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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第三章

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頼れる家族



母さんと戦って…心も身体も傷つけ、気絶させてしまった。 良かれと思ってやった事だけど、やっぱり辛い。

あれが本当に正しかった? 今になって不安になってくる。他に方法があったんじゃないかって…。

「姉ちゃんもさ、一人で抱え込みすぎだからね?」

落ち込んでる私にユウキはそう言う。

「そう…かな」

「うん。戦力なら僕やルナリアがいるし、普段の生活なら未亜姉ちゃんやシエル、レウィもいるでしょ?」

「わかってるよ。頼りにしてるから」

「本当かな…。それならティーがあんな心配そうな顔をする?」

ユウキの視線の先には私を見つめるティー。 ユウキの言うように心配そうに私を見つめてる。


前にも心配かけて、大変な事になったもんね。 (そうだよ! ちゃんと頼って)

うん…そう、だね…。

駆け寄ってきたティーを抱き上げる。 (辛いときはみんなに話してー)

わかったよ。


リビングにいるリアは、何かあった事を感づいてるもんね。魔力に敏感だし。


ソファーへ座り、みんなに何があったのかを説明。 

母さんに恨まれていないか心配だし、もっと方法があったのかもしれないって後悔してる事も話した。


「お姉ちゃん達そんな事してたの? どうりでリアちゃんがソワソワしてた訳だよ…」

「魔力のぶつかり合いとか、凄まじい威圧感とかを感じたら落ち着かないわよ!」

「ごめんね…」

「ちゃんと話してくれたからいいわよ。 恨まれてるかもとか、他の方法なんて私にはわからないけど、済んだ事でしょ?それなら今さら後悔しても仕方ないじゃない。 それにアスカが間違った事をしたなんて私は思わないわ」

「うん…お姉様は今できる事をしたんでしょ?」

「そうだね。他に思いつかなかったから…」

「お義母さんはそんな事で恨まないと思うよ?ちゃんとお姉ちゃんの意図は伝わってると思う」

「だといいけど…」

「セイナ様もいるんだから任せておけばいいのよ!」

リアはお祖母ちゃんの呼び方様付けなの? って…そんなツッコミを入れられるくらいには落ち着いたのか私。

みんなのおかげだね。


「主様、ゆっくりするのも大事」

「うん、レウィちゃんの言うとおりだよ。お姉ちゃんも休まないと」

「だね、姉ちゃんは頑張った! それでいいじゃん」

「ママはかっこよかったのー!」

「ありがとうみんな…」

「そうだわ! 私が膝枕してあげる!」

そう言ったリアに無理やり膝に寝かされる。ティーを抱いたままだし、落ち着かないんだけど…。


「リアちゃんズルい…」

「早いもの勝ちよ!」

膝枕は落ち着かないけど、みんなの優しさに癒やされて本当にホッとする。 



「なになに?みんな仲良しね?」

「王妃様。 ちょっと色々ありまして…」

部屋からアリアさんと出てきた王妃様に、みんなが私の代わりに説明してくれて、膝枕からも開放される。


「なるほどねー。思い切ったことしたわね。アスカちゃんにしては珍しくない?」

「ですが、戦闘に関しての事となると…他の方法は難しいのではないでしょうか」

「それもそうよね。 ただアスカちゃんがお母様相手に直接戦闘でっていうのが意外だったのよ」

「いや、姉ちゃんって意外に喧嘩っ早いですよ? まぁ兄ちゃんの時の話になりますが」

「そうなの!?その話聞きたいわー」

やめてよ…。そういう話。


何故か興味を示したみんなにユウキが私の話を始めて、いたたまれない。


ふっとお祖母ちゃんの魔力を感じてそちらを向くと母さん達の部屋から顔を出して手招きしてる。

みんなは気が付いてないって事は私にだけ魔力飛ばしたのかな?


話に夢中になってるみんなから離れてお祖母ちゃんの元へ。

「二人とも起きたわ。話があるみたいだから聞いてあげて」

「…うん」

私が部屋に入るとお祖母ちゃんは入れ替わるように部屋を出ていった。



「……」

「アスカ、ごめんね…嫌な役回りをさせちゃって」

「すまん…俺が弱いばかりに」

「それは私に責任があるから…」

謝ってくれた二人から、母さんが父さんを守るようになった、そもそもの原因を聞いた。


「俺が油断してな…大怪我をしたんだ。死んでいてもおかしくないくらいの酷い怪我をな」

何度目かの召喚での魔王討伐。 その幹部との戦いの時に大剣で斬られてひどい怪我をしたらしい。

何日も意識が戻らず、母さんはずっと傍について、怪我の治療をする治癒師に魔力を分け続けていたんだとか…。

その事があってから母さんは父さんを前衛として戦わせなくなった。

戦いたいなら私に勝ってからしてって言ったらしい。

「ドラゴンハーフの母さんに、俺が勝てる訳がないのにな」

そう苦笑いする父さんはどこか辛そうで…。

母さんはきっともう二度と父さんにそんな怪我をしてほしくなかったんだろう。

ある種のトラウマかもしれない。大切な人を失う怖さ…考えたくもないね。



「傷跡みるか?」

そう言って服を脱ごうとする父さんを止める。なんでちょっと得意げなのよ…。

「見せなくていいから。 その傷は完治してるの?」

「…いや。 たまに痛むし、痛むと武器を持つのさえ辛い時もある」

「貴方? 私それ知らない!」

「すまん…心配すると思って黙ってたんだ。身体強化で誤魔化してた」

「なんで言ってくれなかったの? なのに今になって…」

「今だから話したんだ。ちょうどいいだろう?」

「……お母さんに言えばよかったのに」

「流石にそれは…。ナツハをなかなか会いに連れてこれなかった手前、言いにくいだろう」

母さんは納得できないって顔をしてるけど…父さんの気持ち、少しはわかる。だから…


「ねぇ、私が診ようか?」

「いや、さっき見せるなって…」

「そっちじゃなくて! 私も治癒くらい使えるし、鑑定もできるからね」

「…頼めるか?」

「アスカお願い」

「わかったよ」


父さんを魔力ドームで包み鑑定の術式を流し込む。

細かいステータスは見ないようにしておく。何となくね…。


怪我は右肩から胸、お腹にまで達する大きな斜めの斬り傷。

外見上は傷跡があるだけみたいだけど、神経や筋などの身体構造はうまく治癒されていない。

ならそれを元へ戻してあげれば…。 ん?これ、魔力の流れにも悪影響出てるな…。

それも含めて治るようにイメージ。 傷跡は…自慢げに見せようとしてたくらいだから残しておくか。

戒めにもなるでしょ。 魔力ドームを解除。


治癒の温かい光に包まれ治療の終わった父さんを、再度魔力ドームで包んで確認。

うん、身体の構造も治ったし魔力もキレイに流れてる。

「治したよ。魔力もキレイに流れるようにしたから、魔力量も増えると思うよ」

「ほんと? 貴方、どう?身体は」

父さんは右腕を回したりして動かした後、ベッドの近くにおいてあった剣を持ち上げる。


「痛みが全くない…。調子の良い時でも多少なりはあった痛みすらない。それに身体が動かし安いな」

「魔力だけならユウキと同じくらいになってるよ」

「マジかよ! もう一度ユウキと模擬戦するか…」

「それはまだ、全っ然敵わないからやめた方がいいよ。魔力だって、多分だけど母さんとの契約の影響でしょ?」

「…うっ。そんなハッキリ言わなくてもいいじゃないか。娘が辛辣だぜ…」

「アスカ、ありがとう。 それとごめんね…弱くて頼りない親で…」

「え? 私は母さん達を頼りないなんて思った事なんてないよ? 母さんは、いてくれたらそれだけで明るくなるし料理は上手だし。 父さんは…ほら運転できるし?」

「おい、アスカ!?俺の扱い酷くないか?」

「冗談だよ。二人とも居てくれるだけで安心するから…それだけ頼りにしてるんだよ」

「アスカ…」

「これはこれで照れるな」

どうしろと…。



この話は家族には話しておくべきだよね。

ちゃんと頼れって言われてるし…。




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