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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章
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プロローグ 召喚

 

「あ……」




ごちん!!



鈍い音が響き未亜は二階の張り出した屋根の部分に頭をぶつける。

その時には未亜を包んでいた淡い光は消えていた。

 

そしたら当然 落下する。

「うぁぁぁ!!」

慌てて落下する未亜を抱きとめる。

「未亜?未亜!?」


未亜は気を失い、ぐったりとして反応がない。

 

「絶対ゆるさない……仕掛けてきたやつ覚悟しろー!」

 

「アスカ姉ちゃん! 未亜姉ちゃんは? 大丈夫?」


奥から玄関に慌てて出てきた、髪色以外はアスカに面影がよく似たこの少年。

先程アスカと電話越しに話していたのは彼だろう。

中性的で美形な顔立ちに、背はアスカより少し低いか。

 

「召喚は阻止できたみたいだけど未亜が怪我をした」

「え? 未亜姉ちゃんが怪我した? 何があったの?」

「取り敢えず未亜の手当と、休ませたいから 悪いけど、ユウキ話は後」

「わかったよ。手伝う」

 

 

 

自分の部屋のベッドに未亜を寝かせアスカは未亜の頭に手をかざし目を閉じる。

暖かな光に包まれる未亜。

「うん、軽症ってとこだね。ひどい怪我じゃなくてよかった」

ようやく気持ちも落ち着く。

そのまま更にアスカの手が淡く光る。


「これでよし、後は自然と目を覚ますでしょう」


 

状況確認と治療を終えホッとしたところに後ろから声がかかる。

「アスカ姉ちゃん、要らないだろうけどなんとなく救急箱持ってきた」

「ありがとう、ユウキ」

「未亜姉ちゃんは?」

「うん、頭にたんこぶと軽いショックで気絶してるだけだったから、治癒もかけたしそのうち目を覚ますよ」

「よかったぁ〜」

そう言うとユウキはホッとした顔をしてようやく落ち着いたように座る。


 

「それで何があったの? アスカ姉ちゃんがいながらなんでこんな事に……」

「それがね、未亜と下校してる時に突然例の気配がして、対策用の魔道具もあるから警戒はしつつ未亜を怖がらせないようにしてたんだけど……」

さっきまでの出来事を思い出すように話す。




 

放課後、同じ学校に通う未亜と待ち合わせをして、下校の途中に魔力のうねりを感知。

まぁここまではよくある事。

ただしそれが自宅なら…。自宅以外では初めてだ。


でも今は対策もあるし、不必要に未亜を怖がらせないよう警戒はしつつ、

自宅へ向かいながら未亜と会話しながら歩く。

 

だが今回は様子が違った。普段なら足元か頭上に魔法陣が展開される。

それに呼応するように魔道具がそれを打ち消す。


ハズだった。


 

この魔道具、普段使いしやすいデザインにしてアスカが作ったものだ。

アスカならピアス。

未亜はネックレス。

このネックレスはお守りでもあるからいつもつけてて欲しいとお願いしたのだが、

未亜曰く、「お姉ちゃんがくれた物だから言われなくても肌身離さずつけるよ!」とのこと

ちなみにユウキのは魔石ビーズの付いたブレスレットになっている。

 

その魔道具が反応しない。嫌な予感がしたアスカはユウキに連絡。

自宅にある大型の魔道具の起動を頼み、未亜に緊急事態だ。とだけ話し自宅へ走った。

 

「ユウキに電話した後未亜を連れて走って帰ってきたんだけどね」

「アスカ姉ちゃん……未亜姉ちゃんを抱えて走った方が早かったんじゃ?」


「あっ……確かに。でもほら、未亜が嫌がるかもだし」

はぁーとため息を付きそんな訳あるかと思いつつユウキは話の続きを促す。

「そもそも自宅以外で呼ばれるのって初めてじゃない?それにアスカ姉ちゃんがくれた魔道具が打ち消さなかったってこと?」

「うん」

「それで僕に連絡してきたんだね。家にいてよかったよ」



 

慌てた姉からの電話、地下のヤツ大急ぎで起動してくれと。

言葉使いから本気でヤバいやつだと察し、一足早く帰宅していたユウキは地下にある魔道具を起動。

姉に準備できた旨をスマホで伝えた所で、焦る姉の声とともに通話が切れた。



 

「玄関のドアを開けるタイミングくらいで繋いでた手が何時の間にか離れてて。多分未亜だけ呼びたかったんでしょうね」

しっかり繋いでた手が強制的に離されたのだ。間違いないだろう。

 

「それでどうして未亜姉ちゃんが怪我を?」

「それが今回は呼ばれ方がいつもと違ったの。まぁそのおかげで時間の余裕はあったのだけど、何ていうかUFOに牛がさらわれるみたいな感じ?未亜が光に包まれて上空に引っ張られたんだけど……うちの家ってさ玄関が窪んでて、その上って両親の部屋じゃない?そこの張り出した屋根の軒に未亜がぶち当たって、そのタイミングで地下の魔道具が召喚を打ち消したみたいで未亜が落ちてきたからキャッチした」 

「なんと言うか……色々重なったわけかぁ。ん〜でも許せないなぁ……」

「だよねぇ……」

アスカとユウキは目を合わせ頷く。

 

「「落とし前つけてもらおうか!」」

 

 

 

 

 

 


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