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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第三章

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母の帰郷



今日はフィリアータへ母さん達を連れて行く。

やっと故郷に帰れる母さんは朝からずっとソワソワしてる。


「アスカ、私もフィアに会いに行きたいわ」

「そうだね、せっかく行くんだし…。すぐ飛べる様にしてあるから先に送ろうか?」

「それは嫌よ。アスカと一緒に行きたいの。だから時間ができてからでいいわ」

「わかったよ」


朝食後の休憩中に昨日のお土産をみんなに渡した。

お菓子類が殆どだから好きなものを選んでもらう。みんなもマジックバッグに入れて持っていけるし。


「シエル、これは服のお礼だよ。色々載ってるからヒントにならないかな?」

「お姉様、ありがとう。  すごい! 見たことない服がいっぱいなの…」

本をペラペラとめくって早速気になるのを見つけたみたい。


「パレード用の衣装とかだから普段着にはならないかもだけど、ヒントにはなるかなって」

「うん。色々アイデアが思い浮かぶの…!」

今にも新作を作りたそうだけど、シエルもフィリアータについてくるからね、我慢してるみたい。



「そういえばユウキは昨日の朝は遅かったね?」

「あぁ…姉ちゃん達を見送れなかったね」

「それはいいんだけど、寝坊するのも珍しいと思って」

「ほら、王妃様のお誕生日パーティーの時に写真撮ってたでしょ?」

「うん。 あぁ、印刷してアルバムにしてたの?」

「そうそう。今日渡したかったからね」

そういえば私もスマホのデータ渡したっけ。

私達の家族写真やティーとのツーショット写真も印刷してくれたらしく、みんな貰った。



「なになに?私にも見せてー」

母さんにあのドレス姿を見せるのは抵抗あるけど…仕方ないか。


「素敵だねー。アスカ、色っぽいじゃない! あれ?まだレウィちゃんはいなかったの?」

「うん、この時はまだだね」

「じゃあ今度は私達もレウィちゃんも一緒に撮らないとね!」

「そうだね、取り敢えず写真は返して。父さんには見せたくないから」

「ふふっ。わかったよ」


「わふっ! これが写真…? この姿の主様もかっこいい!」

「ママはいつもカッコいいの!」

レウィはティーに見せてもらってるのか。

「でしょ?ドレスのデザインは私がしたのよ?」

リアの趣味だったのね…。今度はもう少し加減してほしい。


「アスカ、俺にも見せてくれよ」

「…イヤよ」

きわどいドレス姿とか見せたら何を言われるか…。 (キレイだったのにー)

それはありがと…。


「ユウキ、頼む」

「…姉ちゃんが嫌がるなら無理かな」

「そんな…」

項垂れてガックリしてるし…そこまで落ち込むの? はぁ…。


「見るだけならいいけど…何か小言とか言うなら二度と見せないからね?」

「いいのか?」

仕方ないから写真を渡す。


「……みんな幸せそうでいい写真だな。 母さん、俺たちも一緒に写真を撮らなきゃな」

「うん、みんなでドレス着ようか?」

「…それならうちが作るの」

「シエルちゃんが? それはまた素敵になりそうだよ! ありがとうー」

この一週間で母さんとシエルは随分打ち解けたみたい。

お買い物とかも一緒に行ってたんだもんね。



朝食後の休憩も済んで、いい時間。

「そろそろ出発しようか?」

「そうだね…うん。 お願いアスカ」

「任されたよ。  みんな魔力ドームから出ないようにね」

青く可視化して展開された魔力ドーム。 それを初めて見る父さんと母さんはびっくりしてる。

「なんだコレは…?」

「すごい魔力だよ。 一体何をしてるの!?」

「説明はまた後でするから、取り敢えず全員中に入って。出ないようにね」

みんながドームに入ったのを確認して手に持った魔道具を起動。

前回、向こうを出た一月後に指定して飛ぶ。





青い光と共に何時ものお城の一室へ。

魔力ドームで包んだままみんなの体調だけチェック…。 うん、大丈夫だね。ドームを解除。


「ついたよ、体感で違和感とかあったら教えてね」

みんな自分でも確認して大丈夫って返事をしてくれる。


「シエル、一度指輪を外してみて?確認するから」

「わかったの」

……魔力も減っていかずに回復してるし、大丈夫。やっぱり地球でだけ起こる不調だな…。

「大丈夫だね、こっちにいる時は外しててもいいからね」

「うん、でもつけておきたいの…だめ?」

「それでもいいよー」



この部屋のベッドに丸まってる小さいドラゴンってティーの分体だね。 (そうー。今はスリープ状態?)

そうなの?相変わらず器用な事するね。


よしっ、まずは王妃様に挨拶しないと。 

「私は来たことを伝えてくるから。 ユウキ、ここお願い」

「任せて」


部屋を出て人を探すつもりだったんだけど、扉の前に騎士様が立ってた。 (そういえば、部屋に見張りがついたのー、忘れてた)

マジか。

「ひゃぅ…びっくりした〜アスカ様、いらしてたんですね〜」

一瞬可愛い声が聞こえたけど…。

「その声、セナさん?」

ガッツリ鎧兜姿だと見た目でわからないんだよ。


「はい〜お久しぶりです〜。すぐ王妃様へ取り次ぎますね〜」

「お久しぶりです。 じゃあお願いします」

セナさんに任せて部屋へ戻る。


「姉ちゃん早かったね?」

「すぐ外にセナさんが詰めてたからね」

「そっか。 っ…姉ちゃん!」

「うん、わかってる! みんな私の傍にいて!」

「お姉ちゃん?どうしたの?」

「いいから! みんな私から離れないで!」

何?この魔力は! すごい速さで向かってきてる…。私と同等?いや…それ以上か? 

敵だったら…


「アスカ、大丈夫だよ。ユウキも落ち着いて」

「でも、姉ちゃん並の魔力だよ!  姉ちゃん! 大丈夫だよね?」

「…何とかするよ」

絶対に家族は守らなきゃ…何としても。


「だからアスカもユウキも落ち着いて! この魔力、私のお母さんだから」

「「は?」」

それってドラゴンの?お祖母ちゃん?


「多分こっちに私が来たのを魔力で感じて迎えに来たんだと思うよ」

「…はぁ〜良かった…。 敵だったら私が全力で戦うしかなかったよ…」

「アスカが全力!? さすが伝説のドラゴンだわ…」


はっ…今度は王妃様!

バーン!

「アスカちゃん! いらっしゃー…って コホン。ようこそアクシリアス王国へ」

うちの両親がいたからか…王妃様が猫被った。

「アスカちゃん、なにか失礼な事考えてない?」

「…いえ。それより王妃様、ドラゴンがこっちへ向かってますので…」

「…はい?まさか敵対的なドラゴン!?」

「いえ…私の祖母にあたるドラゴンです」

「…………え?」

ティーは話してないの? (うん、ママのママが話したほうがいいかなって)

それもそうだよね。


「母さん、王妃様に説明お願いできる?」

「わかったよ」

その後、両親が王妃様に挨拶と自己紹介。素性も明かす。


「ご丁寧にありがとうございます…まさか英雄のお二人にお会いできるとは思わず、先程の不作法をお許しください」

「そんな畏まらないでください。うちの子達が大変お世話になりまして、ありがとうございます」

母さん達、英雄なんだ…。父さんは照れてるし。ってそろそろお祖母ちゃん到着するなー。

「…母さん」

「大丈夫だよ。 多分、人化して来ると思うし」

「…いや母さん、窓」

ユウキが部屋の窓を指差すから全員そっちを見る。

真っ白な翼の…お祖母ちゃんどころか、見た目はお姉さんだな…窓の外でホバリングしてる。


「お母さん!」

母さんが窓を開けるとお姉さんが室内へ飛び込んできた。すぐに翼も消える。

久しぶりにヒリつくほどの魔力の圧を感じる。敵だったとして戦いになってたら勝てたかどうか…。

そう考えると冷や汗が出る。


「ナツハ! やっと会えたわ! ずっと待ってたのよー!」

どっちが母さんかわからないほどそっくりな二人がハグしてる。

お祖母ちゃんのが髪は長く腰まである、それに母さんのが背は低いから一応判別はつくけど…。




「アスカちゃん、あの方が?」

「みたいですね、私も初対面なので…」

「アスカ…魔力ヤバい。 すごいわ本当に伝説のドラゴンよ…」

リアは感動してるのかな?



なんか邪魔する事も憚られて、二人が落ち着くまで見守った。






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