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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章

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家族それぞれのパーティー


未亜、ユウキ、リア、シエルSide



「ねぇ未亜、貴女ダンス踊れる?」

「…無理。リアちゃんは?」

「そもそもダンスを知らないわ…初めて見たもの」

二人の視線の先でアスカがティーと踊ってる。


「キレイよね…ティーは小さいから浮いてるのに、それすら舞ってるように見えるわ」

「そうだね…。二人ともキレイだよ。私も踊れたらなぁ…」

「ええ。ティーが羨ましいわ」

「二人ともどうしたのさ?そんなしょぼくれて」

「ユウキ…。 仕方ないのよ。私達ダンスなんてできないもの」

「うん…」

「あぁ。 そんな事か」

「そんな事って!」

「いや、だってティーも踊ってないよ?あれ」

「え?でも…あんなキレイに」

「姉ちゃんがフルサポートしてるんだよ。二人も踊りたいなら姉ちゃんに頼めば?」

「未亜!」

「うん! 順番は?」

「ジャンケンよ!」





ダンスを終え、ティーと手を繋いだアスカが戻ってくる。

「ユウキ、写真はもういいの?」

「今確認してたとこ。姉ちゃんこそ、ダンスは?」

「ティーと踊ったからねー」

「楽しかったのー!」

「ところでユウキ、未亜とリアはなんでこんな必死にジャンケンしてるの?」

「二人にも色々あるんだよ…」

「…?」

「ママとユウキは踊らないのー?」

「えぇ!?」

「は? いや、姉ちゃんとダンスとか無いでしょ…」


「……ユウキ来て」

「えっ…ちょっと姉ちゃん?引っ張らないでって…」 (♪激しい曲に変えなきゃ)




「リアちゃん、待って! アレ…」

「え? ウソ…」


未亜が指差す先ではアスカとユウキがそれはもう華麗なダンスをしていたから…。

「さすがなのー。姉弟だから、息ぴったり!」

「ねぇ、ティーなんであの二人が踊ってるのよ?」

「ティーが見たかったからー?絶対上手だと思ってー」

「それは確かに…二人ともすごいよ」


音楽が終わり、踊ってたのが二人だけで皆の注目を集めてたことでアスカもユウキも焦る。

「あの後に誰が踊れるのよ…」

「未亜とリアー?」

「嫌よ!」

「うん、無理…」

「ママに任せれば大丈夫なのにー。早くしないとママ狙ってる人いるよー?」

ティーの目線の先には王女様に王子様、それに…もう一人。


「ティー、あの人誰?」

「んとね、王妃様の弟って言ってた」

「お姉ちゃんが狙われてる!?」

「……」ふいっ

「ティー! なにか知ってるのね?」

「ティーは何も知らないのー」

「こっち向きなさいティー!」

「やー! ほっぺぎゅーってしないでー」





「はぁ…姉ちゃんのせいでひどい目にあったよ」

「ごめん…つい。 でもユウキも悪いよ?」

「言い方が悪かったのは謝るよ…でもムキにならなくてもいいと思うんだ」

「なんかイラってして…」

「まったく…」

以前どこかの世界でダンスの練習をしてた時に、女性側のダンスも先生に叩き込まれた。

相手がどんな動きをするのか知っておいたほうがいいって…。

それがまさか役に立つとは…。おかげでダンススキルも手に入れてる。

凱旋パーティーとかで何度も踊ってたからスキルもかなり高い。


「アスカ、私とも踊ってくれないかしら…?」

「リア? うん、いいよー。なら行こうか」

リアと手を繋いで踊りに行くアスカを見送る。


「姉ちゃん元気だなぁ…。 未亜姉ちゃんはジャンケン負けたんだ?」

「うぅ…十回勝負にしたせいで…」

「多いな!」

「ユウキもツッコミ担当なのー」

「いや、姉二人がこんなだと仕方なくない? それよりティー、話を聞いただけで僕は初対面だからさ、紹介してくれないかな?」

「シエルー? わかったー行こー」


シエルはまだ馴染めないのか少し引いたところにいる。

「シエルー!」

「ティーちゃん。ダンス凄かったね」

「ふふー。 こちらママの弟なのー」

「初めまして、アスカの弟、ユウキだよ。好きに呼んでいいからね」

「は、初めまして…エルフの…えっと本名は長いのでシエルと呼んでください、お兄様」

「お兄様!?」

「シエルはママのこともお姉様って呼んでるからー」

「そっか。まぁいいけど…ある程度事情は聞いてるから、これからよろしくね?」

「は、はいっ! よろしくお願いします」

「普通に話してくれていいよ、姉ちゃんにもそう言われなかった?」

「えっと…。 うん、わかったの」


「みんなのドレス作ってくれたんだよね? 凄いな…時間なかったでしょ?」

「うち、裁縫は得意だから。 それにお姉様が沢山素材くれたし」

「姉ちゃんのストレージの中どうなってるんだろうね?」

「ティーもしらない! でも食べ物いっぱい出てくるのー」

「ははっ! それは確かに」

「素材もいっぱいでてきたの」

「それも多分ごく一部だろうなぁ…」

何度も異世界に一緒に行ってるユウキですら把握なんて出来ない。


「お姉様って一体…?」

「ん?聞いてないの?」

「魔王って。魔道具でみんなを笑顔にする魔王って」

「ぷっ…確かに姉ちゃんはそうかも」

「ママの魔道具は世界一!  あっ! ママ今度は未亜と踊るみたいー」

「シエル、せっかくだし見に行こう?うちのポンコツ姉二人をさ」

「ママに報告するの!」

「ティーストップ! それシャレにならないから」

「ふふっ…」

「やっと笑ったね?」

「なのー!」

ユウキとティーのやりとりを見てシエルも自然に笑みが溢れる。


「これからは家族なんだし、遠慮しなくていいからね」

「…家族…?」

「ソレ、姉ちゃんが渡したんでしょ?」

シエルが首にかけてるペンダントをユウキが指差す。


「魔道具…うん。うちの作った服のお礼にって」

「姉ちゃんがそれを渡すってことは大切な相手って事だよ。それにその色」

「キレイな青色…」

「うん、ほら見て?僕のブレスレットも、ティーのピアスも。同じ色の青でしょ?」

「お揃いなのー!」

「姉ちゃん、家族に渡すのはこの青色だからね。なんでかは知らないけど…」

「…お姉様」

アスカから貰ったペンダントを大切そうに握るシエル。


「未亜姉ちゃんとルナリアの見たことない?」

「チョーカーにネックレス…魔石は同じ青だった」

「うんうん。だからね?姉ちゃんが認めてる家族なんだよ」

「…ありがとう。うち、あんな事をしでかして、どうしていいかわならなくて…。

お姉様にも無理させちゃって。本当にここに居てもいいのかもわからなくて…」

自分のしでかした事の大きさ。それを命がけで元に戻してくれたアスカへの恩。

それらに押しつぶされそうで、シエルはまだ前を見る事ができず…俯いてしまう。


「シエルの居場所はここなのー」

「だね。 まぁ姉ちゃんって色々抜けてたり、やらかしたりするけど…頼っていいと思うよ?」

「…はい」

「僕も姉ちゃんほど何でもーはできないけど、頼ってくれていいからさ。妹は初めてだし」

「お兄様、ありがとう。これから…よろしくね?」

「おう。まかせとけー」

「ユウキがかっくいいー!」

「たまにはね?」

「でもママの事ディスったの…」

「言葉のアヤだから! 姉ちゃんにはナイショで…」

「…どうしようかなぁー」

「お菓子! 向こうに帰ったらいっぱい買ってくるから!」

「取引成立ー!」

「そんなわけ無いでしょう?」

「うわっ! 姉ちゃん!?」

「ママー!」


「シエル、ごめんね。私もちゃんと言ってなかったから不安にさせたかな?

シエルは私達の家族だよ。これから先、シエルが居たいって思う限りココが居場所だからね」


「お姉様…うっ…ぁぁ…ん…」

「大丈夫だから。何かあってもこれからは私達がいるよ」

抱きしめるアスカにすがり付き泣いてるシエルをユウキとティーが見守る。


「結局、姉ちゃんに最後もっていかれたね」

「ママだしー」

「違いないわ」



その頃パーティーの主役は…。

ティーが会話しつつも、音楽を流し続けていたから陛下としっとりと、幸せそうに踊っていた。




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