隠せなかったかぁ
しばらくたって私も寝ようかと思ってたらユウキが部屋に来た。
「アスカ姉ちゃん、少し話しいいかな?」
「いいよ、入って」
どうしたんだろ?
「話ってなに?どうかした?」
「えっと、確認したいこととかあって」
うん?なんだろ。大事な話はちゃんとしたはず。
「まずこのアクセサリー。ありがとう」
「いいよ。そんな手間でもないし」
「これって召喚阻止するための物で間違いないよね?地下のはそれの大型と言うか強化版って認識であってる?」
「うんうん。地下のを使うときはよっぽどかな。あ、アクセサリーは外してストレージにでも入れておけば召喚されたい時にはいけるよ?」
「召喚されたい時って…まぁ慣れちゃって全くなくなったらそれはそれでつまらないかもだけど」
「だよね〜」
二人で笑い合う。
「それでさ、未亜姉ちゃんが召喚されることはないって話、アレは嘘だよね?」
やっぱりユウキにはわかっちゃうか。
「…さぁ〜?」
「アスカ姉ちゃんが作ってくれたアクセサリー、今まで作らなかった地下の魔道具。前にくれた魔道具ってさ?悪意のある召喚への対策はあったけど無効化まではしなかったよね? これでもシラを切る?」
………
両手を挙げる。
「降参…。ユウキの言うとおりだよ。呼ばれる条件が分からない以上絶対はないからね。その対策。何もなければいいし、あっても二重に対策をしたって感じかな」
「嘘をついたのは不安にさせないため?」
「そうだね。引っ越して新しい環境に、新しい家族。それだけでも不安だろうに、これ以上不安になる事を増やしたくないじゃない…」
「もしもの時嘘がバレたら?アスカ姉ちゃん一人で憎まれ役になるつもり?」
「……」
「わかったよ。これ以上は何も言わない。でも何かあったら頼ってね?僕たちは家族なんだから」
「ん、ありがと」
ユウキは優しいな。
「話は変わるけど…異世界転移の魔道具だっけ?そのリング。それってアスカ姉ちゃんしか飛べない?」
「そこまで調べてなかった。魔力注いでもないし…。ちょっと見てみるね」
そう言えば私って人への鑑定はできなくてもアイテム、こういう魔道具や武器の解析はできるんだった。
じゃなきゃ魔道具作れないし…。
と言うかあの時思い出してれば王妃様膝から崩れずに済んだかもね。
ごめんなさい。ついうっかり?まぁ今更だね。
えーっと、どれどれ…これが転送する範囲か、意外に広い?2、3人…いやもう少しくらいなら入れそう。
あーでもそうすると必要な魔力が増えるなぁ。
私の魔力量ならなんとかいけるか?
ただこの魔石の魔力許容量はどうだろ?魔石が透明だしいいものだとは思う。
うわっなにこれ! 王妃様めちゃくちゃいい魔道具くれたんだね。
こっちは時間か。意識すれば過去へ、前回このリングを使った時間までなら遡れるのか。
ここ少し修正すれば細かく時間指定して戻れるね。
で、これが座標かな?ここも何時でも変更できるんだ…。こっちが向こうの世界ので…
こっちはリングつけてる人の魂から座標拾うようになってるから地球のだね。
私が付けたことで、私の魔力波長にしかもう反応しないから基本的に私専用になるけど…。
う〜ん、抜け道は一応あるにはあるね。
「どう?なにかわかった?」
「うん、結論から言えば、私の魔力を全力でリングに注げば数人くらいまでなら一緒に飛べると思う。ただし私に触れた状態で、一緒に飛ぶ相手にも私の魔力を循環させておくのが条件かな」
「じゃあ僕や未亜姉ちゃんも一緒に行こうと思えば行けるわけだね?」
「そうなるね。まぁ私が必要な魔力全力で注いでも貯めるのに数時間はかかると思うし、私の魔力をユウキや未亜ちゃんに循環させなきゃだから…本人に抵抗感とかがあると無理かな」
「どういう事?」
「私に完全に身を委ねなきゃいけないね」
「そんなことか…なら大丈夫だね」
「そんなことって! 抵抗感ないの?」
「なんで?」そう言い心底不思議そうに首を傾げるユウキだった。
「あともう一個聞いておきたいんだけどさ。アスカ姉ちゃんが元に戻れる可能性はあるの?」
「……正直今は無理だと思う。こっちへ戻るときの送還魔法陣に今できる唯一の方法を試したんだけど…結果は見ての通り。多分その細工がなんらかの干渉したから時間が戻らなかったんだと私は思ってる」
「そっか…わかった。僕も最初ほどアスカ姉ちゃんって呼ぶことへの違和感なくなってきたから…。
でもアスカ姉ちゃんはそれでいいの?」
「あ、それ! 時間経過とかで違和感なくなるのも魂の書き換えられた影響らしいよ。ただ長く一緒の時間を過ごした人ほど長く違和感は感じるみたい。少し話した強制力ってやつだね。あと、私がこのままでいいのか?って質問だね。これはもう諦めたというか…身体が馴染んじゃって私自身違和感なくなっててね?もういいかなーって。未亜ちゃんの事もあるしさ」
「今すごい大事なことさらっと流したよね?道理で…あの母さん達の反応にやっと納得したよ」
「あはは…」
「で、アスカ姉ちゃんが納得してるなら、これからも姉ちゃんって呼ぶね?それでいいんだよね?」
「うん、それで大丈夫だよ」
「わかった、ありがと。じゃあ寝るよ。姉ちゃんも大変だったんだし早く寝なよ」
「うん、おやすみ〜」
ユウキはおやすみっていって自分の部屋に帰っていった。
そっか…これから女の子として生きていかなきゃなんだな…。
あーーー! 学校! 制服! 普段着や、下着…。あぁぁぁ…もぅ今日はいいや。寝よ……。




