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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章

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209/771

懐かしい思い出を空に…

 


打ち上げ場所まではそこそこ距離があるからって事でアリアさんの操る馬に一緒に乗せてもらった。

アリアさんは馬車じゃなくて申し訳ないって言ってたけど、これはこれで楽しい。

馬に二人乗りは初体験。アリアさんの前に抱かれるようなスタイルで乗ってるからちょっと緊張するけど。


自分の召喚獣とかなら魔王時代に乗ってたけどね。

あの子達元気なのかな…そもそも今、呼び出せるのか? 一度確認しないとだね。

というか…フェンリルよ! あの子どうしようホントに…。



そんな事を考えてるうちに街道を外れ、城下街を見下ろせる小高い丘に到着。

数人の騎士様が待機してるのが見える。

「アスカ様、こちらの場所になります」

「わかりました、結構大規模な魔法を使いますので、周知してください」

アリアさんにどういう事をするか説明しておく。音やなんかも再現するから…。

危険の無いようにはするけどね。

「はっ、お任せを」

ユウキとの合図に使う、照明弾みたいな魔法の応用だから難しくはない。


ルニアさん達はアリアさんからの話を聞いた後、散開して周辺の警戒なのかな?

この時間のこんな場所に人が来るとも思えないけど、万が一もあるしね。


”ピーピー”

ユウキだね。打ち上げのタイミングかな。

「はーい、準備できてるよ」

”じゃあお願い。無茶しないようにね?”

「うん、お世話になった王妃様のお誕生日だからね、大丈夫」

”ティー達は見ておくから”

「お願いね」

”そっちもね、楽しみにしとくよ”


ティーはついて来たがったのだけど、きれいに見えるのはツリーハウスの方だからね。

未亜達と一緒にいてもらった。


よしっ、ハデにやりますか!


魔法はイメージ。

いつか見た花火大会の打ち上げ花火をイメージして…打ち上げる!


ひゅぅーーーーー ドーーーン!

真下からでも案外キレイに見えるものだねぇ。


どんどん行こうー。

色やカタチを変えて…。 (ママすごい! なにこれー!)

これが花火だよー。本物に似せたものだけどね。 (キレイなの…)

ティーにも好評で良かった。いつかちゃんと本物も見せてあげたいな。


ひゅぅーーーーーーー! ドーーーン!

ドーーン! ドドーーーン!

ひゅるるるぅーーーーー! ドーーン!

…………………………

……………………

………………

…………

……



色とりどりの花火魔法を打ち上げてたら、思いついた。

魔道具にしちゃえばよかったって。

何パターンも作って、魔力を流せば誰でも打ち上げられる。

見た目と音だけで、実際には熱とかもないから危険はない。

本物みたいに爆発事故とかの危険がない物ができる。

逆に言えば本物でしか味わえない物は感じられないけどね…。

硝煙の香りや、肌で感じる音とか…ああいう独特のものは本物には敵わないよ。


お祝い事の時に使えるように、作って渡してもいいかもしれないね。

欲しがるなら…だけど。


アリアさん達騎士様も、花火魔法を打ち上げだしてから上を見上げたままになってる。

だから念の為探索は広げておいた。 

アリアさん達にも楽しんでもらえるならその方がいい。




どれくらい上げたかな?

体感的には一時間くらいか…、ユウキからファミリン通信。

もう充分って事で、最後に一番でっかいのを打ち上げて終わらせた。


”姉ちゃん、ありがと。凄かったよ! 前に一度だけ母さん達と行った花火大会みたいだった”

「…うん。それを思い出してイメージしてたから」

”なるほどね。 あの時、母さん達が戻ってこれたのはきっと偶々だったんだろうね”

「だろうね、母さんが帰ってくるなり、”花火大会いくよ!” って」

”そうそう、父さんが浴衣まで用意してくれててさ”

「あれ、いつだったっけ…」

”僕らの召喚が始まる直前くらいだったよ”

「よく覚えてるね。私はあの時見た花火の事と、楽しそうにしてた母さん達の事ばっかり覚えてる」

”僕ら以上にはしゃいでたもんね”

花火の雰囲気にのまれたのかな…なんか懐かしくて切なくなる。


”母さん達、次はいつ帰るかな…”

「さぁ…? 私にはわからないよ」

”そうだね…なんか会いたくなったよ”

「同じ事考えてた…それに言い過ぎたって後悔も」

”かな…。 今度会えたらゆっくり話せるようにしないとだね”

「そうだね、地下の魔道具を起動させておけば、母さん達も呼ばれる心配はないし」

”そうだね。 それ、わざと伝えなかったでしょ?”

「うん…呼ばれる事を望んでるみたいだったし。 いや違うね…」

”ん?”

「たぶん、私が許せなかったから…家に居るようになっても顔を合わせられないって思って」

”あぁ…。 わかるよ気持ちは。 なんで姉ちゃんはもっと怒らないんだ?って思ったし”

「十分怒ってたよ。だからあんな態度になっちゃったし…」

”そっか。 僕なら父さん殴ってたと思うけど”

「加減しなさいよ?私達よりステータス低いみたいだから…」

”そりゃあ姉ちゃんと比べたら…”

「なによ…」

”ストップ! 威圧飛ばすのやめてよ!?”

「ふふっ…」

”まったく…笑い事じゃないんだよこっちは。 ティー達が待ってるから早く戻ってきてね”

「りょーかい」


花火魔法をあげた事で思い出した懐かしい記憶。

楽しかった思い出。 それをくれたのも母さんと父さんだものね。

一緒にいる時、母さんがテンション高いのは私達を楽しくさせようとしてくれてたのかもしれないって…。

そう考えたら、もう責める気にもなれなくなってた。

父さんの言う通りだよね。相手の気持ちを考えなかったのは私も同じ。


うん。大丈夫。

今度は落ち着いて話せるよ…。

母さん、父さん。 帰りを待ってるね…。


会いたいよ…







来年も「召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない」を宜しくお願い致します。

よいお年を。

(よいお年をなの~)

「ティー、年越しそばの準備できたよー!」

「はーい、ママー!」

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