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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第三章

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和解



「ティー、助けてって…何があったの?」

「ドラゴンがフルボッコにされて泣いてるー」

「…はい?」

ティーが言うにはみんなが私を庇ってくれて…、それでお祖母ちゃんがボコボコに言い任されてると。


「理由はわかったけど…それがなんで私に助けを求めるの?あんなに嫌われてるのに…」

「誤解ー? それが解けたから?」

「…そう。 私がもし行かなかったらどうなるの?」

「ドラゴンはずーっとイジメられて泣いてる?」

はぁ…なんてこった。泣きたいのは私の方なのに…。


「一時間後くらいでいいの?」

「…二時間!」

「わかったよ。ティーも行くでしょ?」

「うんっ」

ティーを抱いて魔道具を起動。フィリアータを出た二時間後に戻る。



「お姉ちゃん! おかえり! よかった…」

未亜に抱きつかれる。

「ただいま…ティーに呼ばれたんだけど、私が来て大丈夫だったの?」

「わふっ! 主様! よかった…」

足にじゃれつくレウィも撫ぜてあげる。


「…アスカちゃんーお願い助けてぇー」

「フシャーーー!」

一瞬、見た目から母さんかと思ったけど、この魔力はお祖母ちゃん!?腰にすがりついて泣いてるのだけど…なにこれ!?どうなってるの?

抱いてるティーが今まで見たこと無いくらい威嚇してるし…。


「姉ちゃん! 大丈夫?」

「いや…、意味がわからなくて混乱してるよ」

「そのドラゴン、アスカに散々敵意を向けておいて、そのアスカに助けを求めてるのよ?無視していいわよ」

優しいリアがここまで怒るって本当に何があったの!?


「アスカ、庇わなくていいよ。私はまだ許してないし」

母さんまで…。

「僕も許してない」

「ユウキ、取り敢えず説明してもらえる?ティーから断片的にしか聞いてないのよ」


怒ってるうちの家族みんながそれぞれ説明してくれて…。その間もお祖母ちゃんは私の後ろに隠れてる。

もう敵意とかも全く感じない。



お祖母ちゃんは魔王に対して、いい印象が全くなくて…。そこに自分と同じような魔力量を持った魔王の私が来たから…怖さと不信感であんな態度になってたと…。

確かに魔王って邪悪な存在が多いのも確かだし、私もお祖母ちゃんの魔力で久々にヒリつくほどの恐怖を感じたから気持ちはわからないでもない。


「みんな私のために怒ってくれてありがと。でももう大丈夫だから。お祖母ちゃんからもう敵意は感じないし…」

「姉ちゃんは優しすぎるんだって」

「そりゃあね、会うのを楽しみにしてたお祖母ちゃんにあんな敵意を向けられて…本当に悲しかったよ?でも、お祖母ちゃんなんだよ。 やっと会えた…家族なんだよ」

「…アスカは甘すぎるわ。 でもそれがアスカなのよね…」

「アスカちゃん…ごめんなさい。 こんな優しい子だったなんて…」

「お母さんが最初から話を聞いてくれてたらこんな事にならなかったんだよ!」

「うっ…それは本当にごめんなさい…。警戒心が勝っちゃったの」

「フシャーーーーー!」

「ティー、もう威嚇しないの。ね?」

「むー。わかったの…」


「アスカちゃん、大変だったわね?」

「王妃様、お騒がせしてすみません…」

「いいのよ、私もアスカちゃんの誤解が解けてホッとしたわ」

お世話になった国で戦いとかにならなくて本当に良かったよ…。


「お姉様、おかえりなさい」

「ただいまシエル。 シエルもありがとね」

「ううん。うちは本当のことを話しただけだから…」




憔悴しきってるお祖母ちゃんは取り敢えずソファーに座ってもらう。

ユリネさん達メイドさんがお茶とかを持ってきてくれて少し落ち着く。

「…アスカちゃん、ごめんなさいね」

「いえ、誤解が解けたのならそれでいいです」

お祖母ちゃんから魔王時代の事をいくつか質問され…保護してくれた魔族の話と一致した事で間違いないって安心したみたい。 だいぶ話が盛られてはいたけど…。


「聞いていた話と姿も違うし、女の子だったの?」

「それには深い訳が…」

性別が変わってしまった話もお祖母ちゃんにする。

「すみませんセイナ様、うちの息子がアスカちゃんを召喚した時に細工をしたせいで…。あれから魔法陣の解析も再度行ったのですが、ハッキリした事は解らずじまいでして…」

王妃様は私が母さんに偽装されていたって前提でも解析してくれてたみたいだけど、結局わからなかったみたいだね。


「お母さん、それには私にも責任があるかもだから、王妃様やアスカを責めないで」

母さんも偽装関連の話をする。

「そう…大変だったのね。でも魔力体だったのなら姿は自由に変えられたんじゃないの?」

「魔王の時はそうですね。今は一応人間なので、魔力体を作ることはできても、この姿を変えることはできません」

「なるほどね。 それとアスカちゃん、敬語じゃなくていいわよ。家族なんだから…」

「うん、わかったよ」


落ち着いた後のお祖母ちゃんはおっとりとした優しい雰囲気で、母さんとの確かな血の繋がりを感じた。



謁見の準備ができたと王妃様に伝えに来たアリアさんにも挨拶をして、お祖母ちゃんと両親は謁見へ。


私達は、のんびりしててって事なので、部屋に来たティア姉様とリアの再会と、口ゲンカを見守ったり…。

午前中のお勉強が終わって、部屋に駆け込んできたシルフィ様と話をしたりして過ごした。

遊園地のお土産も渡した。見たことのないお菓子にシルフィ様もティアねえ様も喜んでくれたと思う。


シルフィ様もうちの父さん達の勇者時代の話は本で読んで知ってみたい。

ただ、遠い国での出来事だからこの国では知らない人も多いのだとか…。

王妃様が魔大陸のあった近くの国出身の冒険者らしく、シルフィ様の読んだ本も王妃様が持ってきた物なんだとか。


「そう言えば、ユリネさんは知らなかったよね。 リアの話を聞いてびっくりしてたっけ」

「あぁ…地図見てた時か。そういえばそんな事言ってたね」

ユウキも思い出したらしい。 



「お母様の出身国と我が国は海を隔てて北の方へかなり距離もあるので、民間レベルではごく稀に来る商船の行き来くらいしか情報はありません。ユリネが知らなかったのも仕方がないかと思います」

国同士の関係も距離もあり過ぎる事でほとんど接点はないらしい。


「お母様の話ですと、現国王様はドラゴンハーフの女王様で数百年単位で統治してると…。あまり詳しい話はしてくれないのです…。お母様は商船に頼み込んでこちらへ渡ってきた、としか」

「その女王様ってお姉ちゃんの叔母さんだったりしないのかな?」

「ドラゴンハーフだって言うとあり得るよなぁ…母さんの姉か妹って可能性も」

「お姉様は王族!?」

「違うから。私は一般人だよ」

「ママは魔王だよ?」

「それは種族でしょう」

でも確かにドラゴンハーフだと、ありえない話ではないのかもね。




リアはまだティアねえ様と言い合いしてる。

ティアねえ様は私に会いたくても王妃様からの許可が出なくて我慢してたらしい。

そこへリアが遊園地の話とかを自慢するから…。ティアねえ様が荒れてる。

「アスカ、今度は私もついていくよ! お願いー」

「私は大丈夫だけど、お城から許可もらえる?」

「…なんとかするよ」

「それならいいけど」

「やった!」

喜ぶティアねえ様と対象的にリアは不貞腐れてる。

自慢話したリアも悪いと思うんだけど…。







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