戦闘力
「そんな事が…」
「お姉ちゃんが無茶して…そのおかげでエルフの人達や森は元通りになったけど…」
「そう…。 アスカ! やった事は偉いよ。 でも無茶はもうしたらだめだよ!」
「…はい」
私はまた怒られるのかな。
でも母さんは抱きしめてくれた。
良くやったねって…。ちょっと涙出ちゃった。
「じゃあシエルちゃんとレウィちゃんはその時の?」
「はい。お姉ちゃんが引き取ったので」
「なるほどねー。起きたら二人からも色々聞きたいな!」
「程々にして…」
むふーって楽しそうにしてる母さんには言っても無理だろうな。
バキッ!
えっ?
突然の音にびっくりして振り向いたら、ユウキが父さんを殴ってた。
かなり加減はしたみたいだけど…。
「姉ちゃん、父さんの治療お願い」
「わかったよ」
「ってぇ…。でもユウキもこの程度か…」
治癒しようとしたらそんなことを言うから…。 スパーン! カチンときて私もひっぱたいた。
「ってぇ!! アスカ! 何しやがる!」
「何度でも殴りましょうか? ユウキがどれだけ我慢して抑えて…加減したと思ってるの!」
「は? 加減した?」
「当たり前でしょう! 本気でユウキが殴ってたら家の壁ぶち抜いて何件も向こうまでぶっ飛んでくよ!」
「…うっそだろ…」
「姉ちゃんなら街ごと消滅するよね」
「………すみませんでした」
父さんの見事な土下座だった。
「姉ちゃん、治療はいいや…」
「だね。ちょっと反省してもらわないと」
母さんも流石に庇えないのか放置するらしい。
父さんは必死に母さんへ視線を送ってるけどね。
「お姉ちゃん、いいの?」
「いいの! 何で父親ってこんなんなの?」
「男の人はね?いつまでも子供なの。 それが可愛い時もあるんだよ?」
母さんはそう言うけど…私には分からないや。
ユウキはそんなこと無いし。 いや、でも中二病を患ってたわ…。
今日は母さんが晩御飯を作ってくれるって張り切ってた。
父さんと買い出しに行ったし。
両ほっぺが腫れたまま買い物は流石に行けないってことで治してあげたけど。
料理を手伝いたかったけど…今日は任せてほしいって言うから大人しくしておく。
今のうちに、未亜とリア。ティーの指輪と、ユウキの魔眼か…。
あとはレウィの首輪も。
それを作っておこうかな。
部屋は…みんながお昼寝してるしリビングでいっか。
未亜がお茶をいれてくれたからそれを飲みながら作る。
「未亜はなにかつけてほしい効果ある? 魔眼とか…?」
「それはいらないよ!!」
だよね〜。
未亜はどんな効果があるのかよく分からないから任せるって事だから…
身体強化をつけておいた。また何かあれば足せばいい。
リアのは勿論召喚阻止。これで普段は地下のを切ってもよくなる。
ユウキや母さん達が召喚されたいって言うかもだし…。
ティーのはどうしようかな。
あの子は本当に優秀だから…。 (ふふん)
起きたの? (うん、おはよー)
おはよ。 ティーはどんな効果つけてほしい? (んとね、分体も一人でもいいから実体化したいの)
ふむ…。それはお城に残してる分体? (そう、ママへの伝言を受け取るのに不便ー)
なるほどね。わかったよ! (できるー?)
多分ね、なんとかなると思う。ほら、私のドラツーと同じようなものだよ。 (おおー)
魔力体として分離させれる様にして…それを維持か。
ただティー? これってティーにも、負担かかるよ? (大丈夫! ママのスキル借りるから)
あぁーなるほど。ならいっか。マルチタスクに負担なくなるものね。 (うん!)
私が複雑な魔法を同時にいくつも維持できるのと同じだね。 (そうーママのスキルすごいの)
苦労したからねぇ…。 (ほんとーにお疲れ様なの)
ありがと。
「お姉ちゃん、ティーちゃん起きたんだね?」
「うん、指輪の相談してたよ」
魔石はシエルと同じ透明がいいって言ってたから三人ともそれで作る。
指輪のデザインもお揃いがいいらしい。
ユウキの魔眼か…。
「ねぇユウキ、魔眼ってなに?」
ボケーッとテレビを見てるユウキに聞いてみる。
「え? それはさ…ほら、目からビーム出たり、相手の戦闘力とかがわかったり?」
ユウキもよくわかってないのかよ…。 (ママ口調…)
気をつけるよ…。
「ピアスにするよ?目の近くのがいいし」
「わかった、ティーの時みたいに一瞬であけてね?安全ピンはやだから」
「はいはい」
ビームはまぁ簡単だからいいとして…戦闘力って鑑定とかの事かな?
精密な鑑定よりは戦闘力だけ数値化して見えるようにしたほうがいいかな。 (喜びそう! ティーもそれほしい!)
わかったよ、指輪に付けとくね。 (わぁーい!)
後はオッドアイを偽装できるようにもしておく。常に眼帯する訳にもいかないでしょうからね。
ユウキのは赤色の魔石に術式を刻んで…。男の子だし、あまり目立たないデザインのピアスに仕立てる。
「ユウキ、ピアスホール開けるからおいで」
「…うん。痛くしないでね?」
「欲しがった物なんだから少しは我慢しなさい」
「わかったよ…」
左耳にティーにしたのと同じ水魔法で穴を開ける。
見てる未亜も怯えてるし…。
プシュっと一瞬。
「っ、チクッとしただけだった…」
そのままピアスもつけてあげた。 (ティーは痛くなかったのー!)
ティーは強いね。 (ふふーん♪)
「よしっ、これでいいよ。 ビームは危ないからここでは試さないでよ。戦闘力のは鑑定の応用だから」
「ありがとう姉ちゃん! うわっ…姉ちゃん…」
「なによ?」
「文字化けして見えない…」
そんな事ある!? (ママの戦闘力は測れないの)
……。
「未亜姉ちゃんは…8万?」
「ちょっとユウキ君、勝手に見ないでよ」
「ごめん…でもそれしか見えないから」
「ならいいけど…」
詳しい鑑定だと身長、体重、スリーサイズとかまで分かるからね。
だからつけなかったんだよ。 (ティーはママの知ってるの)
ティー? (言わない! 誰にも!)
そうしてね。 (ママの威圧マジやべーの…)
リンクしてるから伝わっちゃったのか、ごめんねティー。 (うんっ! 平気ー)
ユウキはあれで母さんや父さんも見るんだろうな…。
なんか楽しそうにしてるからいいけど。
「ユウキ、これも渡しておくよ」
「これは…?」
「召喚されたときの対策。イメージすれば時間を指定してこちらへ帰ってこれるよ」
「…マジか。こっちから異世界へは?」
「フィリアータだけは飛べるよ」
「姉ちゃんありがと。じゃあランダム転移しなくてもアクシリアス王国のギルドで仕事もできるのか」
「そうだね。ただし…イメージがちゃんと出来ないと飛べないからね」
「…イメージか」
「まぁ、自宅なら自分の部屋と日時を思い浮かべればいいし、アクシリアス王国なら私の借りてる部屋って感じだね」
「わかった。ありがとう」
「行く時は一言声掛けで行ってね?」
「わかってるよ、姉ちゃんみたいな事しないし」
私そんな事は… (してる!)
はい…。気をつけます。 (うむっ)
暫くしたらみんな起きてきたから指輪を渡してあげ…
「え?私がつけるの!?」
「シエルにもアスカがつけてたじゃない!」
リアは見てたもんなぁ…。でもあれは寝てたし、辛そうだったからで…
「それなら私も…」
「ティーもー!」
わかったよもう!
全員の左手薬指にお揃いの指輪をつけてあげる。
これ誤解されないか不安だわ…。私はつけてないからまだ言い逃れできるよね!?
…そう思って諦めよう。
レウィの首輪も青色の魔石にいつもの三点セット。魔法防壁、魔力電池、魔力増幅。
それと手足の浄化機能。お散歩から帰った時にわざわざ洗ったりしなくていいからね。
外出時は四足歩行を徹底するように念を押す。
「わかりました! 話もしないほうがいい?」
「私と一緒の時は大丈夫だよ、会話が漏れないように魔法使うの癖になってるから」
「はーい主様」
ついでたから、父さんのオッドアイも使ってあげたよ…。
青い魔石に、魔法防壁、魔力電池、それに増幅効果もつけておいた。
これも当然ピアス。穴は自分であけてもらう。そこまでは知らないよ。
母さんにはネックレス。シンプルに青い魔石をダイヤモンドカットにして作った。
効果も父さんのと同じようにしておいた。
帰ってきたら二人の魔力波長だけ登録しないとね。




