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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第三章

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235/772

真実は伝説よりヤバかった。



「ただいまー。謁見とか久しぶりだよー。 緊張するから疲れるね」

謁見が終わり母さん達が戻ってきた。

「私は本来、こういう事はしないのよ?…ナツハのお願いだったから特別に応じたけれど」

「うん、ありがとうお母さん。アスカ達がお世話になったって聞いてたからね」

「そうね…アスカちゃんが苦労した原因でもあるから複雑だけど」

「お母さん、アスカへあんなに敵意向けてたのに…」

「それは謝ったじゃないの。 大切な孫なんだから怒りたくもなるわよ」

お祖母ちゃんが大切な孫って…。よかったぁ…。 (ティーも許してあげるの)

ありがとティー。 (うんっ)


父さんは陛下達に英雄扱いされて喜んでるからほっとこう。

上機嫌でレウィと戯れてるし。


王妃様から勇者の話を聞いていた国王陛下は、父さん達に会いたかったみたい。


それと…発覚したことが一つ。

母さん達から少し遅れて部屋に来た王妃様からカミングアウトが。


王妃様の出身国の女王様はやっぱり母さんの妹だった。そんでもって…

「私とアスカちゃん達は本当に親族って事になるわね」

「どういう事ですか!?」

「実は、私ドラゴライナ王国の王女なのよ…」

「……え? ドラゴライナ王国?」

母さんの妹が女王として治める国、それがドラゴライナ王国。

大昔に一人で平定して立ち上げた国なんだとか。 どこの覇王だよ…。


王妃様はそこの国の王女様。 女王様は何代か上のお祖母ちゃんなんだとか。

「継承権なんて有って無い様なものだし、お祖母様がいる限りトップの交代なんてあり得ないわ。だから堅苦しい生活が嫌で飛び出してきたの」

まさかの元から王族…。 


「お母様、私も初耳なんですけど…」

「そうね、こんな事がなきゃ話すつもりもなかったから…。 勿論陛下は知ってたわよ?」

それはそうだろうけど。シルフィ様も複雑な表情。


でも、そうなると私達は本当に遠い親戚になる訳かぁ…。

「私はドラゴンの血はほとんど無いみたいだし、魔力が普通の人より多かったくらいかしらね」

うちの母さんの正体には気がついたリアが、気がつかなかったのも納得。

「私は1世代目だからね、お母さんの力を直接貰ってるようなものだよ」

母さんがドヤ顔してる。


流石に王妃様が戻ってきた事で口ゲンカを止めたリア達もびっくりしてた。

「伝説のドラゴンの血族がこんなところにもいたわ…」

「これ、長老様が知ったら大騒ぎだよー」

こっちに滞在してる二人の長老様は、今街へ出かけてるらしい。

最初はティアねえ様が案内していたらしいけど、それも必要なくなったから、騎士様の護衛だけ連れて毎日街へ繰り出してるのだとか。



「あの子のねぇ…さっきも聞いたけどまだ実感がわかないわ。 アキナは元気にやってるのね?」

「はい、私が出てきた時も現役でした。あれから20年程は経ってますが、変わっていないかと思います」

女王様はアキナって言うんだ…。なんで母さんのナツハといい、日本ぽい名前なの…。


まぁ、これは単純にこっちも春夏秋冬って季節があるから。

生まれた季節の名前をいれたってお祖母ちゃんが教えてくれた。

翻訳スキルも影響してるんだろうけど、わかりやすい。

春と冬が名前に入る人がいそうだなぁ…。 (絶対いそう)




母さん達も王妃様や陛下と、途中から会食になって食べてきたみたいだから、これからの予定を立てることに。

「私はナツハの魔力を感じて飛び出してきちゃったから、早く帰らないと…。多分心配してるわ」

「お母さん達は相変わらず仲良しなんだね」

「当然よ。ケンカさえしないわよ?」

それもすごいな…。



お祖母ちゃんと並んでる母さんを見てふっと気になる事が…

「ねぇ、母さん。ちょっと気になったのだけど…母さんって卵から生まれたの?」

「えぇ!?なんでそうなるの?」

「姉ちゃん何言ってるのさ。そんな訳ないでしょ」

「いや、リア達の妹のフィアは卵だったって聞いてるから、気になって」

「それは私が答えましょうか…」

そう言ってお祖母ちゃんは懐かしい話をする様にゆっくりと話してくれた。



「私が世界を飛び回って旅をしていた時に、街道であの人を見かけて一目惚れして…。咥えて連れ帰ったのはいい思い出ね」

なんかサラッととんでもない話聞かされてるんだけど!? (ガブッていかれる…)

ホントだよ…。怖すぎる。


当時のドラゴンは強さ至上主義。 それに飽き飽きしてたお祖母ちゃんは、街道沿いで、お腹を空かせてる小さな魔獣の親子に餌を上げてたお祖父ちゃんに惹かれたらしい。

自分より弱く、小さな相手を愛でる姿に興味を惹かれたと。



「最初は怯えていて話もできなかったわ」

「それはそうだよ! お母さん何してるの? 初めて聞いたよそれ…」

「だって…私達の馴れ初めとかナツハは聞きたがらなかったから」

「…そうだけど」

「暫くしてようやく話を聞いてくれるようになって、気持ちを伝えて。でも最初は相手にしてもらえなくてね」

それはそうだと思う。恐怖のが強かっただろうし…。


「付き合うって言うまで街へ返さないって言ったらようやく折れてくれたわー」

それ脅迫ぅ!! (ママのばーちゃんやべー)

お祖母ちゃんは照れくさそうに話してるけど聞いてるみんなはマジかよって顔してるもんね…。


「また迎えに行く約束をして街の近くまで送ったの。 それから数カ月かけて人化の魔法を作り上げて、それを手土産に里のドラゴン達に報告したのだけど、人との恋愛を反対されてね…。

腹が立ったから里を捨てて、人化して街へ。 あの人を迎えに行くことにしたのよ」

思い立ったら突っ走るタイプだね。 (人の話聞かないのもわかった気がする…)

確かに…。でも強さ至上主義のドラゴン達が、お祖母ちゃんの気持ちを理解してくれなかったからってのもありそうだね。 (あぁー)


「まだ慣れない人の姿、スキルとかの力もうまく使いこなせなくて…。街を歩き回り、探してもなかなか見つけられなくてね…。迷って途方に暮れてたら、偶々助けてくれたのがあの人だったの。もうこれは運命よね。私だとはわかってなかったみたいだけど」

興味津々でお祖母ちゃんの話を聞いてたリアは…

「運命かぁ…それを言うなら私とアスカも運命的な出会いだったわよね」

「そうなるのかな? ティーのおかげだけどね」

「ええ。だからティーにも感謝してるもの」

「ふふんっ」


「でもね?宿へ私を送った後、私だってわかった途端、慌てて帰ろうとするから、捕まえて縛り上げたわ…。付き合うって約束したんだもの。それから朝まで一緒に過ごしたのよ〜」

「「「「……………」」」」

お祖父ちゃんは捕食されたわけか…。 (美味しくいただかれたの…)

……本当にまったくその通りだけど!



「ねぇリア、私が思ってたのとだいぶ違うよ? なんかもっとこう素敵な純愛かと思ってた…」

「それは私もよ。 なんていう肉食系…。私もそれくらいしなきゃダメかしら」

リアが怖いこと言い出してるんだけど。 誰を捕食するつもり? (……)

「リアちゃん、無理矢理は良くないと思うよ?」

「そう…よね。 うん、未亜の言うとおりだわ。私は純愛がいい」

「うん。それが一番だよ」



「えっと、卵の話だったわよね? 人化してる時に妊娠すると、出産するまではドラゴンには戻れないってその時になって初めて知ったわー」

いきあたりばったりすぎる! ドラゴンって本当に自由だな…。 (無計画…)

そうとも言うね…。 あ…でも、人化の術を初めて作ったのがお祖母ちゃんなら知らなくて当然かも? (あーそっか!)


「ドラゴンとして卵を生む時はお互いの魔力を合わせて卵を作り上げるのだけど、人として妊娠した場合は人と同じように赤ちゃんで生まれるのよ」

「そうなんだ…」 (やっと聞きたかった答えが…)

うん…前置きでとんでもない話を聞いたけどね。何も頭に入ってこないわ…。

「だからうちの子達はみんな赤ちゃんで生まれてるわよ」



「お母さん、それでよくお父さんと結婚できたね?」

「…? なんで? その後ちゃんと誓いの証に首輪を貰ったわ。特注してくれたのよ?」

「いや待って…今の流れからなんでそんな話になったのか全然わかならないんだけど」

「ナツハは細かいわねぇ。 一緒にいた事で愛情が湧いたって言ってたわよ。私の気持ちが伝わったのよ!」

「そう…。お父さんにも話聞いてみなきゃ…」

「(なぁ…ナツハ、お義母さんヤバくないか?)」

「(しー! きこえるよ)」

「…なにか言ったかしら?」

「いえっ! 何でもありません!」

父さんがかっこ悪い。 まぁお祖母ちゃん相手では仕方ないか。 (ママのパパでは絶対勝てないの)



「母さんはドラゴンハーフで、翼とか出せるけどそれも何か関係あるの?」

「それはね…。 知らないわ」

母さんが一番ショック受けてないかな?まさか知らなかったとか…?


「お母さん、それも私初耳!」

「生まれるまでわからないし完全にランダムだもの。孫は今回初めて会ったから、わからないわね」  

「そうなの!? みんなは?お母さんに会わせに来たりとかしてないの?」

「だって…みんな街やどこかへ出てっちゃって殆ど帰ってこないもの。稀に会いに来ても一人だし。アキナなんて一度も帰ってきてないわね」

女王様だから忙しいのかもだけど…それでいいのかな?って思っちゃう。



結局色々話を聞いてたら遅くなっちゃったから出発は明日。

ドラツーでお祖母ちゃんの住んでるところへ向かう事に。 (場所は聞いて把握したから任せて!)

うちの優秀なパイロットが飛ばしてくれます。 (ドヤァ!)








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おばあちゃんの方がよっぽど邪悪じゃねーか……
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