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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章

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202/772

クリスマス番外編 1

本編のお話とは繋がりのないクリスマスのお話になります。




魔力体のトナカイが引くソリに乗って、アクシリアス王国の上空を飛んでる。

その後ろにはソリにつけた降雪魔道具から街へ雪が降り注ぐ。

雪の降らない王国へのサプライズだ。


私は、リアに着せられたミニスカサンタ姿でソリに乗ってる。 

なんでこうなった…。 (多分絵本のせい?)

あぁ…発端あれか。


ーーーー

ーーー

ーー


「ねぇ、アスカ。さんたくろすって本当にいるのかしら?」

学校から帰るなり、リアに突然そんなことを言われた。

サンタ?クロス? 一瞬赤い服を着たおじいさんが必殺技でも出しそうなポーズをしてる姿が浮かんだけど、違うよね。多分サンタクロースの事だよね?


「サンタクロース?赤い服を着たおひげのおじいさんでしょ?」

「そうそれよ! 見てコレ!」

リアが見せてきたのは絵本。表紙にはトナカイの引くソリに乗って空を飛ぶサンタクロースの絵。


「どうしたのそれ?」

「さっき、未亜とお買い物に行った時に、お小遣いで買ったのよ!」

なるほど。

うちの子たちはお手伝いをするとお小遣いを貰えるようになってる。

ユウキ、未亜と相談して決めた。

それで貯めたお金で欲しいものを買ったりするのもこちらでの社会勉強になるんじゃないかって。

割とここで性格が出るから見てて面白いんだけどね。


ある程度貯まったら衝動的に買い物をするリア、欲しいものを決めて貯まるまで使わないティー。

ずっと貯金してるシエル。

そんな感じでそれぞれ性格が出る。


「まだ冬じゃないのにそんな絵本が売ってたんだね」

「季節が関係するの?」

「うん、まぁ…サンタクロースって12月のイベント限定のキャラだし」

「へぇ〜。 ってそれはいいのよ! この人はなんでプレゼントを配って回るのかしら。何者!?」

なんて答えたものか…。私も詳しい起源なんて知らないし。

ここは夢を壊さないようにしてあげるのがいいかな。


「一年、いい子で過ごしたら12月24日の夜にプレゼントを持ってきてくれるのがサンタクロースなんだけどね。 悪い子のところには来てくれないの」

「ええ。そんな事が書いてあったわ。でもどうやって良い子と悪い子を見極めてるのかしら」

難しいところを突っ込むね。


「そうだね…多分だけど、両親や保護者が連絡してるんだと思うよ? うちの子は一年いい子にしてたから欲しがってるプレゼントを送ってあげてください。ってね」

「なるほど! それなら確かに…」

まぁ、あながち間違ってはないし。子供にサンタのフリをしてプレゼントを送るのは親だから。

うちも数回だけ当日に両親がうちにいて、枕元に置いてあったことがある。

プレゼントのなかった年に、ユウキが落ち込んでたっけ…。”今年はいい子じゃなかった?僕悪いことしたんだ…“って。

実際は当日に母さん達がうちに居たかどうかってだけだったのだけど、サンタクロースを信じてたユウキは、かなり堪えてた。


後日帰ってきた母さんが、サンタさんが間違えてこっちに届けちゃったみたい! とか言って渡してた。

それでユウキは大喜びしてたけど。


それがあってから両親のいない年は私が用意する様になった。

小さな時から信じてなかった私は、それを確かめようと夜に両親が部屋に来てプレゼントを置いていったのを目撃して知ってたし。

我ながら可愛げ無いよね。




リアはサンタクロースのお話が相当気に入ったのか、絵本を持ち歩いて色々な人に見せる事になる。

アクシリアス王国の王妃様やシルフィ様、当然シエルにも。

興味を示したシエルはサンタの衣装などを作ったりし始めた。


地球のクリスマスっていうイベントにみんながあまりにも興味を示すから、私も探してきて色々なクリスマス関連の本やクリスマス商品の載った雑誌やらを王妃様達に渡した。

シエルも渡した本を真剣な顔で読んでた。また何か作るのかもしれない。





そんな事があってから暫くして…。前回遊びに行った時に、王妃様から来てほしい日があるからと指定されていたので、その日に合わせて皆でアクシリアス王国へ遊びに来た。 



こちらの季節はちょうど冬。

「アスカちゃん達は一度街へ行って、感想を聞かせてもらえるかしら?」

王妃様にそう言われて、到着するなりよくわからないままアリアさんの案内で街へ。

なんだろう?何かあるんだろうか…。



馬車から見る景色。それは…

「うっそだろ…街中かよ」

「ファンタジーとクリスマス…ロマンチックだよ、お姉ちゃん!」

「凄いわ! 絵本の中にいるみたい!」

「おー! キラキラなのー!」

「すごいの…」



王都の街がクリスマス色に染まっていた。


メインの大通りの真ん中には巨大なクリスマスツリーが出来ていて、明かりの魔道具でイルミネーションも完璧。

各店には関連商品が並び、街路樹やお店までイルミネーションが灯ってた。



アリアさんに聞いたら、王妃様が中心になって、イベントの少ない街を盛り上げようと広めたらしい。

だからか…リアの絵本とかの翻訳を頼まれたのは。

それをティアねえ様やシルフィ様がこっちの世界観に合うように監修しなおして、街のあちこちで無料で読めるように設置。

カフェの雑誌コーナーや、騎士様の詰め所にも置かれて誰でも読めるように。

欲しい人は買えるようにと本屋にも並んだ。


トドメは、今年はサンタクロースが我が国へ初訪問! っていうお城からの御触れ。


そのおかげか、たった数カ月で街中に浸透したソレは王国の一大イベントとして今に至ると。

そんでもって、前にシエルが作ったサンタの衣装。それを元に王都の職人達が大量生産。

ショップ店員とかがそれを着て売り子をしてる。 

シエルには売上の一部が支払われて、お店を出すときの資金にもなるらしい。

後は…ちゃっかり女性用のセクシーサンタ服まであるのはなんでだろうね?私はそんな本を渡した覚えはないんだけど。


シエルに確認したら私の持っていったグッズ本の中に小さく乗っていた。

また私のせいか…。でもさ?こんな小さな写真から再現するシエルがすごいんだと思うよ?

「うちも持ってるの…。お姉様にぴったりのもあるから」

「そうなんだ…。頑張ったんだね」

褒めてあげたからシエルは嬉しそうにしてるけど、私は嫌な予感しかしない。



街を馬車で一通り回った後、お城に戻ると城内も飾り付けされていて、メイドさんもサンタメイドになってるし、騎士様も赤と緑のマントをつけてたり…すべてがクリスマスムードに染まっていた。

ユリネさんが色っぽい姿はちょっと新鮮…。

「アスカ様、どうですか?」

「…色っぽくて素敵です」

「まぁ…それでしたら押し倒していただいても…」

「しませんから!」

ユリネさんからされなくなっただけ安心だけど。 (暴走メイドも落ち着いたの) 

うん。身の危険がないのはありがたいよ。



リアやティーはお城の飾り付けにも大喜び。

私とユウキは苦笑いするしかなかった。だってもう規模がでかすぎるんだもの。

国がバックアップして本気で動くとこんな事になるんだーって。


例の絵本も見せてもらった。

大人向けと子供向けに別れてて…。


大人用は2種類あって、片方は子供のいる親に向けた物。

お手伝いを頑張る子供に、両親がこっそりプレゼントを用意して、夜に枕元へ置く。

悪い子の所にはサンタクロースは来てくれないよ! って決まり文句は同じ。

よくあるお話。


もう一つはカップル向けとでも言うのか…。

大きなツリーの傍で待ち合わせをしていたカップル。

仕事で待ち合わせに遅れた彼氏に怒る彼女。破局かと思われたその時、シャンシャンシャン…と空から鈴の音が。

二人が見上げると空を駆けるソリに乗ったサンタクロース。チラチラと舞いだすのはこの国では降らないはずの雪…。

跪いた彼氏は彼女へ結婚してほしい…。と。 渡すのは指輪ではなくネックレスだったけど。

同性婚が当たり前なこの世界ならではなのか、女性同士、男性同士版の絵本もあるらしい。

未亜がシルフィ様から貰ってた絵本は…うん、考えるのやめよう。


こちらではプロポーズに渡すものは色々らしく、今回は敢えてネックレスにしたらしい。

そういえば…街の雑貨屋でもやたら売ってたわ。”無料でラッピング致します“の貼り紙とともに。


最後は子供向け。

最初はお手伝いもしない、悪い子。

見かねたお母さんが、そんなだとサンタクロースが来てくれないよ?って。

サンタクロースを知らない子供にお母さんがお話を聞かせる。

とある遠い国では一年いい子にしてた子供にはプレゼントを持ってきてくれる、それがサンタクロース。

今年から活動範囲を広げたサンタクロースはこの街にも来るかもしれないよ?と。

それから、子供はお手伝いをしてお母さんを助ける。

そして、良い子になった子供にはクリスマス当日にプレゼントが届く…。そんなお話。


活動範囲を広げたってところで笑っちゃったけど、実際似たようなものかもね。

私達の世界のイベントを知ったこの国が動いてるわけだし。

ある意味、アクシリアス王国その物がサンタクロースだろう。



「それでね?アスカちゃんにお願いがあるのよ」

王妃様の頼まれ事…。まあだいたい想像はつくけどね?









明日もクリスマス番外編の続きになります。


皆様も素敵なクリスマスをお過ごしください。

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