親子だわ
「母さん、まだ隠してることあるよね?」
「うん、話すから怒らないでね?」
内容次第って言いたいけど…もう怒る気もなくなってる。
「ちゃんと聞くよ。そんなヤバい話なの?」
「私の出生について、かな」
「うん? まだ何か力を隠してるのは、なんとなくわかってたけど…」
「お姉ちゃん、ユウキ君も聞かなくていいのかな?」
まだシエルと盛り上がってるの? というかレウィは? (ずっとソファーで寝てるよ?)
自由か! まぁワンコなレウィには無関係だもんな? (怒らないであげてー)
怒らないけどさ。 出番がないだけだし…。 (かわいそう!!)
知らんがな…。
「アスカ、話してもいい?」
「ごめん、母さん。ユウキが落ち着くの待って…」
「そうだね。ユウキにも話さないといけないし」
「羨ましいな…ユウキ。 アスカ、父さんも魔道具とか魔法でオッドアイに出来ないか?」
「……」
「待て…アスカ。その指はなんだ?ちょ…」
「…片目を真っ赤にすればいいんだよね?」 (ママがまおーの顔に…)
「悪かった! 冗談だからやめてくれ! 母さん! アスカを止めてくれ!」
「バカな事言うからでしょう? まったく…。 いつもいつも! 大きな武器はロマンだ! とか、振り回せもしないのに。 そんな事ばっかりしてるから…」
うわぁ…なにそれ。
「母さんそれ今言わなくてもいいだろ! アスカと未亜ちゃんの視線が氷のように冷たい!?」
「ねえアスカ、貴女のお父様もなかなかね?」
「やめてリア…私も知りたくなかったよ」
ユウキも父さんも…ホント親子だわ!
眼帯のデザインが決まったらしく、ようやくユウキも話を聞く体制に。
「ごめんね母さん。話をお願い」
「うん、あのね…私はドラゴンとのハーフなの」
「…え?」
母さんの身体に魔力が流れた後、頭に小さな角と、背中には銀色の翼、それに尻尾…。
今でも時折見る、半ドラゴンのリアと同じ様な姿になる。
「やっぱり…。ドラゴンの魔力が少ないから確証はなかったけれど」
リアは気がついてたのね、言いかけてたのはコレか。
「私のお母さんがドラゴン、お父さんは人間でね。私はその血を引いているから…」
「確かに魔力も膨れ上がったね…。 でも姉ちゃん程ではないなぁ」
そうなんだ。確かに私は母さんに脅威は感じない。
「アスカ、貴女どれだけなの!?」
「当然よね! アスカは私達ドラゴンを数十匹合わせてようやくって感じだもの」
母さんがorzになってるけど!?
「母さんはな? いつかこの話をして、アスカ達にすごい!! って言ってもらうの期待してたから」
「貴方、やめて…恥ずかしい」
「すまん…」
なんかごめん、母さん。
母さんは人寄りのハーフで、ドラゴン本来の姿にはなれないらしい。
でもあの翼で飛んだりとかはできるし、力や魔力も並の人間より相当高いと。
なるほどね…私の威圧に母さんだけ耐えた事や、父さんを守ってるっていうのも納得だよ。
他にも姉妹はいて、ドラゴン寄りだったり、完全にドラゴンだったり、人だったり…色々らしい。
「最後にもう一つ…」
「まだあるの!?」
「私の故郷はフィリアータって言うの。聞いたことあるよね?」
嘘…そんな事ってある? ちょっと待って…そうなると色々とつながる話が…。
「リアが生まれる前にいた魔王、それを討伐したのってまさか…父さん達!?」
「でもアスカ、それって何百年も前よ?」
「父さん達は向こうの一月がこっちの一日らしいの…だから他の召喚とかを踏まえても私の年齢から逆算したら…」
「そうだね、軽く数百年はたってる事になるね。僕達が行ってるフィリアータは母さん達からしたらかなり未来だよなぁ」
母さん達は私達の話を聞いて唖然としてる。
「ねぇ、母さん。聞いてもいい?」
「う、うん…なにかな?」
「母さんのお母さん、私にはお祖母ちゃんになるのかな?そのドラゴンって初めて人と恋をしたドラゴンだったりする? 人化の術を編み出したドラゴンで合ってる?」
「なんでそれを知ってるの!?」
やっぱりか…。
「アスカ、まさかよね?」
「そのまさかだねぇ…」
「なら、誓いの証に首輪を送った人間って…」
「私のお祖父ちゃんになるね」
「そんな簡単に言わないでよ! 伝説のドラゴンのお話なのよ!」
でもそうなると、人間だったお祖父ちゃんはもう…。
「うちのお母さんって伝説になってるの!?」
「ええ、だって人化の術を編み出したドラゴンですもの。それに恋のお話も素敵で」
「ルナリアちゃんストップ…自分のお母さんの恋バナはキツいよ」
確かに…私も母さんと父さんのそんな話、あまり聞きたくはないなぁ。
となると…私があの世界に何度か呼ばれた事や諸々も発端はここか。
フィリアータの世界の血を引いているから当然だよね。繋がりやすいはずだし。
「姉ちゃん、一度休憩しない?ティーも疲れて寝てるし…シエルもウトウトしてるよ」
「え? ほんとだ…。 昨日寝るの遅かったものね」
シエルには分からない話が続いてたし、悪いことしちゃったね。
レウィは…うん。気持ち良さそうに寝てるわ。寝てる姿は完全に犬。
そのうちお散歩にでもつれていこうかな。
未亜とお茶を淹れて、一息入れることにした。
ストレージに残ってたアップルパイもだす。少ししかないけど…って思ってたら未亜も出してくれた。
「ありがとう未亜」
「ううん、せっかくだから」
また作ってあげないとね。 (んあ…ママのお菓子…)
香りで気がついたのかな? アップルパイあるから食べるなら起きてね。 (おきた!!)
シエルもレウィも起きたからみんなでお茶にした。
話をしてたからお昼も食べそこねてたしね。




