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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章

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211/770

斜め上 多分45度くらい



翌朝、明け方近くに王妃様たちが馬車でツリーハウスを出発したのを感知して目が覚めた。

ドラツーはツリーハウスの上空を回っていたからね。

窓を開けて外を見るとまだ暗い…。


私達はゆっくり来てって事だったから、まだ時間に余裕はあるけど…二度寝する気にはなれなくて。

ぐっすり寝てるティーを愛でながら今後の予定でも考えておこう。



取り敢えず長老様達を送った後、私達は帰るつもりだけど大丈夫だよね?

帰りのタイミングを聞いておいて、その日に合わせて此方へ飛んで来れば、ドラゴンの里へ送ることも問題ないし。



あとは…シエルがどうするかだね。

もう一度本人に確認してみよう。付いて来たいのなら私が作った転移の魔道具を使うしかない。

あまり大っぴらに出来ない物だけど…。


王国で服のお店を出せるようにしてあげるってのも、一つの選択肢なんだよね。

ギルドからかなりのお金を貰ったから頭金くらいにはなるでしょ。

王妃様にも話は通してあるからね。


今回帰りたい理由はユウキのお誕生日があるから。その準備を早めにしておきたい。

母さん達がいない分、私がちゃんとお祝いしてあげないと。

毎年そうだったから…。 今年は家族が増えたから賑やかになるよ!

ちょっと楽しみ。



あとは…、花火の魔道具かな。

王妃様のお手紙を読んだ限り、興味がありそうだったから作っておこう。

色々なパターンの花火をランダムに上げれるようにしておけば…飽きにくいかな?


イメージ通りに赤色の魔石へ術式を刻む。

色、形、サイズはランダムになるようにして、音だけはリアルに。

ちょっと魔力を使うけど、毎日上げるわけじゃないだろうし…。

それに、いざとなったら王妃様やシルフィ様ならすぐ充填できる。


設置型にするから、敢えて大きめに。残ってた材木で土台を作った。

真上を向いた木砲みたいな感じだね。本物の花火をちょっと意識してる。


「ん…ままぁ…」

「ティー起きた?」

「おはよー」

そう言って抱きついてきたティーを抱きあげて膝にのせる。

「おはよ、お昼近くまではゆっくりするからのんびりしてていいよ」

「でもママはなにかしてるの!」

「魔法の花火を魔道具にしたの。王妃様が欲しがるかなって」

「なるほどー。よろこぶの!」

「だといいね。 ティー、ドラツーをツリーハウスのそばに下ろしてもらえる?」

「はーい。なにかするのー?」

「フェンリルの確認だよ」

「おーでっかいもふもふ」



探索魔法を使ったけど、ツリーハウスにも周辺にも誰もいない。

大丈夫だね。

「おりたよー!」

「ありがとね。 ティーもくる?」

「うん!」



二人でドラツーから降りてフェンリルをストレージから出す。

本当にデカいな…。 (ドラゴンのリアよりでっかいの!)

だよねー。


ストレージに入れてる間は時間が止まっちゃってたけど、エルフの治療や森を再生したりしてた時は凍らせて眠らせてただけだから、もしかしたら落ち着いてて、会話できるかもしれないって思ってね?


頭部分だけ解除する。

「話せる?」

「…動けない」

「おー話せるの! すごいすごい」


「ごめんね、暴れてたから仕方なく…」

「わかってる、止めてくれて…撫ぜてくれたのも覚えてる」

「そっか。暴れないって約束するなら解除してあげてもいいけど…」

「約束しなかったらどうなる?」

「最悪このまま…もしくは嫌だけど討伐しなきゃいけなくなっちゃう…」 (悲しいの…)

「約束する。貴女にはどうやっても勝てないし、恩人に嫌なことをさせたくはないから」

そういう事なら。 (良かった)


魔法を解除してあげたら立ち上がってプルプルしてて…この辺はまんま犬だよなぁ。 

可愛く見えてくる。 (ママだからその感想ですむんだよー)

まぁ…森をあれだけ破壊できるんだものね。 (うんうん)



「止めてくれてありがとう。 あの森は…どうなった?」

「焼け野原だったけどー、ママが命がけで再生してくれたよ! 森の生き物たちも残ってた子たちは無事なの」

「…そうか。感謝する。 森は我らだけの場所ではない。住むすべての生き物の物だ。それを我は…」

「仕方なかったんでしょ?暴走してたし」

「そうだけど…」

暴れてたときにも意識はあったんだなぁ。 (あの時とめてーって感じたの)

そうだったね…。


「これからどうしたい?一応希望を聞きたいな」

「…森へ帰りたいが、同族へ合わせる顔もないし、恩を返さぬまま戻るのは我としても不本意だから…」

「そんな固く考えなくていいのに…。まぁどちらにしてもそのサイズだと森でも暮らしにくいかな?」

「そう…だな。主殿は高名な魔術師殿であろう?魔力の制御を教えてはくれまいか…」

「主って…。高名でもないよ!?  ん〜教えるのは構わないけどそれで何か変わるの?小さくなれたりする?」

「…膨大な魔力を扱いきれずこのサイズになっているから、制御できれば或いはと…」

「そういう事なら、協力は惜しまないよ」

「ママに任せるといいの!」

サイズが一番のネックだったからね…。どうにかなるのなら問題の大部分は解決できる。

知性もしっかりしてるし、話した感じ冷静ないい子みたいだからね。 (うんっ!)




まず魔力ドームで包んで鑑定してみたんだけど、確かに体をめぐる魔力が不安定で、また暴走しかねない状態だった。

急激に魔力を過剰摂取したのだから当然だよね。


まず危険の回避を最優先して、余分な魔力を吸い取るように抜き取った。

この時点でサイズは半分くらいまで縮んだ。

「かなり楽になった…感謝する」

「後は、魔力循環してあげるのが一番手っ取り早いんだけど…」

「主殿に任せる」

「信頼してくれる…?」

「当然だ。我を止めてくれた恩人なのだから」

そういう事なら…大丈夫かな。


伏せをしてもらって首のもふもふに抱きつく。

はわぁ…なにこれぇ…。 (ママ!)

はっ…いけない。 (むぅ…)

ごめんごめん…。


「ゆっくり魔力を流していくから落ち着いて受け入れてね?」

「わかった」

私の右手から流した魔力をフェンリルの身体に巡らせて左手へ…。

「っ…わぉーーーーん」

「もう少し耐えてね」

「わぉぉぉーーーん…」

よし…安定して巡るようになったはず。


「魔力を抜いていくからおとなしくしててね」

「わっふ…」

流していた私の魔力を抜いてゆく。

そのままもう一度、魔力ドームで鑑定してみたけど…不安定さもなく安定してるね。


「大丈夫だと思うけど、どう?」

「…やっと思い通りに体が動かせそうだよ! ありがとう主様!」

口調まで変わったな? (ちっちゃくなったからかな?)

かなぁ…。 さっきよりさらに小さくなったし。それでも車サイズだけど…。


「これなら…何とかなるかも!」

そう言ってフェンリルは光出す…。

これ…リアが人化するときみたいだね?いやまさかよね? (わくわく)


光が消えると…。

「わふぅ! 大成功!」

そこには二足歩行になった………、犬がいた…。

予想の斜め上にきたな!? (人化するのかと…)

私も…。そして二足歩行になって判明したことが一つ。

この子、男の子だわ…。 早めにシエルに頼んで服を作ってもらおう。 (ご立派ー)

ティー、見ちゃだめだよ!! (はーい)

 

背は私の腰くらいで、見た目はまんま真っ白い犬。

二足歩行だけど…。

「主様、どうかな?」

「うん、びっくりした。 でも可愛いよ」

「よかった! これからよろしくね、主様。ティー様」

「ティーはティーなのー」

「でも…」

「ティーなの!」

「わかった…ティー。よろしくね」

「うんっ! ママこの子の名前は?」

「私に聞くの? ネーミングセンスないの知ってるでしょ!?」

「でも、ママが主だよー?」

なったつもりもないんだけど…キラキラした目で見つめられてしっぽ振られてるとそんなこと言えないよね…。

「…考えるから時間もらえるかな?」

「わかったよ! 主様」

これ、ユウキ達になんて説明しよう…。はぁ… (ママ頑張れー)

はいはい。 私が捕まえたんだし、責任持ちますよ。














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