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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章

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魔変換と指輪



ベッドを抜け出して地下へ。

まだみんな寝てるし、起こしたくないからね。


一言で説明するならシエルはこちらの環境が身体に合わない。それが原因。

魔道具で対策をしてあげないと…このままだと、どんどん衰弱していく事になってしまう。


こっちで生まれた私達や、私の魔法が元になってるティーはわかるけど…。

なぜかドラゴンのリアや魔獣のレウィは平気なんだよね。

心配になって部屋にいたみんなも鑑定したから間違いない。


地球って魔法がないから自然界に魔力もない。

人間も魔力波長くらいしか出てないしね。

そもそも私が魔力波長として認識しているだけで違うものかもしれないし。

なので、本来なら魔力の自然回復もしないはずなんだけど、私やユウキは地球人とのハーフな上にスキルもある。 スキルはなくても未亜もこちらで産まれたハーフだ。

だからなのか地球でも魔力はちゃんと自然回復する。



シエルは地球では魔力の回復ができないから、身体を循環する魔力に不調が出てる。

その結果、状態異常を起こしてる様な状況だ。


生きている限り、魔力は多少なりとも常に消費している。

だけど魔力のある世界なら自然回復のが早いから問題はない。

でもシエルは魔力の補充ができないから減り続けてる訳だね。

しかもエルフは元々魔力の多い種族だから自然から吸収する魔力も多いみたい。

魔法を使い続けて消耗、それがずっと続いてる様な状態だ。



どう対策するか…。

私とリンクさせて魔力を補給させることも考えたけど、相性が悪いから無理だろう。

となると、地球にある物から魔力へ変換させて補充させるしかない。

地球で魔力に近いもの…やっぱり酸素か。呼吸して取り込んでるものだしね。


魔力への変換は、魔道具へ取り込んだ酸素をまず純粋なエネルギーにして、それを魔力へ変換。

多分だけど…私達地球産まれは、これに似た事を自然にしているのではないかと思う。


かなり複雑になるけど、やらなきゃ。シエルの為だもの。

悩んだ末に何とか術式の構成は出来上がり、紙へ下書き。

効率を上げるために、何度も書き直したけどね…。


下書きした術式を透明の魔石に魔刻刀で刻み込む。

容量に余裕ができたから、エルフ耳の偽装もできるようにしておく。

普段使い出来るように指輪にした。外すと不味いからね。 (ママ、シエルが苦しそうなの…)

わかったよ。すぐに行くね。

この魔道具が効かなかったらシエルはフィリアータへ帰すしかなくなってしまう…。



出来上がった指輪を持って部屋へ戻る。

リアも起きたみたいで心配そうにしてるね…。

「アスカ…シエルは大丈夫なの!?」

「取り敢えず対策のための魔道具を作ったから。それで様子を見るよ」

「そう…もう原因はわかってたのね。流石だわ。 でも後で説明してね」

「うん。 シエル、ちょっとごめんね…」

魔道具の内容的に左手の薬指が一番いい。地球だと特別な意味を持つけど…異世界は違うよね?

王妃様も指輪は中指だったし…。 (うん、大丈夫!)

よかった。


寝てても息の荒いシエルの薬指に指輪をはめる。

そのまま魔力ドームで包んで鑑定をかけつつ、経過観察をする。

ーーーーーー

ーーーー

ーー

……大丈夫そうね。 良かった…。

呼吸も、魔力の流れも安定してきたし、魔力もしっかり回復していってる。 (よかったのー!)

うん、これで取り敢えずは一安心。


「もう大丈夫なの? アスカ説明してもらえるかしら」

「うん、これで大丈夫だよ」

心配してるリアへ経緯を説明してあげた。



「なるほどね…。そうなると私やレウィはなんで問題ないのかしら?」

「それがはっきりしないのよ。だからまだ油断できないの」

「シエルだけが違うのって…種族? いえ、それならみんなバラバラよね…」

「ママ、シエルだけしてない事があるの」

「あ…、魔力循環か! シエルは相性が悪くてできなかったから…」

「今回初めて来たレウィもドームで飛んだじゃない? レウィは平気なのよね?」

「うん。でも、あの子はフェンリルの力を制御させるために魔力循環させて安定させたから」

「なるほどね…。こちらの世界で産まれたアスカの魔力、しかもとびっきり強力な物を循環された私達は…」

「ママの魔力からこっちの世界への適応能力をもらってるの!」

まじか…。 



「うぅん…」

騒がしくしてシエルを起こしちゃったかな。  レウィは…ぐっすりね。


目を覚ましたシエルにも詳しい説明をして、指輪を外さないように念を押す。

「ありがとう、お姉様…こんな高価な魔石まで使ってくれて…」

「それは気にしなくていいから。 ただ、暫くは定期的に経過観察させてね。それに違和感があったらすぐに言う事」

「うん。今は凄く好調なの!」

顔色も良いし、そのまま好調なら問題ないけど…。しばらくは様子見。


「それと、こっちの世界にエルフは居ないから、耳を偽装できる様にもしてあるからね」

「そうよね、こっちはドラゴンもお話の中にしかいないのよ?」

「ゲームだとだいたい敵なのー!」

「あれはホント腹立つわ…」

リアのご立腹は最もだけど、私に言われても…。


「外出する時だけでいいから、申し訳ないけど耳を隠してね」

「わかったの」


そろそろユウキ達も起きるから朝ごはんの仕度と、この話もしないといけないね。




リビングでリアがシエルにテレビとか家電の使い方を教えてる。

リアはこっちの言葉もすぐに覚えたのかと思って感心してたけど、翻訳スキルを持ってた。

さっき鑑定して知ったよ。


シエルとレウィも一度あちらへ戻ったらスキル獲得したりするのかもしれないね。

地球ではスキルの獲得はできないはずだし、まだ翻訳スキルは持ってなかったから。


キッチンで朝ごはんとユウキのお弁当を作りながらリビングのみんなを眺める。

レウィも起きてきてティーとパズルゲームをしてる…。ホント器用ね。


そういえばティーのスキルだけど、あの子は使いたいって思ったスキルを都度、私のスキルから共有出来るようになってる。

こないだエルフの森でリンクさせたからね。

不都合はないし、ティーの身も守れるからそのままにしておくつもり。

だから、ティーが個人で持ってるのは安全装置の魔法として織り込んだものだけ。

それでもかなりの数だけどね。ティーが適応力が高いのや頭が良いのはこれかも?

後は…強制力だね。

リンクさせてても私はこれにだけはアクセスできなかったから、ある意味固有スキルなんだろうなぁ。


「お姉ちゃんおはよー! 手伝うよ」

「おはよ未亜。ありがとね」


出来上がる頃にようやくユウキも起きてきた。


「ユウキ、おはよ。 昨日遅かったのに本当に学校行ける?」

「おはよ姉ちゃん。問題ないよ、ギリギリまで寝てたし」



朝ごはんを食べながらみんなへシエルの事を話して、指輪を外さない様にさせる事を周知。

未亜が指輪をつけた薬指に反応してたけど、一番効果がある場所だからって話してわかってもらった。

わかってくれたよね!? (たぶん…)


いや、その話をリアにしたらややこしくなるから! あぁもぅ…。


わかったよ…二人にも指輪ね? (ティーも!)

了解だよ。 未亜は学校で誤解されても知らないからね!


リアは召喚阻止の魔道具にできるから丁度いいと思って諦めるよ。

チョーカーの方を書き換えるのはヤダって言ってたし。


  










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― 新着の感想 ―
ふと思ったけど、プロローグの召喚ってもしかして美亜の親がいる異世界か? 一緒に暮らそうと強制召喚敢行したとかありそう
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