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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第三章

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呼んでみた



丸2日かなりのスピードでドラツーは海の上を飛び、途中何度かティアねえ様から通信魔道具でこちらの様子の確認や、王妃様と一緒に王国での出来事などの報告を受けたり、本人には言わないけどリアの心配も。

王国にトラブルもないようで王妃様も安心してた。

魔道具通信を使えるようにしておいてよかったよ。



広げていた探索の端に魔力反応が増えた事で探索を狭めた。

魔力反応が多いと負担がすごいからね。 (そろそろ目的地ー?)

明日には陸が見えると思うよ。 (はーい。ママの探索範囲すげー)

これも魔力依存だからね。 (ティーもやってみていい?)

私のスキルを使うのは構わないよー。ただ、情報量が多いと負担がすごいから気をつけるのよ。 (あーい)

魔力体のティーなら平気かもだけどね。 私も魔王の時は平気だったし。

 


そうそう、魔王で思い出したのだけど、召喚獣。 (みんな元気かな?)

それがね、召喚獣関連のスキルにアクセスできなかったのよ。 (えー?)

地球で一度、地下室へ行って確認したんだけど無理だった。 (こっちなら?)

うん、それを試そうかと思ってね。 ドラツーの背中につけたドラゴン用の発着場にいこうかと。ティーもくる? (とうぜんなのー)



「アスカ、どこかに行くの?」

部屋を出ようとしたらリアに呼び止められてしまった。

「うん。 ちょっとドラツーの発着場へね」

「そんなのあったかしら…」

「ほら、ドラツーが移動中でも、ティアねえ様がドラゴンのまま乗り降りできるようにって設置したやつだよ」

「あったわね、そんな事も…。でもなんで今そこへ行くのよ?」

「ちょっと召喚獣の確認をしたくてね」

「行ってもいい?」

「いいよー」

私とリアの会話を聞いてた同室のみんなは当然ついてくる。 (知ってたー)


リビングに出ると、ユウキが母さんやお祖母ちゃん達とソファーで寛いでる。

みんなでぞろぞろ倉庫へ行くと絶対怪しまれるなぁと思いながら、どうにもならないからリビングを横切って倉庫へ。

「姉ちゃん、みんな連れて倉庫へ何しに行くのさ」

ほらね?


「ちょっとねー」

母さんやお祖母ちゃんもついてきてるし…説明に困る。

「ママが魔王時代の召喚獣を確認するのー」

ティーか説明してくれたけど、またお祖母ちゃんに怒られないか不安になる。


「アスカは召喚獣まで扱えるの!?」

「私も見てみたいわ。滅多に見れないし…」

怒られたりはしないっぽい? それならいいけど…。



倉庫の中にある階段を上がり、ドラツーの背中へ。

一部分を広く平らな板状にしてある。空母の甲板をイメージしてもらえるとわかりやすいかも。

ドラツーが背中に甲板を背負ってる感じ。

「ここって外なのに風も何も感じないよ、お姉ちゃん何かしてる?」

「それは姉ちゃんの魔法防壁でしょ?」

「ユウキ正解。 見えない壁があるから落ちたりはしないけど、未亜は高いの苦手なんだから端へ行かないようにね」

「うん、絶対行かない…」

未亜はリアにしがみついて震えてる。怖いのなら中で待っててもよかったのに。


シエルやレウィは飛べないけど高さは平気みたいで、ドラツーの端から下を眺めてる。

海しか見えないと思うよ?


「じゃあ呼べるかの確認だから、私より後ろにいてね」

暴れたりはしないけど、一応ね。


今は空だし飛べる子に。

「出ておいで、クッキー」

目の前に丸く白い光が浮かび上がる。 あ、呼べるっぽいな。


光が消えた場所にはカラスほどのサイズになってる蒼い炎を纏ったアイスフェニックスが。

普通のフェニックスは紅い炎を纏ってるのだけど、私は氷適正が一番高いからかこの子が来てくれた。 

魔王城でも初めてのアイスフェニックスだったらしくちょっとした騒ぎになった。

今はあまりステータスの属性に差はないけど…それでもやっぱり氷が使いやすく感じる。


クーー! 一声なくと私の腕へ。 話はできないけど、私はコミュニケーションが取れる。

うん、元気だね。 暫く呼んであげれてなかったから、拗ねてる?

ごめんね。 撫ぜてあげたら機嫌は良くなったみたい。

少しなら空を飛んできてもいいよ。ここなら目立たないし、大きくなってもいいから。


クッキーは私の腕から飛び上がると上空で円を描いた後、本来のサイズへ。

「小さいから安心してたら、大きくなったわ…アスカあれは何?」

「アイスフェニックスって言う稀少種だよ、私の属性適正が影響したみたいでね」

「初めて見たわ。普通のフェニックスですら稀少なのに…それの更に稀少種!? 私の孫凄い…」

お祖母ちゃんでも見たことないのか…。 私は怒られなかった方にホッとしたけど。


「お姉様、なんで名前がクッキー?」

シエルはそこを気にしちゃうか…。これには深ーい訳があるんだよ。


「魔王城にお菓子が一切なかったんだよ! 食べたくて、人の街までお忍びで探しに行ったけど…」

「そうなの? だからクッキー…」

甘いものってそこまで食べなかったけど、いざ無いってなると食べたくて仕方がなくて…。


「お姉ちゃん、もしかして他の子の名前も?」

「…うん。お菓子関連」

「魔王してたアスカに可愛いところが残ってて私はホッとしたよ」

母さんはそう言うけどさ、食べ物って大事だよ。


「僕は姉ちゃんの気持ち良くわかるなぁ。お菓子がないのも嫌だけど、食事がまずいのってホントやる気失せるからさ」

「だよね…お皿に人参とかジャガイモがまんま置かれて時は唖然としたよ…」

「あぁ…あそこはホント酷かったよな。なのにチーズだけはでかいし、多いし」

「そうそう。一応お菓子もあったけど砂糖を使ってないから意味がわからなかった」

それがあってからストレージに食べ物を沢山持つようにしたのだけどね。

魔王の時、お菓子は少量持っていただけで、部下にあげてなくなったんだよね。

数百年も帰れないなんて思わないもの…。 


「お姉ちゃん達よくそんなのに耐えれたね?」

「ほんとよ、アスカの食事を食べ慣れちゃった今だと私も耐えられないわ」

「わふぅ…ご飯大事。主様のご飯美味しいー」

「だからね、あるもので色々作ってたんだよ。それでスキルが上がったの」

「うん、姉ちゃんがいなかったらドラゴン退治なんてやってられなかったね」

「…ドラゴン。 複雑だけど仕方ないのよね…」

お祖母ちゃんもリアも複雑な顔になってしまった。確かに世界が違うとはいえ、同族だもんな…。この話は迂闊だった。


「いや、あのドラゴン達は世界に終末をもたらす者って言われてて、破壊活動しかしてなかったから。ルナリア達とは大違いだよ」

まぁそうなんだけどさ。それで納得するかな…


「そんなドラゴンなら退治されて当然ね」

「ええ。力を持つドラゴンなら世界を守ってこそよ。それなのに破壊活動? 二人ともよくやったわ」

リアもお祖母ちゃんもそんな感じで褒めてくれたから良かったよ。



あの召喚の時、一緒のパーティにいた一人が矢を受けて冒険者を引退し、街の衛兵になったのは別のお話。




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