居ぬ間に予定を
ティー、フェンリルはどこに行ったかな? (ティーの本体とリビングで遊んでるの)
ありがと。名前決まったこと伝えてあげないとね。 (きっと喜ぶのー)
シエルを連れてリビングへ向かう。
みんなリビングにいるのね、フェンリルに興味津々かな? (お話できる魔獣は珍しいの)
まぁそっか…。
「あ、お姉ちゃん。シエルちゃんとのお話は終わったの?」
「うん、ちょっと確認とお願いがあっただけだからね」
シエルには誤解させちゃったみたいだけど…。
「アスカ、早くこの子の名前つけてあげて。呼びにくいわ」
「それを伝えに来たのだけどね」
「主様、ボクの名前決まったの?」
「うん、レウィってどうかな?」
「レウィ…ありがとう主様! 素敵な名前ー!」
気に入ってくれたみたいだね。 (うん!)
由来の説明もちゃんとしてあげたよ。
レウィには首輪を作ってあげないと。このまま連れ帰ったら野良犬扱いされちゃう…。 (野良犬て…)
まぁいつもみたいに魔道具にするけどね?
「あっ…お母様から通信なので少し失礼します」
レウィを撫ぜてたシルフィ様がそう言って席を外す。
たぶん長老様との謁見に関することだと思う。となると…。
「ティアねえ様、長老様はどう?」
「朝から見てないから知らないよー。まだぐったりしてるんじゃない?」
もう少し気にしてあげた方がいいのではないだろうか?
「そろそろお城に向かうことになりそうだから、二日酔い治すよ」
「そうだね、謁見とかするのにあのまま行くわけにいかないもんね、まったくもう!」
ティアねえ様は飲みすぎた事を怒ってるからほっといたっぽいな…。
ティアねえ様と二人で長老様の部屋へ。
室内ではベッドでぐったりした二人が…。もっと早く治したほうが良かったのかしら。
なったことが無いからわからなくて、ゆっくり休めば良くなるかと思ったのだけど。
「やれやれだよ…。 二人とも、アスカが治してくれるから」
「うぅ…お願いします」
というか、私はドラゴンが二日酔いになるって初めて知ったよ。
二人の体内のアルコール成分を分解して、疲労回復させる。
「ありがとうございます、お食事もお酒も美味しくて…つい羽目を外してしまいました」
「私はしばらくお酒飲まないわ…」
懲りたのならいいけど…。 (ママ、王女様が探してるのー)
わかったよー。ありがとう。
「飲み物と、軽食を置いておきますので…もうしばらく安静にしててください」
「ありがとうございます…」
「お恥ずかしい姿をお見せしました」
「折角のパーティーでしたからね。それにドラツー内では寛いでてもらったほうが嬉しいので」
スポーツドリンクと、クレープをテーブルに置いて部屋を出る。
「アスカ、ありがとう。また手間かけちゃったね」
「ううん。ドラツーにいるときくらい自分の部屋にいるように寛いでほしいし。勿論ティアねえ様にもね?」
「うん!」
またティアねえ様にハグされて…、リビングへ戻ってきた。
「アスカ様、お母様から伝言が…」
「そろそろ出発ですか?」
「はい。準備が整ったのでいつでもーと。 また魔術師の訓練場へ降りていただけますか?」
「わかりました。 ティー、お願いできる?」
「ラジャー! ママ船長」
ティーがいつものように敬礼するとドラツーはツリーハウス前から離陸した。
慌てなくていいからね。長老様達がまだ準備できてないだろうから…。 (はーい。安全運転〜)
ゆっくり飛んでも30分程で到着。 シルフィ様を通じて到着したことを王妃様へ伝えてもらった。
人払いもしてあるらしいからドラツーの隠蔽は解除して搭乗口は開けてある。
多分アリアさんがシルフィ様達を迎えに来るんじゃないかと思ってね。
ティアねえ様は長老様と行動する事になるからって二人の仕度を手伝いに。
シルフィ様と王子も下船の準備をするってユリネさんや騎士様をつれて部屋に戻っていった。
私達は特に急ぐ必要もないから落ち着いてるけどね。
「姉ちゃん、僕はギルドへ挨拶だけ行ってきていいかな?」
「大丈夫だと思うよ。私達は特に予定もないから」
「わかった、早めに戻るから」
ドラツーを降りようと搭乗口へ向かったはずのユウキが戻ってきた。
「姉ちゃん、王妃様達が…」
「わかったよ、行ってくる」
搭乗口から外を覗いたら王妃様に、アリアさん。他にもメイドさんや騎士様が何人か待機してた。
手を降ってくれたけど、乗り込んで来る感じではない?
あっ…長老様のお出迎えか! 当然だよね、うっかりしてた。
急いでティアねえ様に伝えに行く。
パーティーの時とは違う、落ち着いたドレス姿のティアねえ様と長老様二人は、王妃様に迎えられ訓練場を後にした。
「アスカ様、私達もこれで失礼いたします。お世話になりました。 慌ただしくて申し訳ありません」
「お世話になったのである」
シルフィ様と王子もそう言ってユリネさん、ルニアさん、セナさんと下船していった。
王族だものね…。色々忙しいんじゃないかな。
ユウキはドラツーの窓を開けて外を確認してから改めて降りていった。
「お姉ちゃん、私達はどうするの?」
「ちょっとみんなに相談があるからリビングへ来てもらえる?」
「なにかしら…改まって。今後の予定?」
「そんなところかな」
リビングに集まったのは、未亜、リア。ティーにシエル。そしてレウィ。
「えっと…この後、私達は一度帰ろうと思っているの。 理由はユウキのお誕生日があるから」
「人族って、みんなお誕生日って祝うものなのね?」
「リアたちドラゴンはしないの?」
「何百年も生きてるのが当たり前だし、生まれた日なんて覚えてないわ」
そうなのか…リアのお誕生日もお祝いしたかったのに。 (……)
「今までは私とユウキ二人だけだったから、私が料理を作ってプレゼントあげて…そうやってお祝いしてたのだけどね。今年からはこれだけ家族が増えたから」
「盛大になるのー」
「だね。みんなも協力してくれるかな?」
「勿論だよ、ユウキ君は大切な弟だもん」
「当然よね、家族なんだから」
「うちも! お兄様のためになにかしたいの」
「主様、お誕生日とは…?」
そっか、レウィはまだ人間の一般的な知識は無いものね。
わかりやすく説明してあげた。
「なるほど…主様の弟様の大切な日とあらば、ボクも協力は惜しみません!」
「ありがとレウィ」
みんなの協力も得られたことだし、計画を練っていかないとね。
場所はうちの地下。広いし…。
私と未亜が料理。シエルとリアはプレゼントに服を作ってくれるのだとか。なので素材は提供しておいた。
ティーとレウィは何やら相談しててまだ教えてくれない。 (決まったらママには伝えるの!)
てことらしい。
「そうだ、シエルってカバンは持ってるよね?」
「うん、裁縫道具とか色々持ってきたから…」
「作った服とかまでは仕舞えないでしょ?」
「あ…どうしよう! お部屋にいっぱい…」
だよねぇ…。足の踏み場がないくらいに作ってたし。
「マジックバッグ持つのは嫌かな?」
「そんな高級品持てないの! 村にも数えるくらいしかなかったの」
そうなんだ。エルフのが魔道具とかたくさん持ってそうなイメージだったよ。
「アスカ、例のワッペンね?」
「うん、リアの言うとおり。この先持ってて困ることはないと思うし」
「お姉ちゃんのなら間違いないね! 安心安全のお姉ちゃん印」
なにそれ…へんなブランド立ち上がったな…。 (ママのブランドだー名前考えなきゃ)
まぁいっか…売るわけでもないし。
シエルは今愛用してる肩掛けカバンがお気に入りらしく、それがマジックバッグになるなら嬉しいって事だったからワッペンを渡した。
「お姉様、これは…」
「それをシエルのカバンの内側、真ん中あたりに貼って」
「わかったの。 あれ?消えちゃった…」
「シエルちゃん、カバンに手を入れてみて?」
「はい、未亜姉様。 え?え…?なにこれ…」
「シエル専用のマジックバッグだよー」
「すごい…。 ありがとうお姉様! 大切にします」
シエルも魔力は高いから容量は多くなる。これで、服や素材の持ち運びも楽になるよね。 (さすママ!)
盗難対策とかは未亜とリアが説明してくれてるね。
レウィも気になったのか覗き込んでる。
欲しがるようならレウィにもあげるけど…カバンつけてて違和感とかないかな?
目立たない小さいポシェットとかなら何とかなるか。
「主様、これはなに?」
興味を示したレウィに説明してあげて、欲しいのなら作ってあげられることも伝えた。
服と一緒にカバンもシエルが作ってくれるらしい。
本当、シエルは器用だよね。




