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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第三章

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パレード



パレードのルートはパンフレットに乗ってたし、穴場になりそうな場所も調べてある。


そこへ向かう途中に昼間にはなかった移動式のお店が何件か…。

「ママ! あれキレイー!」

「ほんとね! アスカのイルミネーションみたいだわ」

パレードの時に持って振ったりすのかな?カラフルに光るおもちゃが色々売ってる。

これは買わないとね。


二人に好きなのを選ばせてあげる。私は小さなバッヂタイプにして胸につけた。

ティーはカチューシャに、光る触覚がぴよんぴよんしてて可愛い。 (〜♪)

リアもカチューシャだけど花を模したライトが光っててこれも可愛い。




目的地について、ルートの道側の一番前に二人を座らせてあげる。

「本当にここを通るのかしら…」

「うん、パンフレットにも書いてあるから」

場所取りする人も増えてきてるし大丈夫だと思うけど。


暫くしたら遠くからにぎやかな音楽が聞こえてくる。

「もうすぐくるのー!」

ティーが待ちきれず立ち上がる。

先頭が見えてきたね。


だんだんと近づいてくるパレードにリアとティーは大喜び。

目の前に来たときには立ち上がって手を降るものだからパレードのお姉さんや、着ぐるみが手を振り返してくれてる。

さらに暫く進んだところでパレードにいたお姉さんがこっちへ来る。

「元気な二人はパレードに参加しましょうね! お姉さんも一緒に!」

えぇ!?

ティーとリアは大喜びしてるから断れるはずもなく…。


山車の上にあがると、何組かの親子連れや、カップルもいるからランダムで選ばれてるっぽいね。

乗るときに、参加した人だけが貰えるっていう光るブレスレットとバトンをもらった。

何そのイベント限定レアアイテムみたいなの…。


ティーには柵が少し高いから見えるように抱き上げてあげる。

「ありがとうママ!」

二人は楽しそうに音楽に合わせてバトンを振って、パレードを見て手を振るお客さんに答えてる。


私は、恥ずかしくて…無駄だとは思いつつ必死にティーの陰に顔を隠してた。



30分程だろうか、園内を回るパレードによる園内引き回しの刑にされて…恥ずかしさが限界。

私は、なにか前世か今世で悪行でも働いたのだろうか…。

「まさか自分が参加できるなんて思わなかったわ! 楽しくてもう忘れられないわよ!」

「ティーも! ママのおかげで高いところから見えたのー!」

二人の本当に嬉しそうな顔を見ていたら、少し恥ずかしさも落ち着く。

大切な二人の為だったって思えばこれくらい…。これ…くらい…うぅ…。


「参加してくださった皆様、お疲れ様でした! 楽しんでいただけましたか?」

「楽しかったのー!」

「ええ! ありがとう!」

二人は元気に返事してるなぁ…。他の参加者の人達も同じような感じだからおかしいのは私だけ?


「記念にパレードの時に撮影した写真をプレゼント致しますので、お持ち帰りください」

母さんは喜びそうだなぁ…。リアが代表で数枚の写真を受け取る。

「ありがとう。嬉しいわ!」

「楽しんでいただけて私達も嬉しいです!」

「リアー見せて!」

「ええ。 ちょっと…アスカはなんで顔隠してるのよ」

恥ずかしかったからだよ!!


一枚だけしっかり顔を撮られてる写真があって…リアはそれでなんとか納得してくれた。

「カメラマンが、お姉さんの写真を撮るのに苦労したらしいですよー」とスタッフの方が。

私、顔隠してたもんなぁ!? ホントよく撮ったよ…。 (ママは恥ずかしがりなの)

男だった時は、そこまでじゃなかったはずなんだけどね? (確かに!)



パレードが終わると、遊園地も閉園が近い。

今は帰り客のラッシュだろうから、少し時間をずらす為に出口近くのベンチで休憩。

「アスカ、今日はありがとう。凄く楽しかったわ」

「ティーも! でも…帰るのが寂しいの」

「そうだね…楽しかった分、夢から覚めたみたいに感じるね」

人の居なくなった遊園地は、昼間とは真逆に静かで…一層寂しさが強調される。


「ええ…。 また来たいわ…今度はみんなで」

「そうだね。ペットも入園だけは大丈夫みたいだし、レウィも連れてきてあげられるから」

アトラクションに乗るときは私がレウィと待ってればいいし。


「ママ、またこれる…?」

「うん。今度はみんなで一緒に来ようね」

寂しそうにしてたティーを撫ぜてあげる。

「うんっ! 楽しみにしておくのー」

「じゃあそろそろ帰ろっか。駅も空いてきたと思うし」

二人と手を繋いで駅へ向かう。


帰り客のラッシュも過ぎ、多少は人の減った駅で電車を待つ。

帰りには連絡入れるように母さんに言われてたんだっけ…。

メールで最寄り駅につく時間を連絡しておく。

多分、父さんが迎えに来るんじゃないかな?


帰りの電車内で、リアはぬいぐるみを抱えたまま私にもたれて、ティーは膝を枕にして寝てしまった。

時間もかかるしこのまま寝かせておいてあげよう。

お昼寝したとはいえ、かなりはしゃいで1日を過ごしたからね。当然だと思う。


明日も午前中にはフィリアータへ飛ぶ予定だけど…大丈夫かな。

まぁ…あっちで寝かせてあげればいいか。


いや待って。よく考えたら…いつものお城へ飛ぶ予定だけど、母さんの会いたいお祖母ちゃん達は何処にいるのか聞いてないな。辺鄙なところ、としか…。何処だよそれ!


だってそれ以上は母さんが何も言わないんだもん。

はぁ…まぁいっか。またドラツーで旅すれば。方角さえわかればなんとかなるでしょ。


母さん達がいた頃より数百年単位で時間が過ぎてるから国の情勢とかも違うでしょうし…。

私はあちらの歴史を少し勉強するべきなのかなぁ。

ユリネさんから聞いた今の状況くらいしか把握していないもの。



そんな事を考えてたら最寄り駅。

二人とも起きないから、やむなく片手に一人ずつ抱きかかえて電車を降りた。

駅員さんがびっくりしてたけど…仕方ないじゃない。


改札を抜けたところに父さんとユウキが待ってた。

「アスカ、おかえりって、大丈夫かそれ」

「姉ちゃんなら平気だろうけど、絵面はヤバいね」

「ただいま。 二人ともグッスリで起きなくて…」

父さんがすぐに車を駅の前に回してくれたから後部座席に二人を寝かせて私も乗る。

ユウキは助手席。


ユウキが、リア達が帰りには眠そうにしてるだろうからって車で来るようにしてくれたらしい。

相変わらずそういう所へ気を回してくれるのがありがたい。



家についた時には22時を過ぎてた。遊園地を出たのが21時くらいだったもんね。

「アスカおかえりー。 二人は…ぐっすりだね」

「母さんただいま。 うん、二人はこのまま寝かせるよ」

取り敢えず部屋に連れて行こう。 母さんはついてくるのね…。

「お風呂に入れないけど仕方ないか…」

「それは大丈夫だよ」

二人にはクリーンをかけて私のベッドへ寝かした。


「アスカってホント何でもありだね。 今のそれは浄化したの?ちょっと違う?」

「少しそれに近いけど…服とか身体をキレイにするだけだから。神聖魔法系の浄化とは違うよ」

「もしかしてそっちも使える?」

「うん、対アンデット用にね」

「へぇ〜。そうなんだ…」

「…なに?」

「ううん、私も巫女だからね。 そっちは得意だよ!」

「そうなの?」


その後、母さんとリビングへ戻って少し魔法の話をした。

巫女の役割ってなんだろうって思ったら聖女様と同じような立ち位置みたい。

対アンデットの浄化、パーティーへのバフ 回復等。ただ、母さんの場合は…。

拳系のブレス吐く巫女。 ってなんだよそれ! 初めて聞いたわ…。 

ドラゴンハーフだもんな! ただ…明るく元気だけど、ふわっとした性格の母さんからは想像できなくてね。 


ん?イヤちょっと待って…てことはよく考えたら、私とユウキは、ドラゴンクオーター? 

まさか私も角とか、ブレス吐いたり…。   

頭を抱えてたら、お風呂から出た父さんに早めに風呂に入れって言われてお開きになった。

そのせいで聞きそびれてしまったよ。

でも、魔王になる前は鑑定でちゃんと ”人” だったよね?

あぁ…でも母さんに偽装魔法かけられてたんだっけ。 元々 ”人?” だったかもしれないのか。

………。うん、難しく考えるのやめよう。私は私なんだから。



お風呂は私が最後らしいからゆっくり入って、浄化して掃除もしておいた。




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角っ子に目覚めてたし、この際自分が角っ子になるのもいいのでは?(圧)
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