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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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強制力も万能ではありませんでした


「ぁー…強制力やっばいわぁ」 (でしょ?)


朝起きて最初のセリフがそれだった。

昨夜、寝る前に学校やこれから着る服をどうしようかと心配になった。

でも疲れてたし? 考えたくなくて先延ばしにして寝たよ? うん…でもさ?


「なんで昨日着て寝たパジャマまでワンピースに変わってるんだよ!!!」

…はぁはぁ…まさか…おそるおそるパジャマの裾を捲る

「うぁぁぁ…!!!下着まで…昨日はトランクス履いてたはずなのに」


バタバタバタ…

「お姉ちゃん?大丈夫…?なんか叫び声が聞こえたけど…」

部屋の扉越しに未亜ちゃんの声がする。ユウキの魔力も感じる。

「未亜ちゃん…そこにユウキもいるよね?」

「うん、ユウキ君もいるよ。おばさん達は朝から出掛けてていないけど」

「わかったよ、二人とも入って」


「お邪魔します〜お姉ちゃんおはよ〜」

「アスカ姉ちゃんおはよー」

「二人ともおはよ」


「それで、何かあったの?アスカ姉ちゃんの叫び声したから来たんだけど…」

私叫んでたんだ…いや、でもだってこれ…

「これ見てよ」

「え?パジャマ?可愛いね」

「アスカ姉ちゃん疲れてたのはわかるけど、そろそろ着替えないと。もうお昼近いよ」


そうじゃなくて…あぁもう!

「ほら! これ!」

パジャマの裾を捲りあげる

「お姉ちゃん!」

「ちょ…アスカ姉ちゃ…」

「ユウキ君は見たらダメーー!」

未亜ちゃんに顔を叩かれる様な勢いで目を隠されるユウキ。痛そう…




確かにパニクってた私が悪いけど…なんかめちゃくちゃ怒られた。

とくに未亜ちゃんに。


「それでどう言うことなのさアスカ姉ちゃん」

怒る前に説明聞いて欲しかったよ?

「昨日私が着てたパジャマ、二人は覚えてる?」


「「??」」

二人して首をかしげて思い出してる。


「あれ?お姉ちゃん、着替えたの?」

「そういえば寝る前はいつも着てたパジャマだったね」

よかった、私の記憶違いじゃなかった。


「朝起きたらこれになってた…下着も変わってた…着替えた覚えもないのに」

「どういう事?」


説明するより多分見てもらったほうが早い気がする。確信があるし…

「ユウキ、そこにある私のタンス開けてみて」

「わかった」


壁際にある私の衣装ダンス。

ユウキは気にした様子もなくタンスに近づき一番上の引き出しを開ける。

気になったのか未亜ちゃんも開けるのを横から見て…すごい勢いでタンス閉じたな?


「お姉ちゃん…ちょっと大事な話があります」

「ふぇ?ちょっと未亜ちゃん…?」


なんだろ…ヤバい怖い。魔王なんて比じゃないよ?実は真の魔王だったとか…そういうアレ?

いや魔王は私。じゃなくて…


「弟に下着の入った引き出し開けさせる姉がどこにいるの! 何がしたいの? というか、どういう事?ねぇ?お姉ちゃんってもしかしてちょっとポンコ…」

今ポンコツって言おうとしたよね?

未亜ちゃんが容赦無くなってきて自然と家族らしさがでてきたのは嬉しいけど。


でも確かに未亜ちゃんの言い分を聞いたら否定できない。

だけどさ、一番上の引き出し下着なの…?前は違ったんだよ? (フッ)


「未亜姉ちゃん、待って。アスカ姉ちゃんの言いたいことがわかったから落ち着いて聞いて。アスカ姉ちゃんに悪気はないから!」

「ユウキ君もユウキ君だよ! お姉ちゃんの衣装タンスを気軽に開けるなんて!」

「いや、だからそのタンスの中身が問題なんだって!」

「そうだよ?問題大ありだよ!」


ごめん、私のせいで二人が言い合いになっちゃった…

「二人ともごめんね…ちょっと落ち着いて」


そう言って私は魔法を使った。「スリープ…」


バタバタっと二人が倒れる。「ごめんね」

軽くかけただけだからすぐ起きると思うけど。


………

……


「んん…」

流石にユウキは早いね。


「起きた?ごめんね」

「流石に姉ちゃんの魔法には耐性が役に立たないね」

「あはは… 落ち着いた?」

「ああ、うん、僕もゴメン。というかアレ、朝になったら全部変わってたってこと?例の強制力ってやつ?」

「たぶんね、だってホラ…」

私はクローゼット横に掛けられた制服を指差す。

「女子の制服…」

「ね?たぶんタンスの服やアルバムとかも全部変わってると思う」

ユウキは慌てて自分の部屋からアルバムを持ってきた。


アルバムを開き次々にページをめくる。

「ほんとだ。全部…兄ちゃんが姉ちゃんになってる…」

やっぱり。怖くて私はちょっと見れないや。

私の記憶には強制力働かないの!? (……)


「ねぇ、アスカ姉ちゃん。僕は事ある毎に違和感があって、それが消えてくような気持ち悪さがあるんだけど…未亜姉ちゃんはどうなのかな?」

「うーん…」

「未亜姉ちゃんはアスカ兄ちゃんを知らないから、違和感なくアスカ姉ちゃんと認識しそうなものなのに」

「私が男だった事も、今、女になっているのも戸惑いはしても、すんなり受け止めてるよねぇ…」

「そうなんだよ。それが不思議でさ」

「仮説でいいなら説明できるけど…」

「それでいいから聞かせて。気になる」


「未亜ちゃんは男だった時の私を知らなかった、でも知ろうとした。ユウキが話したりしたんだよね?」

「うん、聞きたがったからね」

「知ることに必死だった…とかない?」

「確かに…そんな感じはしたね」

「未亜ちゃんから聞いた秘密を思い出せばわかるけど、新しい家族への期待や不安。希望や理想。独りぼっちへの恐怖からくる焦り。そこへ男だった時の私を一番知ってるユウキからの話を聞く」

「うん?」


「ユウキから聞いた男だったアスカの話に、理想やら不安といった感情が混ざって、焦って作り上げたイメージでしかない虚像の私。それって現実の男だった頃の私と同じって言える?」

「言えないね」


「イメージだけの物には強制力が効かないんじゃないかな?」

「あぁ〜なるほどね」

「元を知らないからこそイメージで作ったアスカの記憶は書き変えられない。んで、現実に今いる女になった私の事は、それとして受け入れてる」

「じゃあもし学校とかで知ってたら、そこには強制力が働く?」

「そうだね、それは現実の私だから違和感あるんじゃない?」

「まぁ学年違うし、接点無いからあり得ないか」

「そうだね」

「ある意味では男から女に変わってしまった私の一番の理解者にはなってくれるのかも?」

「だから真剣に怒ったりしてくれてるってことかな?」

「だねぇ…まだ女の子になったって自覚の薄い私が悪いんだけどね…。ユウキは違和感が無くなったら受け入れるのに抵抗はなくなると思う。記憶は残るかもだけど」

「…そっか。いいのか悪いのか。判断に困るね」

「それでいいよ。これだけ改変されてるとなると逆に中途半端に戻ったらそっちのが危険な気がする」

「わかったよ。姉ちゃんがいいなら…」





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