パーティの後
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願い致します。
行きと同じようにアリアさんと馬に乗ってツリーハウスに戻ってきた。
うちの子達家族総出で迎えてくれたのが嬉しくて…。
さっきまでの寂しさや、悲しかった気持ちが和らいでいく。
この子達も両親に紹介しないとね?
きっとビックリするよ。
花火がすごかったって、ティーとリアがめちゃくちゃ興奮してた。
シエルも花火を知ってる未亜も楽しんでくれたみたいだね。
バーベキュー会場はメイドさんやうちの子達で片付けてくれたらしく、跡形もない。
「お姉ちゃんの作ったグリルを、ユウキ君が…殴り壊してた」
何やってんの!?未亜が引いてるじゃない。 (粉々になってたの!)
ヤンチャか!
「リアもねーすごかったよー。しっぽ出してびたーんって」
ティアねえ様みたいに部分だけ出せるようになったんだ?
イメージと魔力制御うまくなったんだねって褒めたら照れてたよ。
シエルと未亜はテーブルとか椅子をメイドさんたちと片付けてくれたらしい。
「みんなお疲れ様。ありがとうね」 (ママもお疲れ様!)
ありがと。ティーもね。 (うんっ)
「お姉ちゃんもお疲れ様。すごい花火だったね!」
「本物を知ってる未亜も楽しめたのなら良かったよ。 ユウキ、他の人達は?」
「あぁ、街へ戻る人達はその仕度もあるし、取り敢えずツリーハウスに戻ってるよ」
「誰が残るかはわかってる?」
「えっとねー王女様と王子様ー!」
「それ以外だと、ドラツーに乗ってここへ一緒に来たメンバーだけよ。ねえ様達もいるわ」
そんな話をしてたらシルフィ様と王子がツリーハウスから出てきたね。
「アスカ様、また一晩お世話になります」
「なるのである」
「はい、お部屋とか準備するのでお待ちくださいね」
「ありがとうございます。 後、お母様からお手紙を預かってますので…」
シルフィ様から手紙を受け取る。
王妃様から?なんだろう…
”花火すごかったわ! 本当にありがとう。どうやったのかまた詳しく教えてね?
それと、明日の帰りはアスカちゃんの作ってくれた馬車を使わせてもらえるかしら。
長老様達との謁見もあるから先に帰らないといけなの。アスカちゃん達はゆっくり来てね。
ツリーハウスの近くに出しておいてもらえるかしら。アリアに伝えておいてくれればいいわ。
それと、シルフィとジルスの事よろしくね。
ドラツーは前と同じように魔術師の訓練場に下ろしてもらえればいいわ。手配しておくから。
お手紙になってしまってごめんなさいね。”
なるほど、馬車か…。考えたらそうだよね。
謁見の準備とかあるだろうし。
傍に控えているアリアさんに手紙の内容を伝えてアリアさんが乗ってた馬をつないでドラツーから馬車を出しておいた。
ドラツーの中も掃除して、シルフィ様と王子の部屋も準備する。
アリアさんはシルフィ様から何やら話を聞いた後、私の所へ来て、王妃様のからの指示でツリーハウス待機になるから離れることになるって謝られてしまった。
本来は王族を守る近衛騎士様だし、当然だよね。 ちょっと寂しいけど…。
ルニアさんと、セナさんはこっちに来てシルフィ様達の護衛らしい。
街へ帰るグループの馬車を見送る。
なにやら騒がしいと思ったら…。
「お兄様は帰るのです! お呼びじゃないんですってば。シルフィ様に言われたでしょうが!!」
「まだ返事を…離してくれ! ミルフィ!」
ミルフィさんに無理矢理馬車に押し込まれてる…。
まだ諦めてなかったのね。
えっと…王妃様の弟のセインさんって人。
「早く馬車を出して! バカ兄様がまた病気出してるから!」
騒ぎながらも馬車は走り去っていった。
またって事はあちこちで声かけてるんだろうね…。どうでもいいけど。 (うん! チャラ男はいらない!)
まーたそんな言葉覚えてきて…。 (知識は力!)
そうだけど…。それは違う気がするなぁ。
陛下と、王妃様のご両親にはちゃんとご挨拶をしたよ。
花火も喜んでもらえたみたいでなにより。
みんなで街へ走り去る馬車が見えなくなるまで見送り、ドラツーに戻る。
専属パイロットのティーに頼んで上空へ飛ばしてもらわないとね。 (まかせてー!)
お願いね。
ドラツーではお風呂の順番でシルフィ様と王子が揉めだしたけど…。
「姉上は長くなるのである…我ならすぐ出てくるのである」
「うぐっ…確かにジルスは早いですね。わかりました、ここは大人な私が譲りましょう」
シルフィ様が折れたね。
「ユウキ殿、一緒にはいるのである」
「…まぁそのほうが早いか」
二人でお風呂に行くらしい。
今回のイベントで仲良くなれたのならいい事だよね。
王子も歳の近い友人がいないって言ってたし…。
長老様二人は酔っ払ってベロンベロンだった。
ティア姉様が怒るのも仕方ないと思う。
「まったく! あれ程飲みすぎないでって言ったのに!」
酔ってるとお風呂も危ないからクリーンだけかけてあげた。
「ありがと、アスカ。 この二人、部屋に放り込んでくるね」
扱いが雑になったなぁ…。しかも二人が肩を組んでるから同じ部屋。
仲が良いみたいだし大丈夫よね。
私は今のうちに明日の朝食の仕込みだけしておこう。
人数が多いしどうしようかな…。
エルフの森で貰ったフルーツや野菜もあるしクレープでも焼こうか。 (クレープ!)
ティー知ってるの? (うん! テレビでみたのー)
知識の吸収が早いなぁ…。 (ドヤァ)
「お姉ちゃん、なにか作るの?」
キッチンに向かう私に気がついたのか未亜がついてくる。
「明日の朝ごはん何にしようかなぁって考えててね」
「今から下準備?」
「そうそう。 フルーツとサラダのクレープでも作ろうかなと」
「ケーキの時に余った生クリームやフルーツ、まだ私が持ってるよ!」
そういえばデコレーション用のは未亜に持って貰ってたね。
「じゃあ生地を焼くから、トッピング用の準備は任せてもいい?」
「わかったよ! フルーツはまだかなりあるから…野菜とシーチキンやソーセージ…ゆで卵?」
「それくらいかな?材料は渡すからよろしくね」
「はーい。任せて!」
キッチンで仕度を始めたらうちの子達がみんなこっちに来ちゃったよ。
シルフィ様はユリネさんや騎士様とお部屋みたいだけどね。
みんな手伝ってくれるって言うから、未亜と野菜とかのトッピングを任せた。
生地は多分焼けないだろうし…。
薄く薄く…生地を焼いては重ねていく。
冷めてから包むことになるけど…。 みんないるなら、好きなように包ませてあげられるね。
生地を焼きつつ、それぞれ楽しそうに包んでるのを眺めてたらユウキと王子がお風呂から出てきた。
シルフィ様には伝えたみたいで、今日は流石に一人で入ってくれるみたい。
もう前みたいなドッキリは困るからありがたい。
王子もクレープ作りをやってみたいって事で私の隣に来てユウキが教えてる。
「そういえばアスカ殿、フェンリルを捕まえたと聞いたのであるが…」
「ええ…急な変異で苦しんでいたので、倒してしまうのも忍びなくって…」
「見せてもらうことは出来ないであるか?」
「今は私の魔法で凍りついているので危険はないし、見せるくらいなら…。ただ、かなりのサイズですよ」
「それは姉上から聞いているのである。ドラゴンに匹敵するとか」
「はい、なので見せるにしても明日、夜が明けてから外で…ですね」
「それでいいのである、フェンリルなど本でしか見たことないのであるから」
王妃様も以前にフェンリルが出たのはかなり昔って話てたもんね。
「ジルス王子、まさかと思うけど、飼うとか言わないよね?」
「ユウキ殿は流石であるな!」
「いや、サイズわかってる!?」
何言い出すの?この王子は…。やっぱりバ…コホン。 (バカだー)
言っちゃったよ…。
「そういう理由なら、王妃様や陛下の許可を取ってください。じゃなきゃ見せません!」
「そんな! 後生である…」
「いや、姉ちゃんが正しいって」
「ユウキ殿まで! 我らの友情はどうなったのであるか!?」
「友達だから止めるんだって。許可さえもらったら姉ちゃんだって見せてくれるでしょ」
「うん。飼うとしても、もし暴れたら王子様止めれるんですか?」
「うっ…」
まったく…。こっちも引き取ってくれるならありがたいけどさ。
許可なしにそんな事できるか!! (ほんとだよー)
そんな会話してるうちにクレープはみんなが完成させてくれた。
明日の朝までストレージで保存だね。
シエル達には聞こえないように、いつもの魔法で会話を遮断してて良かったよ、まったく…。
まだシエルは引きずってるからね。こればっかりは時間が解決するしかないかなって思う。




