様よ?その子」

「え?お母さんそれホントなの? ちょっとセルナ! ちゃんと説明しなさい」

王妃様が叱られて小さくなってる姿は初めて見るね。 (うん、新鮮…)


王妃様もこうなるのをわかってたからか、リビングにはお祖母ちゃんとお祖父ちゃん、母さん。それと当然アキナさん。

あとは私とアリアさんだけ。 人払いしてほしいって頼まれたからね。 (ティーはこっそり!)

私達はセットだし。 (うんー!)


「お祖母様、申し訳ありません…」

「全くもう! 昔からセルナはヤンチャばっかりして! 勝手に冒険者登録してでかけたり…」

アキナさんのお説教はしばらく続き…。

「もう許してください、お祖母様…私にも立場が…」

「知らないよ! 私にとっては家族なんだから。どれだけ心配したと思ってるの?」

これはアキナさんが正しいと思うなぁ…。


アリアさんは何も言わず立ち尽くしてる。きっと見なかった事にするんだろうね。有能な騎士様だし。

王妃様がチラチラと私を見るのだけど、私では流石に止められない。母さんとかじゃないと…。

母さんを見ると頷いてくれた。 任せよう。


「アキナ、それくらいにしてあげて。 王妃様はアクシリアス王国からの正式な使者でもあるんだよ?」

「お姉ちゃんがそう言うなら…」

ホッとした様子の王妃様がアキナさんへ手紙を渡す。

「アクシリアス王国、国王陛下からの書状です」

「…たしかに受け取りました。後で改めて確認します」

「ありがとうございます」

大事なお手紙だったと思うけど随分とあっさり手渡したなぁ。まぁ家族だからそんなものか。


お祖父ちゃんは相変わらずニコニコしてて本当に何を考えてるのかわからない。

「お父さんも久しぶりだね」

「うんうん、アキナも元気そうで良かったよ」

あー…ハグしてるんだけど、お姉ちゃんに抱きあげられた弟。くらいにしか見えねぇ…。 (ママ口調!)

だって! 頭が理解を拒んでるんだよ! (ママも頭硬いの)

くっ…。言ってくれるじゃない。




王妃様のお説教も終わり、ようやくうちの家族もリビングへ呼んで自己紹介。


「へぇ〜。随分と多種族が集まってるね。フェンリルの獣人はうちでも見たことないかも」

そう言ってアキナさんはレウィを抱き上げて見てる。

少し怯えてるからやめてあげてほしいなぁ。

「アキナさん、大切な家族なのでそれくらいにしていただけると…」

「あっ、ごめんね。 レウィ君だっけ?君は街へ出たら獣人の娘達にモテるよー」

「わぅ?」

よくわかってないのか降ろしてもらったレウィは首を傾げてる。

その純粋なままでいて欲しい。

魔力の高いレウィは本能に忠実な獣人種には魅力的らしい。

確かドラゴンもそんなこと言ってたね。

どちらも魔力には敏感みたいだし。


「そっちの子はドラゴンだったね。ドラゴンの旦那を探してるなら紹介できるよ?」

「え? いえ私はもう相手は決めてるから大丈夫よ!」

「そう、残念。 強い子もいるんだけど」

リアの相手?里に許嫁とかいるのかな…。聞いた記憶がないんだけど。 (……はぁ)



「エルフのシエルちゃんに、お姉ちゃんの子供のユウキ君と、未亜ちゃん。 うん! 覚えたよ」

「あの…私は本当の娘では…」

「未亜ちゃんは、私の親友の子供でね。ちょっと事情があって引き取ったの。今は私達の大切な娘よ!」

母さんが未亜の言葉を遮る。さすが母さん。

「そうなんだ?私も引き取った子供は沢山いたから同じだね」 


アキナさんは獣人や人族、それにエルフが入り乱れて争いが続いていたこの地域を見兼ねて平定した。

その時に孤児だった子供たちを種族問わず、何人も引き取って育てたらしい。

その家系の人達が今も領内のあちこちを治めてるんだとか。優しくて素敵な女王様だよね。 (魔王の時のママも!)

そうだったならいいけどね。自分ではわからないから…


「貴方がお姉ちゃんの旦那…? ふ〜ん…まぁお姉ちゃんがいいならいいけど」

「夕夜です、よろしくおねがいします」

「よろしくね、でもお姉ちゃんを泣かせたら許さないから」

「はい…」

まず強さで判断してしまうドラゴンからすると父さんは…。 (ポンコツ!)

ティーまでやめてあげて!? (はーい!)



「それからお母さんが酷いことして泣かせたアスカちゃんに、その子供のティーちゃんね。元は魔法なんだっけ…初めて見たよー」

「それは謝って許してもらったから! もう言わないでよ…」

母さんがアキナさんに初対面の時の話をしたせいでお祖母ちゃんがまた責められることに…。

ティーは撫ぜてもらって嬉しそうにしてる。 (優しいドラゴンなの!)

そっか、ティーがそう言うなら安心だね。ティーはその辺鋭いから。


「アスカちゃんはこの魔力量だもんね。私も知らずに出会ってたら即逃げてるよ! 勝てないもん」

相変わらずひどい言われよう…。

「それはそうよ。私と同等だし、アキナでは到底敵わないわよ」

「むぅ…そうなんだけど! これでも前よりは強くなったんだから」

「確かに…呆けてたナツハよりは強くなってるわね」

「うそでしょ!?私、妹にも負けるの?」

「ほんと?お姉ちゃん、後で模擬戦しよ?」

「…いいよ。また前みたいに泣かせてやるから!」

「泣くのはどっちかしらね?」

そう言ってふふってお祖母ちゃんは笑ってる。


ドラゴンは挨拶代わりに拳を交えるのだろうか…。 

なんという体育会系。物騒すぎる。 (ママも誰かに挑まれたりして…)

フラグみたいなこと言わないでよティー! (てへっ)




「そろそろ準備もできてると思うから、アスカちゃん、あの塔へ向かって」

アキナさんがそう言って窓から見える塔を指差す。

よろしくね、ティー。 (らじゃー!) 


ドラゴライナ王国の王都であるこの街は、塔を中心に円形にぐるっと分厚い城壁で囲まれていて、その中に居住のための建物から倉庫、畑や牧場など街のすべてがあるらしい。

広さで言うならアクシリアス王国の王都よりずっとずっと大きい。

周辺の魔獣が強いから、戦えない人達を守るためだってアキナさんは言ってた。



「ここの冒険者はアクシリアス王国の冒険者よりも確実に強いわよ。戦う相手が相手だからね」

王妃様がそう教えてくれる。

「元々の身体能力が高いのもあるけどね。ドラゴンの血を引く者や獣人種が多いから…」

「なるほど…ちょっとギルドとか行ってみたいな」

「ユウキが行くなら俺も一緒に行くか」

ユウキと父さんの会話に母さんが複雑そうな顔をしてるね…。無理もないけど。


「二人とも行くのは止めないけど、母さんをちゃんと説得してからにしてね」

「そうだな…」

「え?姉ちゃん僕も?」

ユウキは大丈夫だとは思うけど。

「一応ね?」

「わかったよ」


「んー?冒険者登録するなら試験の手配しようか?」

話を聞いていたアキナさんが二人にそう言う。

「おねがいします」

「そうだな、試験か…久しぶりだぜ」


母さんはアキナさんと何やら話してるね。私はこれ以上口出さないほうが良さそう。

後は父さん次第。


「ママ、塔の近くまで来たよ!」

「ありがとねティー。 アキナさんどうしましょう?」

「塔の近くにドラゴン専用の発着場があるんだけど、ティーちゃんわかる?」

「うん! 見えたー」

「そこの王冠マークがあるところへ降りてもらえればいいよ」

「はーい」

王族やその関係者専用のスペースなのかな。



アキナさんの指示でドラツーはドラゴンの発着場へ降りた。

「アスカちゃん、降りたいから扉開けてー」

「あ、はい!」

私しか開けられないんだったよ。 いや、ティーは開けられるか。 (扉だけはママの指示がなきゃ開けないの! 危険が危ないの)

じゃあ開けてもらえる? (らじゃーせんちょー!)


うちの専属パイロットは危機管理がしっかりしてて安心だね。 (当然!)







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