昔の話をしようか
リアはいつもならお昼寝してる時間らしく、ティーとレウィを連れて部屋へ戻っていった。
「親子で話したいこともあるでしょう?」って。
シエルももう一度魔力ドームで鑑定して安定してるのを確認。
「眠かったらシエルも休んでおいで。私のベッド使っていいから。リアたちもいると思うし」
「わかったの…」
目をこすりながらシエルも二階へ上がっていった。
3時間くらいしか寝れてないものね。
「未亜は大丈夫?」
「うん、少し眠いけど…まだ聞きたいことあるし」
「そっか」
ユウキはなんか父さんと揉めてるよ…
「ずっと嘘ついてたんだよね?姉ちゃんは怒らなかったかもしれないけど、僕は怒ってるから」
「すまん…」
「謝ってほしいわけじゃない。納得行くまで説明してもらうから。その後殴る」
「…わかった。 でも加減してくれよ?」
「話の内容次第かな」
まぁ多分大丈夫だよね。ユウキって冷静なとこあるし。
「アスカはもういいの?」
「うん、母さん達の気持ちを考えなかったのは私も同じだから…」
「ありがとう…じゃあ私達もお話しようか」
私と未亜、母さんでゆっくり話をすることに。
未亜は両親の事を色々聞いてた。
未亜のお母さんはハーフエルフ。
聖女として、パーティーに加入していたのだとか…。
一目惚れした未亜のお父さんが旅の間中、口説き続けてようやく折れたらしい。
お母さんの方の両親からはすごい反対されて…だから逃げるようにこっちへ来たと。
その時にはもう未亜がお腹にいたらしい。 未亜のお父さん手が早いな…。
こっちで仲間内だけの結婚式をして未亜を出産。
その直後くらいから魔力不調が顕著になった。これってたぶんハーフの未亜が、お腹にいたから大丈夫だったとかだったりして?
持ってた魔力回復薬とか、うちの母さんができるだけ魔力を分けてあげていたらしい。
でも、うちの父さんの召喚が再開してしまって、ついててあげられなくなった事で渡りの力を使う事にしたと。
未亜をお祖母ちゃんに預けて異世界とこちらを行き来しつつ故郷を探していた。
ランダムだからかなり苦労したらしい。
「……お母さん」
「シエルと同じ症状なら、魔力のある世界に行けば不調はでないから大丈夫だよ。元気にしてると思うよ?」
「うん、そうだよね…。 私は…ついて行ったほうがよかったのかな…」
「うーん…そればっかりは私には分からないけど…、そうしてたら私達は出会えなかったね」
「…それはイヤだよ」
「うん、私も考えたくないかな」
未亜と出会わなかった世界線とか考えたくないよ…。
「二人は本当に仲良しね。アスカに任せて正解だったよ」
「母さんは私達に丸投げしたものね?」
「うっ…だって仕方ないじゃない」
「わかってるよ、責めてるわけじゃないから」
「ありがとうアスカ」
「ううん、大切な家族だからね。 でも母さんは魔力不調出なかったの?」
「それね? 最初は兆候があったのだけど…体が慣れたみたい」
「なにそれ…ドラゴンハーフだからとか?」
「かも…? 正直理由はわからないの」
まぁそっか…母さんも父さんも鑑定使えないみたいだしね。
一度鑑定して確認しようか?って聞いたけど…娘に見られるのは恥ずかしいってさ。
よく分からないけど嫌がることをするつもりはない。
「アスカ、私達をフィリアータへ連れて行ってもらうことはできる?」
「うん。でも私が知らない過去の時間までは飛べないよ?」
新しく作った魔道具で指定できる最過去は私が王子に呼ばれた時。
もしくは…例の魔法学校の魔王が私だったのならその時かな。
「それでもいいからお願い…」
「わかったよ。 でもドラゴンのお祖母ちゃんはともかく、お祖父ちゃんはもう…」
「それなら大丈夫よ。魔力の共有をする契約をしてるから数百年程度ならなにも変わってないと思う」
あぁ…ドラゴン式の結婚か。でもあれって魔力差があり過ぎたら…。
「私もリアのおかげでドラゴン式の結婚の事は多少知ってるけど、魔力の差があり過ぎたら同等の契約ができないとかじゃないの?」
「よく知ってるね? でもそれはあくまでも同等に拘るからなの」
「うん?」
「魔力の多いほうが気にしなければいいだけ」
なんだそれ!!
「ドラゴンって力関係を大切にするからどっちかが有利な契約を嫌がるのよ」
「なるほど…」
「愛だね! お姉ちゃん!」
「まぁそうなるのかなぁ…。二人が魔力差を気にしないなら、それでいいのか」
「うん。それで契約したから二人は魔力の共有をしてる…だからある意味お父さんもドラゴンハーフみたいなものかも。実際はもうちょっと特殊だけど…」
なるほどね。
「ただ…二人が結ばれた当時はドラゴンからも認めてもらえなかったからか、かなり辺鄙なとこに住んでるよ。私も何もないところで育ったから初めて街へ行ったときは興奮したし!」
母さんも好奇心旺盛だもんな。
その時点で母さんは1000歳こえてたとか…。
「めっちゃお祖母ちゃんじゃん!」
「やめて!? まだ若いんだから!」
1000越えてて若いとか…。
「じゃあお姉ちゃんのお祖母ちゃんって何歳…?」
「聞くの怖い…」
「さぁ?知らないよ」
「「え?」」
「教えてくれないんだもの。仕方ないじゃない」
きっと聞いちゃいけないんだろうな…。
母さんは街を回りながら旅をして色々見て回ってて、行く先々で困ってる人を助けたりもしてたらしい。
そんな時に魔王が出現、ちょうど母さんが滞在していた街が襲われて…そこで活躍したんだって。
ドラゴンハーフなのもあって、ドラゴンへの助力をその国の国王から頼まれて、ドラゴンのお母さんに相談。
召喚の方法を持ち帰って、父さん達が召喚される。
異世界から呼ばれた人は成長が早いんだとか…。
そう言えば私達も最初の召喚でそんな話を聞いた気がするな。
半年ほどかなりスパルタで鍛えられて、後半は教官の騎士のが弱くなってた覚えがある。
召喚を伝えて、実行した本人としてパーティーに参加した母さんは、父さんに惚れて…。
うん、その話はなんかいいや。
「なんで!?いいとこなのに!」
「母さんは自分のお母さんの恋バナ聞きたい?」
「…うん無理、わかったよごめんね」
わかってくれて何より。
魔王との戦いは苛烈で、魔大陸はほぼ水没。生き残りも母さんが殲滅したらしい。
「お姉ちゃんのお義母さんも魔王みたい…」
「確かに…」
「違うからね!? 私は蒼白の巫女って呼ばれてたんだから!」
ぶっ…。それどっかで聞いたよ!
「お姉ちゃんは蒼白の癒やし手様だよね」
いやぁぁぁ…! やめて!
「未亜ちゃんその話詳しく!」
止めても無駄ですか…もう好きにして。
エルフの森での出来事を未亜が母さんに話してるし。
いいよもう…。




