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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第三章

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閑話 夜の森へ



ユウキSide



子供なお祖父ちゃんを紹介されて、初めは訳がわからなかったけど、そういうものだと諦める。

魔法やらがある世界では常識なんて通用しないし。

すぐ傍に非常識の塊みたいなのがいるからね…。慣れたもの。


王妃様も、姉ちゃんからお祖父ちゃんについての説明を受けて、取り乱してはいたけど、今は姉ちゃんの広げたラグで寛いでる。渡すなら今かも。大きく引き伸ばした写真はお城へ帰ってからのがいいけど…。


「ユウキー! ちょっと来てー!」

アルバムを手渡して説明をしようとしたら母さんが呼んでる。

タイミング悪いな…。王妃様も行ってあげてって言うから渡すだけになってしまった。

姉ちゃん達が説明するだろうし、いっか。



森の方を警戒してくれてる召喚獣、グリフォンのチョコ。

その隣に、父さんとレウィがいて母さんから話を聞いてる。

「母さん、なにか用事?」

「今から森へ狩りにいくよ!」

また唐突に何を始めるんだよ…。

このイキナリ感は姉ちゃんとそっくりだよな。


「すまんなユウキ、ちょっとつきあってくれ」

「それはいいけど…レウィも?」

「わふっ、護衛頼まれたよ!」

なるほどね。いざって時に父さんを守るためか。


姉ちゃんにボコられて反省はしたみたいだけど、父さんへの過保護っぷりは変わってないのか。

そういう事ならギリギリまで手を出さないほうがいいかな。


空を見上げるとクッキーもいるから、姉ちゃんも把握済みだろうし。

仕方ない、付き合いますか。

「(レウィ、ちょっといい?)」

「(わふ?)」

「(これ、父さんの修行だから、なるべく手を出さないように。ただし危ない時はお願いするよ)」

「(わふっ! 了解!)」

これで理解してくれるレウィは本当に賢い。僕のお願いでもちゃんと聞いてくれるし。


先頭はレウィで、張り切ってる母さんと、しっかり警戒しつつ進む父さん。

僕は背後を守る。一応探索っぽいものは僕も使えるけど、範囲は狭いし詳細まではわからない。

精々何かが近づいてくるって事とある程度の魔力量くらいか…。

それでも無いよりはいいから警戒しつつ進む。


しばらく森を進んだ所でレウィが止まる。

「がうぅ…」

僕の探索にも入った。一匹か…それなら父さんに任せよう。


当然、両親も気がついてるから父さんは身体強化して油断なく構えてるし、母さんは父さんへ支援魔法をかけてる。 そこまでしなくてもってくらい過剰に…。 

姉ちゃんでもそこまでしないよ? 過保護だけど、必要な範囲で収めてくれる。

…その分保険とか言って薬を過剰に渡してくるから同じか。似た者母娘って事だな。


レウィも手は出さずに牽制だけしてくれて父さんは一人で魔獣を倒した。

動きの早い猫科っぽい奴だったけど危ない場面はなく、僕の出番もない。

「クーーーー!」

クッキーの鳴き声…まさか!  不味いな囲まれた。取り敢えず僕のわかる範囲で4体。

レウィを見ると違う方を警戒してるからあっちにもいるのか。


「あぁ…どうしよう! いっぱい来ちゃった! 夕夜、逃げて!」

「落ち着けナツハ!」

「ダメ…いやよ! 逃げて!」

母さんが訳のわからないくらい取り乱してる。姉ちゃんの言ってたトラウマってやつか。

不味いな…。 

「レウィ! 父さんの援護頼んだ!」

「わふっ! まかせてー!」

「母さん、落ち着いてよ!」

「イヤぁ…」

へたり込んで震える母さんは、使い物にならない! 守らないと。


幸い父さんは取り乱してもないからレウィに任せる。

僕はこっちを…

「グワァーーー!」

「させるかよ!」

飛びかかってきた真っ黒な猫型の魔獣を魔剣で斬り倒す。


この魔獣は狡猾らしい。 残りの2体は僕を避けて、動けない母さんへ左右から飛びかかる気か…。

「甘いんだよ!」

走りながら、最近の訓練のおかげで威力の増した水魔法のウォーターブレットを使い、遠い方の一匹を確実に仕留めて、もう一匹は魔剣で斬り伏せる。

「レウィ!」

「平気ー。済んだ!」


援護に行くつもりがレウィ自身も3体を倒してるし、怪我はしてるけど父さんも1体倒したみたいだね。

「助かったよレウィ。ありがと」

「主様の家族は守るよ!」

心強いねまったく。


「ふぅ…まともに剣は振れるようになったが、身体の感覚が違うな」

そういえば姉ちゃんが怪我の後遺症まで治したんだっけか。

「父さん。怪我は平気? て言うか姉ちゃんから渡された魔道具外してるのかよ」

「ん? あぁ、こんなものかすり傷だ。 アレは有り難いんだけどな、最初から頼ってたら修行にならん」

そういう事か。まぁその辺の判断は任せるし口出しするつもりはないけど。


問題はコッチだよな…。

「夕夜ぁ…血が出てるよ!」

「かすり傷だって言ってるだろ、ナツハ、しっかしろ!」

「でも…」

姉ちゃんが傷ついてまで母さんと戦ったのを無駄にしないでほしいよなぁ…。


「母さん、いい加減にしろよ? そうやって取り乱してる間にもし僕とレウィがいなかったらどうなってたか考えろよ! ここは危険地帯、それは母さんが一番わかってたんじゃないのかよ?」

「っ! ……ごめんなさい」

僕が声を荒げたことで、びっくりして少し落ち着いた母さんは謝ってくる。


「謝ってほしいんじゃないんだよ、ちゃんと戦えって言ってるんだよ」

「ナツハ、普段ならこんな奴ら敵じゃないだろ?しっかりしてくれよ。そんなことじゃ背中を任せられないぜ」

「……はい…」

「ユウキ、取り敢えず戻ろう。ここで騒いでこれ以上の敵と遭遇したくないしな」

「わかった。 レウィ、行くよ」

「わふ…」

母さんは父さんに任せよう。

 


先が思いやられる狩りになったな。

姉ちゃんか…いや、お祖母ちゃんに直接報告したほうが良さそう。






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