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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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閑話 妹



ずっと話してたら小腹がすいてきた。ユウキ君もじゃないかな?

あ、そうだ!


「このあいだ私友達と日帰り旅行いったんだけどね。お土産に買ったお菓子があるから食べない?」

「それだ!」

「うん?お菓子?」

「違うよ。旅行! 兄ちゃん修学旅行に行ってる事にしたらいいんだよ」

ちょっと待って、アスカさん私の一つ上の高1だよね?修学旅行って中学も高校も2年じゃないのかな?


「む、無理がない?」

「いや、うちの両親って学校行事には関心がなくて。というか、ほぼこっちにいないから知らないし」


その辺はうちと同じだなぁ…


「だから未亜さんが合わせてくれればなんとかなるかもしれない」

「そういう事なら…」

バレて怒られたらアスカさん恨むからね…。



結局バレるどころかあっさり信じた。と思う。



この家に来て2日目。

明日から大型連休だけど、引っ越しの片付けとか沢山あるから今日も休んだ。

友達には事情を説明したし、学校へはおばさんが連絡してくれたそう。

色々な手続きとかも全部終わってるみたいで、私がするのは自分の部屋の片付けくらい。


「未亜ちゃん、必要なものとか、欲しいものとかあったら明日までにリストにしとくといいよ。明日は一緒にお買い物に行くからね! あ、お金の事は気にしなくて大丈夫。未亜ちゃんのお母さんから預かってるからね」

「わかりました。ありがとうございます」


まだやっぱりこの人苦手かもしれない…少し、ちょっとだけうちの両親と同じだから


「未亜さん、何か手伝うことある?重たいものとか運ぶよ?」

「ありがとう、じゃあお願いするね。 あれ?ユウキ君も学校休んだの?」

「お願いされました! うん。手伝おうと思って」

優しいな…弟ってこんな感じなんだ。

友達は弟が生意気でムカつく〜! とかよく言ってたけど。でも可愛がってたし。


片付けをしながら、またアスカさんの話やユウキ君の事を教えてもらった。

あと二人のアルバムも見せてもらえて。

あぁ、よく似てるね。中性的な美形。アスカさんのが少しキツめ?

二人ともお母さん似だね。

お姉ちゃんって言われても疑わない自身があるよ。それくらい綺麗な顔立ちをしている。

というか、こんな美形兄弟に挟まれた私…大丈夫かな?


私の話?態々話すような事なんてないもの…。暗い私の秘密だけだから…



引っ越して3日目。

ユウキ君のおかげで昨日のうちに部屋の片付けも終わったし、今日はお買い物。

ユウキ君もいるならなんとかなるよね。


「ゴメン、未亜さん。兄ちゃん帰ってくるかもだし、そしたら話合わせなきゃだから行けないよ」

「……」

「未亜さん?」

唯一の拠り所が…でも理由はわかる。

ただ、おばさんがまだちょっと苦手だし…。おじさんは殆ど話してないし…どうしよう…。


「未亜ちゃん! みーつけた! 欲しいものリストちゃんと持った?お買い物いくよ〜! ほらユウキも!」

「母さん、僕は留守番してるから、未亜さんと行ってきて」

「えー一緒に行こうよ〜!」

「行かないってば! ひっつくなー!」

「ちぇ〜いいもんね。私には可愛い娘がいるし。未亜ちゃん行こ!」

あぁ〜………ユウキ君のばかぁ…。



その日、おばさんにめちゃくちゃに振り回された。

なんでも男の子しかいないから、こうやって娘とお買い物がしてみたかったらしい。

私は少し誤解してたのかも。

おばさんは温かくて私といるのを本当に楽しんでくれてるのが伝わってくる。

おじさんも離れたとこから温かく見守ってくれてる感じがした。

予定よりも色々買い物した気がするけど、私も途中から楽しくて。

だからかな…もしかしたら両親のことも、実は私が誤解してるのかもって少しだけ思った。


少しだけね。


家に帰って”ただいま”っていう。

「おかえりー」

ユウキ君が答えてくれた。

たったこれだけの事なのにこんなに嬉しいんだって…

忘れかけてたおばあちゃんの優しい声も聞こえた気がした。


”おかえり未亜” って…



お買い物に行ったときに買った、ユウキ君のお菓子を渡しに来たんだけど、やっぱりまだアスカさん帰ってないんだね。


「もしかしてーと思って待ってたんだけど帰ってこなかったよ。こんな事ならついていけばよかったね」

「ふーんだ。ユウキ君が居なくてもおばさんと楽しんだからいいよーだ」

「あはは。めちゃくちゃ振り回されたでしょ?母さんビックリするくらいアクティブだからね」

「え?あれいつも?」

「うん、たまにしか帰れないから〜って。一緒にいるときはそれはもうすごいテンションだよ。ただ最近は…ほら僕も兄ちゃんも男だからさ、母さんに腕組まれてとか流石にね?」

「あぁ…だからかぁ。私、今日一日中腕組まれてたよ」

「やっぱり! なんと言うかお疲れ様でした」

「いえいえ、最初は戸惑ったけど楽しかったから」

「なら良かったよ。ついて行けなかったから、ちょっと心配して………未亜さん! 兄ちゃん帰って来た!」

へ?なんでわかったの?ドアの音とか?

というか、ユウキ君、意味のわからない速さと動きで階段降りてったような…

待って私も行くからー! 自己紹介したいからおいてかないで〜。


私も急いでリビングに来たんだけど…ユウキ君どうした?固まってない?


おじさんとおばさんも?


それより挨拶しなきゃ。最初の印象が大事だって聞いた覚えが。

すいませ〜ん、おじさんおばさん通してくださ〜い。


私が位置をズレたから、ユウキ君の影にいた人が視界に飛び込んでくる。


え?めちゃくちゃ美人な「お、お姉ちゃん?」

私の声を聞いた途端、美人さんが膝から崩れ落ちた。


体型からして女の人だよね?スタイルいいし。でも写真で見たアスカさんとほぼ同じ顔。

違ったのは髪の色と長さ。そして瞳の色。


あぁ…そんな髪の毛ワシャワシャしたら、せっかくキレイな髪が…。

って! それどころじゃないよ!?ユウキ君もおばさん達もどうしたの…!?





しばらくして皆でリビングへ。

ユウキ君が美人さんになにか話してる…


「アスカであってるよ」


小声だったけどそこだけは聞こえた。

やっぱりアスカさんなんだ! でも女の人…

アスカさんはお兄ちゃんのはず?え?アスカさんは二人いる?そんな訳ない…


私が混乱してて話を聞いてなかった間に、おじさんとおばさんがケンカ始めてる?


ユウキ君とアスカさんは頷き合ってリビング出てっちゃったよ?ここに私だけ置いて行かないで…。

アスカさんにまだちゃんと挨拶もしてないんだから!


慌てて二人を追いかけたけど…どっちの部屋かな?ユウキ君の部屋? 違う、アスカさんの部屋だ。


深呼吸して、すぅーはぁー。ノックを…

「ーーーー今回の召喚はーーーーー時間が戻らなくてーーーー」

今なんて? 召喚? 時間が戻らない?

混乱してノックのタイミング逃してたら

突然扉が開きアスカさんが見下ろしてました…。


私どうなるのかな…弟にお兄ちゃん?出来たって嬉しかったのにな…


「えっと未亜さんだっけ?何か用かな?」

私の不安なんて消してしまうような優しい声 でも…

「あの、えっと…立ち聞きしてごめんなさい。挨拶したくて…でも話をしてたからタイミング逃しちゃって…」

「そっか…待たせてごめんね。取り敢えず入って」

邪険にされてない?私いてもいいの?

「お、お邪魔します」



お兄ちゃんじゃなくてお姉ちゃんができた。

お姉ちゃんも私を家族だって言ってくれた。

嬉しくて泣きそうになった。


お姉ちゃん達の秘密。知りたい、知っておきたい。

仲間はずれはヤダよ…。

だから私は自分の話を先にする。

秘密ってほどじゃないけれど、少しでも信じてもらいたいから。

そしたらお姉ちゃんはそれをわかってくれた。

私の秘密を守るって約束してくれた…。アスカお姉ちゃん。





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― 新着の感想 ―
依存するのはえーわ しかもちょっと脳焼かれてるし
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