表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

238/770

大陸間移動の旅へ



今、ドラツーは北の海へ向かって飛んでいる。

途中、いくつかの街や村も見かけた。この辺りも全部アクシリアス王国領なんだとか。

大陸の最北端に大きな港町があって、そこから海産物とかが王都へ運ばれているらしい。

大きな商家は当然マジックバッグを所有してるから生魚も当たり前に王都で買える。

市場に魚屋さんもあったなぁと思い出す。あの時は特に不思議にも思わなかったけど…これは地球での感覚が染み付いてるからだろうね。


今回はその港町からさらに北の海を越えてその先へ向かう事になる。



充実したキッチンに驚いてる母さんと、未亜と一緒に昼食を作り、みんなで食事。

アリアさんが運び込んだ荷物の中に食材も沢山あって、王妃様からそれを使ってほしいって言われたから材料は豊富にある。

ちょうど魚もあったから母さんが煮魚を作ってくれて、レシピも記憶した。

一度で覚えて再現した私に母さんはショックを受けてたけど…。

「私がお料理を覚えるまでにどれだけ苦労したと…」

そういう事ね。 そんな母さんも料理のスキルはカンストしてるらしい。



ティーも食事だけはリビングへ来てたけど、食べ終わるとすぐにコクピットへ戻っていった。

ちょっと寂しい…。 (ママ! 海が見えたのー)

もう?早いね。 (うん、それを知らせたかったのー)

あぁ、なるほど。じゃあ私もそっちへ行くね。 (うん!)



移動する私に何故かみんなついてきたから、展望室に追加したコクピットの存在を知らなかった人は驚いてた。

前は何もなく見渡せるだけの展望室だったものね。

楽しそうにティーが説明しててかわいい。

レウィはちゃっかりティーの隣の座席に座ってる。


ドラツーの向かう先には、大きな街とその向うには広大な海。

カーブを描いた地平線、この高度からでも先の大陸や島は見えない。

この世界も丸いって事なんだろうね。

「私が船でこちらへ渡ってきた時、何カ月も海の上で過ごしたわ。揺れが本当に酷くて…」

王妃様は船酔いしたのかな?何カ月もかかったのなら辛かっただろうと想像はつく。


当時の船旅の事を王妃様は色々と話してくれた。

船は帆船らしく、魔法で強化や補助はしてるらしいけど、大陸間の航路は危険でこちらの大陸へ辿り着けるかは運も絡むほどなんだとか。

「まだ若かったのよ…。下手したら海の藻屑になってたかもしれないのに。今考えると無茶したって思うわ」

「私達ドラゴンでもこの海を越えるのは躊躇うもの。途中で翼を休める場所もないって聞いたわ」

「そうね。もう少し東から海を超えれば島がいくつかあるわ。独特の文化のある国よ」

流石にお祖母ちゃんはよく知ってる。


「あ、私そこ行ったよ! 地球で言うなら南国と戦国が混ざったみたいな不思議なところだったよ」

母さんは本当にあちこちいってるんだね。

「戦国…刀とかあるのか?ちょっと行ってみたいな」

「うん、僕も気になる」

「貴方もユウキも、気持ちはわかるけど、今は無理だからね?」

「「……」」

母さんが二人を止めたけど…絶対納得はしてないなあの二人。

私の方を見てるけど目を合わせないよ?予定を変更する気はないし。



暫く展望室から行く先を見ていたけど、海に出ると景色に変化が無いから飽きたのかティーと王妃様とアリアさん以外はリビングへ戻っていった。

「………」

行く先、生まれ故郷のある方向を見つめる王妃様は何を思っているのか…。

声を掛けづらくて私も海を見つめていた。



「あれから何年たったのかしら…。 飛び出したときはアスカちゃんくらいの歳だったわ」

ポツリとそう漏らす王妃様は懐かしい記憶を辿っているのかもしれない。

「たった一人で、すごい行動力ですね」

「…まぁ、何も知らないからこそ好奇心だけで動いて、恐怖心も無かったのよ。これから何が起こるんだろうって期待ばかり膨らませてたのを覚えてるわ」

王女って立場だと、箱入りだったのかもしれない。


「叔父が船長をしてる船だから乗せてもらえるように頼んだのだけど、絶対に駄目って言われてね」

王女様だもんね。当たり前か…。 ん?ならどうやって渡ってきたの?


「それでも諦めきれなくて、こっそり密航したのよ」

「何してるんですか…」

「まぁ、一日と経たずにバレたけどね? 引き返すわけにも行かないからそのまま諦めた叔父に客室を用意してもらったわ」

「ヤンチャしてますね?」

「だから若かったのよー。シルフィ達には内緒にしてね?」

「…わかりました」


嵐にあったり、海獣に襲われたりと大変な目に合いながら、ようやくアクシリアス王国領の港へついて。

その時に叔父さんが紹介してくれたのがミルフィさんの家だったらしい。

「戻ったらお城へは伝えておくからって叔父は言ってくれてね」

「よく連れ帰られませんでしたね」

「…さんざん抵抗したから。もう船酔いは懲り懲りだったのよ」

本当、若い頃の王妃様はなにしてるの!?


「ママ、海の方見て」

「うん? あれって雨雲?」

急いで探索を広げて確認。 あれは雨雲どころか嵐だわ…。


「ティー嵐だから、あの雲より高度を上げるか迂回して」

「りょーかい! せんちょー」

ぴっとティーは敬礼してドラツーはどんどん高度を上げる。


「アスカちゃん、大丈夫なの?」

「勿論です。 魔法防壁も張ってますので突っ込んでも問題はないのですが、念の為ですね」

「そうなの!? 嵐に突っ込んでも平気って…私が船の時にどれだけ大変だったか…」

ドラツーには私の守るべき人がたくさん乗ってるからね。安全対策は完璧だよ。 (ドラツーは無敵ー)

私かお祖母ちゃんなら落とせるけどね? (やめてー大事なドラツーなの!)

わかってるってば。 (もう…)


王妃様とアリアさんも自室へ戻っていったので、私はティーの隣に座る。

嵐が目の前にあるし、一応ね? 

探索に大きな魔力反応があるけど、多分あれが海獣かな?ダイオウイカみたいなのだったりして…。


普通の魚は魔力がないのか探索にかからないし、海の上なら探索を広げても負担がないのはいいなぁ。

海を移動中は広げたままにしておこう。 念の為にもなるし。 




コクピットでティーとのんびりしつつ、ドラツーは今、嵐の真上。

嵐からかなり東へ離れた海上に、人っぽい魔力が集まってるのは多分船だろう。

距離的に嵐の影響は大丈夫だと思うけど…。

例の島国らしき場所も探索範囲に少し入って情報量がすごかったから探索範囲を狭めた。さっきの船はそこへ向かってるみたい。


数分で嵐のエリアも通過したからティーとリビングへ戻る。

暫く海しか見えないからティーも飽きたみたいだし。 (最初は良かったけど、なーんもないの)

まぁ、船とかもほとんど居ないもんね。 (うんー)

リビングに誰もいないってことはみんな自室かな。



アクシリアス王国のあるのが南半球、ドラゴライア王国のある大陸は北半球、私は勝手にそんな感覚でいる。

世界地図みたいなのは流石にないから王妃様も知らないみたいだし。

そもそもアクシリアス王国のある大陸の人達は北の大陸とかの存在すらほとんど知らないらしいし。

お祖母ちゃんならある程度の位置関係は把握はしてるかもしれないけど…。


ソファーに座ってティーとのんびりしてたら未亜が部屋から出てきた。

「お姉ちゃん、嵐はもう平気?」

王妃様から聞いたのかな。

「もう通り過ぎたからね。窓を開けたら大海原が見えるよ」

「リアちゃん達は見てたけど、海しかないのってなんか怖くって…」

未亜は高いところ苦手みたいだし、見下ろした海って吸い込まれそうな感じがあるものね。


「リア達は?」

「シエルちゃんのアトリエにいるよ」

「早速服を作ってるの?」

「そうそう。お義母さん達と写真撮るときのドレスの試作するって。お義母さんも一緒にいるよ」

そうなんだ。今度は露出は控えてほしいな…。たぶん無理だろうって覚悟はしてるけど。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ