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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第三章

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絶対阻止



買い物から帰ってきた母さん達が慌ててる。帰り道で召喚の前触れを感じたらしい。


「本当に大丈夫なんだよな?みんなを巻き込みたくないぞ俺は…」

「アスカを信じるしかないよ…」

不安なのはわかるけど、信じてほしいな。


前触れを感じてから、大体は一日以内には召喚されるらしいから…。

不安を紛らわすかのように母さんは料理を始めて、父さんは…ウロウロとリビングを歩き回ってる。


「ねぇアスカ、アレなんとかならないかしら…落ち着かないわ」

リアの言うことも最もだよね。

ティー達がアニメのDVDを見てるテレビの前も横切るから、すごく邪魔そうだし。

「父さん、落ち着かないからウロウロするのやめて」

「そうはいってもなアスカ。 今までどうやっても召喚の拒否はできなかったんだ」

「取り敢えず座ってよ。みんなも気にしてるし」

「…わかった」


そんなに不安なら両親の魔道具にも召喚阻止を付け足しておくか…。

「アスカは何をしてるんだ?」

「お姉ちゃんは魔道具を作ってるんです」

「ほう…何をしてるのか全くわからんが…」

「それは私も…。少し習ったけど難しくて」

「ママは世界一の魔道具職人なの!」

それは言いすぎだけどね。 (むー)


「なぁ…そのママっていうのどうにかならないのか?」

「ママはママだよ?」

「…じゃあ俺は?」

「ママのパパ?」

「…それならいいか…?」

何が気に入らないの?うちの父親は…。


「ティー、ちょっと」

「ユウキなにー?」

「…………」

「……おー」


「おじいちゃん!」

「ぐはっ……」

ティーが父さんを指差してそう言った瞬間、ものすごいダメージを受けてて…ちょっと笑える。

それを懸念してたのか…。


「ティー、やめてあげてね」

「えー?」

「流石にちょっとかわいそうだし」

「ママがそう言うならー」

「ありがとうアスカ」

「お礼はいいけどくっつくな! さーわーるーなー!」

抱きつこうとしてきたから反射的に避けた。

リア達なら平気なんだけど…。父さんにされるのは抵抗感がすごい。


あれ?ティーの”おじいちゃん”よりダメージ受けてない?

固まってるし…。 まぁいいや。

魔道具も完成したから渡さないとね。


「父さんコレ」

「……」

「父さん?」

「姉ちゃん、これショックで…」

えー。 (絶賛気絶中!)


「娘に気安く触ろうとする方が悪いわよ」

「うん、うちもそう思うの。お父さんに触られるのとかヤダ…」

「ちょっと…ルナリアもシエルも、うちの父さんにとどめ刺さないであげてよ!」

「いや、ユウキだって母さんに腕組まれるの嫌がってたじゃない」

「そうだけどさ…。 父さん、しっかりしてって!」

「…アスカが…あの可愛かったアスカが…触るなって」

父さんにはどんな記憶があるのやら…。



「ねぇ、お姉ちゃん。お父さんに触れられるのってそんなに嫌なものなの?」

未亜はあまり両親と触れ合ってないから分からないか…。ある意味これも贅沢な悩みなのかもね。


「なんかね? イヤなの。理由はよく分からないけど…」

「そういう物なんだ…」

「ご飯できたよー! って、どうしたの?」


話を聞いた母さんは大笑い。

「アスカも年頃だものねー仕方ないよ。 ほら貴方もいつまでも落ち込んでないで」

「しかし…」

「そんな事でアスカに彼氏ができたらどうするの?」

「…許さん!」

「アスカに勝てるとでも?」

「…うぐっ」

彼氏とか作るつもり無いから。 (いらないのー)

だよね。大切な家族がいるからそれで充分だよ。


「お姉ちゃんに彼氏…」

「そんなの許さないわよ!」

「わふっ! 主様の彼氏は大変そう…」

「作らないし、作るつもりもないからみんな落ち着きなさい」

「「ホント!?」」

「うん。私にはみんながいるからね」


落ち着いた父さんと、母さんにそれぞれ魔道具を渡す。

「ありがとうアスカ…大切にするよ」

「うん、そうしてくれると嬉しい」

「俺、ピアスは開けていないんだが…」

「それは自分でなんとかしてよ。わざわざオッドアイになる効果も付けたからピアスになったんだし」

「そうなのか!? ピアッサー買ってくるか…」

二人につけた効果の説明。

めちゃくちゃ驚いてた。この小さな中に!?って。

波長も刻んで正式に二人専用の魔道具になった。


リア達が張り合って自分たちのも見せてるね。 (ママの魔道具は自慢したくなるの)

そっか、なんか嬉しいよ。



母さんは肉じゃがを作ってくれてたから、私達も食器を出したりと手伝った。

リビングのテーブルにつき、いただきます。ってしようとした時に魔力のうねりを感じる…。

私達の時と少し違うな…。 まぁでも大丈夫。


父さんは表情を険しくしてるし、母さんは俯いて祈るように目を閉じてる。


魔法陣が父さんを中心に大きく広がる。

あぁ…魔法陣の範囲が広いからちょっと違うのか。

「アスカ!! 本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫だから」

私が答えるのとほぼ同時に魔法陣はひび割れ、キラキラと粒子になって消える。


「ほらね?」

「まさか本当に阻止するとは…」

「……あぁぁぁん…よかったよぉ……これで一緒にいられるよぉ……」

母さんは号泣してるし…。


泣いてる母さんが落ち着くまで待つ。

テーブルの夕食は魔力ドームで覆い、時間を止めて冷めないようにしておいた。

せっかく母さんが作ってくれたんだもの。

父さんが傍についてるから母さんの事は任せておく。


泣いてる母さんの姿を見て、本当に私達と居たかったんだって分かって、私は嬉しかった。

帰りたい理由も私達をお祖母ちゃん達に会わせたい、だったし。



これからは一緒にいられるよね。

新しい家族と一緒にさ。







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