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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第四章

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領空侵犯?



「ドラツーはドラゴライナ王国へ向けて出発しますー。しばらく空の旅をお楽しみくださいなのー」

ティーの船内放送の後ドラツーは飛び上がる。


「ティーちゃん、あの山を越えて真っ直ぐ飛んで」

「はーい!」

母さんが指差したのはお祖父ちゃんがいた山。あの山の洞窟に住んでいるらしい。

まさかリアの実家みたいな、まんま洞窟じゃないよね?お祖父ちゃんは一応元人間だし違うと思いたい。


ドラゴンなら1日程でドラゴライナ王国領へ入れるらしい。

ドラツーもそれくらいで飛べばいいね。 (らじゃー!)

「ねえ母さん、ドラツーでドラゴライナ王国領へ侵入して大丈夫なの?」

「問題ないよ?ある程度近くへ行けば私やお母さんの魔力にアキナが気がつくと思うし。だからドラツーの姿は見えるようにしておいてね」

「それはそっか…」

ドラツーを、完全に偽装フリーな状態にしておく。。


「それにあの国は人化したドラゴンもいるし、ドラゴンハーフとかも多いからドラゴンを見たからって驚いたりはしないよー」

さすがはドラゴンハーフの立ち上げた国ってとこなんだろうか。

ただ、私も、母さんも忘れてた。

ドラゴンが魔力に敏感で、私やお祖母ちゃんの魔力が桁違いだってことを…。




「ママ、ドラツーにいっぱい誰かが向かってきてるの!」

翌日のお昼過ぎ。食後にリビングで寛いでいたんだけど、ドラゴライナ王国の領空へ入って暫くしたところでティーからの報告。

ティーが任せてって言うから私は探索を切ってたからわからなかった。 (ママの負担軽減!)

ありがと、助かるよー。 (〜♪)


「私やお母さんが来たから迎えに来たのかな?」

母さんはそう言うけど…、ティーの慌ててる感じからそうじゃないよね。 (囲まれたの!)

私も確認すると確かにぐるっと囲まれてるなぁ。歓迎されてる感じではなさそう。


不法侵入したから?領空侵犯とかで怒られるのかも。どうしようかな…。

ティー、取り敢えずドラツーを止めて。 (あい)

「アスカちゃんどうしたの? あら、囲まれてるわね」

「はい、ちょっと発着場へ出てみます」

「私も行くわ」

「じゃあ私もー。知り合いがいるかもだし」

「みんなはドラツーからでないでね。 ユウキ、ここは任せたよ」

「了解、気をつけてね」

船内は大丈夫だとは思うけど、念の為。


私と、母さん、お祖母ちゃんの三人で発着場へ上がる。

王妃様はここの王女様なんだし来てくれたら話が早いかなって思ったんだけど、断固拒否された。

家出してるからかな?


「な、何者だ!! 所属と我が国へ侵入した用件を言え!」

怯えながらも槍や剣を構えてるのはドラゴンハーフ姿の…多分、兵士さん達。

お揃いの赤い鎧を着てるし。

「アキナは私をこんな迎え方するのかしら…お仕置きが必要ね」

お祖母ちゃんがぼそっと怖いことを言ってる。


「待ってー。私アキナの姉です! ナツハです! 前にも何度かお邪魔したんだけど誰か知らない?」


「おい、知ってるか?」

「いや…聞いたことがない」

「じゃあ、陛下の親族を名乗る不届き者!?」

兵士さん達、めちゃくちゃ警戒心上がっちゃったんだけど…。 って…大きな魔力が近づいてくるな。これって…


「来たわね」

「うん、アキナだ!」

やっぱり…。


「や、やめんか! バカ者共ー! 母上と姉上に向かって!」

そう叫びながら飛んできたのは白銀のドラゴン。 あれ?なんだかフィアに似てる?


「アキナ!」

「どういうことかしら?これがアキナの歓迎なの?」

「ち、ちがいますっ!  お前たち、母上は初対面だとしても、姉上を知らんのか! 蒼白の巫女だぞ!」

「蒼白の巫女様!?」

兵士さんがザワザワしてるな。母さん有名人か…。

「このバカ者共が! 早く武器を収めんか!!」

ドラゴンのアキナさんに叱られて取り囲んでいたドラゴンハーフの兵士さんたちは慌てて武器を収める。




ドラゴンから人の姿になったアキナさんが私達の前に降りてくる。

銀色な髪は同じだけど、ショートヘアだし、顔はお祖母ちゃんよりはお祖父ちゃんに似てるかも?雰囲気が幼いし、背もお祖母ちゃんより低く、母さんくらい?

とは言ってもお祖父ちゃんのアレは特殊だからなぁ…。


アキナさんに続くように兵士さんたちも降りてくる。

「申し訳ありません母上、姉上」

そう言って跪くアキナさん。兵士さんもそれに習う。

「いいよー。久しぶりだねアキナー」

「説明してもらえるかしら…?」

お祖母ちゃんだけは圧がすっごい。


「はいっ! 魔力で母上と姉上なのはわかっていたのですが、お迎えの準備の指示を出してる間に兵士たちが恐慌状態になってしまって…。止める間もなく飛び出していってしまい…」

「自分の部下でしょう?」

「返す言葉もありません…」

「お母さん、それくらいで。何も言わずに来た私達も悪いんだから」

「それもそうね。 久しぶりね?アキナ。全く顔を出さない薄情な娘だけど!」

お祖母ちゃんがチクチクと口撃してるからアキナさんがビクビクしてる…。

兵士さんたちも魔力が乱れまくってるなぁ。 あっ、数人気を失った…。 (かわいそ)

お祖母ちゃんの威圧はヤバい。 (ママのも…)

……


「母上、そろそろ威圧をやめていただけると…部下が怯えています」

「無礼な態度だったのだから仕方ないわよ。 まぁでもアキナに免じて赦しましょう」

「ありがとうございます母上…」

お祖母ちゃんが威圧を止めたのがわかる。兵士さんたちもほっとして力が抜けたようになってまた数人気を失った。



「姉上は以前にも来てくれましたけど…母上は初めてですね。何かありましたか?」

「私は別に用事はないわ。 ただ、孫たちを連れて遊びに来たってところかしら」

アキナさんが私を見る。

「初めまして。母さ…えっと、ナツハの娘、アスカです…」

「姉上の…。それにしても魔力が母上と同等!? 姉上流石ですね!」

「いやぁ…私はなにもしてないんだけどねぇ」

そう言って笑う母さんは、それでも嬉しそうに見えた。


「あ、そうそう! アキナの家族も連れてきてるよ」

「ええ、魔力でわかります。セルナですね…。勝手に飛び出していった問題児ですよ!」

ドラツーの偽装をしてないから、船内の王妃様の事も把握できてるのか。

それにしても問題児…。王妃様、言われてますよ?



詳しい話はドラツー内でする事に。

「お前たちは戻って歓迎の仕度を手伝ってこい、最優先命令だ。 後、ドラゴンの発着場に場所を確保しておけ」

「は、はいっ!」

「我は母上達とそこへ向かうからな」

「護衛は…」

「必要あると思うか?」

「い、いえ。それでは失礼します!」

そう言って兵士さんたちはみんなドラツーから飛び立っていった。

何人かは気を失った同僚を抱えて…。



「お母さん、お姉ちゃん。久しぶりー!」

「アキナも元気そうで良かったよー」

そう言って、母さんとハグしてるアキナさん。唐突にキャラが変わるからびっくりした。 (王妃様みたい…)

ティー、王妃様には言ったらだめよ? (はーい)


「…アキナ、一度も顔を出さなかった訳と、今回の事は後でゆっくり話があります」

「ひぃ…お母さんごめんなさい! 国を纏めてからは忙しかったし、トップが国を空けたりできないんだよー!」

それは確かに…。陛下も同じこと言ってた。


「お母さんも寂しかったならアキナに会いにこればよかったのに、来なかったんだから同じでしょ?そんなに遠くないんだから」

「…ふんっ」

お祖母ちゃんも寂しかったから拗ねてるだけか…。 (似たもの親子)

だね。無事再会できてよかったよ。 (無事なの?あれで…)

ちょっとしたトラブルは毎度の事だよ。 (ママがたくましくなった)

なによそれ…。





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