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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第三章

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立つドラゴンあとを濁さず



ふぁ〜。 明け方にひどい目にあったからまだ少し眠い。みんなもまだ寝てる。



二人はどうしたのかなって心配になってドラツーの中を意識下で探したけどいない。じゃあまだ外?

ドラツーの窓を開けて確認すると、地面に母さんが転がってて、お祖母ちゃんは敷いたままになってたラグで寝てる。

取り敢えず母さんを確認しないと…。



外へ出ると地面があちこち抉れてるし、木々も倒れてる。

二人とも何したの…?


母さんは渡してあった魔道具に貯まってたはずの魔力も尽きてて、本人の魔力もギリギリ。

それで気絶したのか…。 魔道具のお陰で怪我はないけど泥だらけ。

流石に可哀想だから抱き上げてクリーンをかける。


ドラツーの両親の部屋へ運んでベッドへ寝かせた。

父さんもまだ寝てるね。



もう一度外へ出て、森を直しておく。

せっかくキレイな湖畔が台無しだよ…。


「アスカちゃん…ありがとね。起きたら私がやるつもりだったのだけど」

「お祖母ちゃん、おはよー。起こしちゃった?」

「魔力がすごかったからさすがにね。 そこに転がってたナツハは?」

「部屋へ運んで寝かせたよ。魔力もギリギリだったから」

「…そう、ありがと。 あれであの子も吹っ切れたでしょ」

「わざと怒らせて戦ったの?」

「そんなつもりは無かったのだけど…。イラッとしてつい?」

「母さんもかなり煽ってたもんね」

「ほんとよ…思いだしたらまた腹が立ってきたわ」

「もうやめてね? お祖母ちゃんと母さんが戦うところなんて見たくないよ…」

「…ごめんなさいね。気をつけるわ。 それにしても親子ゲンカも随分と久しぶりだったわ〜」

背伸びをしつつそんな事を言ってるお祖母ちゃんは汚れ一つない。 


お祖母ちゃんもアクビをしながらドラツーの部屋へ戻っていった。

これは出発が遅れるなぁ。


ドラゴライナ王国の場所を把握してるのは母さんだし、その母さんはダウンしてる。


私はブランチの準備でもしておこうかな。

多分みんな起きるの遅くなるでしょうから。




倉庫へいって食材を確保。でっかいじゃがいもに、赤いピーマン、卵もあるね。

足りないものは私のストレージにあるから、これで作れるねオープンオムレツ。


耐熱の大きなお皿に、厚めにスライスして蒸したじゃがいもを並べて、ミルクと混ぜた溶き卵を流し込む。

トッピングに赤いピーマンと、手持ちにあった ほうれん草とブロッコリーを下茹でしてのせる。

最後に細切れのベーコンとチーズ。

それをオーブンで焼いていく。 多めに作ってるから足りると思うけど…。


焼いてる間にソースを何種類か作っておく。


焼けるまでキッチンカウンターでのんびりしてようと思ったら、クッキーが夜に母さん達が倒した魔獣の中から食べられる魔獣やミノウシを運んできてくれたって。

昨日と同じ場所にもってきてくれたらしい。


ドラツーをでて、チョコの方へ行くと、山のようにミノウシ達が…。

「ありがとね、大変だっでしょ、運ぶの」

クーー!

クッキーとチョコも昨日のが美味しかったから、一緒に手分けして運んだのね。

じゃあ早く捌いて、頑張ってくれたクッキーとチョコにご褒美あげないと。



捌いた先からストレージへ仕舞ったんだけど…すっごい量。

ドラゴライナ王国へのお土産にもなりそう。


昨日と同じように処理した物と炙った骨つき肉を渡してあげる。

よっぽど美味しかったんだね。めっちゃガッついてるし…。


食べられない魔獣はチョコがブレスで処理して埋めてくれたんだとか。

母さん達が戦いの後、処理をしなかったのをやってくれたんだから感謝だよ。

ちゃんと魔石だけは持ってきてくれてるし。 


あぁ…昔もそうだったね。


私が魔道具で使うからってみんなちゃんと集めてきてくれるんだから。 ありがたいよ。

食べてるニ匹を撫ぜてあげる。こうしてると懐かしくなるなぁ。

私の姿は変わったけど、それでもあの時から変わらないものもあるんだって嬉しくなる。



そのままラムネの様子も見に行った。

私が湖に近づくと顔を出してくれる。

久しぶりに水を堪能して上機嫌だね。

水がなくても平気だし、浮けるから地形は関係ないのだけど、それでもやっぱり泳げるほうが喜ぶ。

海竜とは言うけど海水しかダメなわけじゃないし。

まだ出発まで時間はあるからのんびりしてていいよ。

嬉しそうにまた潜っていった。


キャンディはでてくる?

召喚したら素直に出てきた。

「ますたぁ? どうしたの〜?私に抱かれる気になった〜?」

「違うから! 今日ここを出発すると次はいつみんなを出してあげられるかわからないから」

「あぁ〜おおきいもんね〜。私はいつでも呼んでいいよ〜?」

「昨日拒否したじゃない…」

「…そういう時もあるわよ〜」

キャンディはしばらく私にハグしたりスキンシップした後、他の召喚獣の子たちに会いに行った。


オーブンも止まってるだろうし、私はキッチンへ行かないと。誰か起きてるかもだし。



ドラツー内へ戻ると母さんとお祖母ちゃん以外はキッチンに集合してた。 (さっき起きたのー)

そっか、お腹空いたでしょ? (うん! いいによいでみんな集まってきたのー)

そっかそっか。じゃあご飯にしようね。 (わーい!)

「お姉ちゃん、オーブン止まってるよ! 開けてもいい?」

「開けてよかったのに。出来てると思うよ」

「アスカ、今日は何を作ったの? 楽しみだわ!」

リアとティーはカウンターでソワソワしてるね。


未亜がオーブンを開けると更に香りが広がる。

「なにかしら…また食べたことない物の気がするわ」

大きなお皿で3つ焼いたから、切り分けてお皿に乗せる。それを未亜がみんなに配ってくれる。

「やっぱり! 初めて見るわ。アスカちゃんこれは?」

王妃様も興味津々。

「オープンオムレツです。お好きなソースを付けて食べてください」

「前に頂いたピザに似ていますが、こちらも大変美味しそうです」

そういえばアリアさんの実家で出したね、ピザ。 覚えててくれたんだ。


「姉ちゃんのオムレツ! これも美味いんだよなぁ」

「そうなのか?楽しみだぜ…娘の手料理なんてそれだけで絶対旨いだろう」

父さんはせめて食べてから判断してほしい。


お祖父ちゃんに至っては涙流しながら食べてるんだけどどうしたの!?

「あぁ…久々にちゃんとした料理…しかも可愛い孫の手作り…」

あぁ…ドラゴンって料理しないんだっけ。お祖母ちゃんもそれは同じなのか。

ずっと森に籠もってたら母さんみたいに料理を勉強したりもできないもんね。

…お祖父ちゃんはずっと何食べてたんだろ…。


「ママ、コレんまぁい! おかわり!」

ティーにも好評だね。

「アスカ私も!」

「お姉様、うちも…」

「主様、ボクも!」

「まだあるから大丈夫だよ」

元気に食べてくれるうちの子たちが可愛いわ。


「お姉ちゃんレシピ教えてほしいな」

「これも簡単だから未亜ならすぐおぼえれるよ」

最近未亜は、メモ帳に母さんや私が作る料理のレシピを書きとめてるもんね。


母さんとお祖母ちゃんの分は取り分けてストレージに入れておいた。なくなりそうだし…。


「父さん、母さんはどうしてた?」

「んっぐ…まだ魔力が回復しないのかぐったりしてたな、何かあったのか?」

明け方に帰ってきてからの出来事を話してあげる。

「俺が気を失ってる時にそんな事が…」

「姉ちゃんが二人を止めてたんだよ」

「それはすまん…」

どちらにしても父さんでは止められないだろうからいいけどね。


ボロボロだった剣も直せるなら直してほしいって事だったから後で修理しないと。




お昼を過ぎてから、ようやく起きてきた母さんとお祖母ちゃんにもオムレツを出してあげて食べてもらった。

お祖母ちゃんは、初めて食べたけど美味しいって言ってくれたし、母さんには褒めてもらった。

寝てスッキリしたのか二人とも険悪な雰囲気はもう全く無い。



そろそろ出発だから湖畔周りの片付けと、クッキー達を送還。

キャンディはチョコの羽毛に潜り込んで寝てたからそのまま送還した。



ドラゴライナ王国へは母さんが案内するからティーとコクピットに座ってる。

「ここ座ってみたかったんだよー。すごいねこれ!」

「ママがね、ティーの為につくってくれたのー!」

「そうなの?良かったわねー」

私だけは一応ついてきたんだけど、二人に任せても良かったかも。 (ママもいてくれたほうがいいの)

ふふっ、そっか。 じゃあまたよろしくね?専属パイロットのティー! (任されたのー!)









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