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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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デコって



未亜と二人でキッチンに行って準備を始める。

ティーは取り敢えずシエル達と一緒にいて、王妃様に動きがあったら教えてくれる手はずになってる。

もし騎士様やユリネさんが来たら、協力のお願いした方がいいよね。


「大きなケーキを焼くなら、ピザ焼く時に使った窯がそのまま使えるから大丈夫だし…」

「そう言えばこれも普通の窯じゃないんだっけ」

「うん、魔道具だよ。 ねぇ未亜、二段ケーキにしようかと思うんだけど、どうかな?」

「すごい豪華!」

「あまり大きくしすぎるなってユウキにクギ刺されたからねー。だから二段なら小さくても、見た目にインパクト出そうじゃない?」

「うん! ならまずは…大、小二種類のスポンジ?」

「だね、未亜やってみる?」

「うん…お姉ちゃん見ててくれる?」

「わかったよー。じゃあコレ型ね。卵とかの泡立てはやるから計量したら渡してね。フルーツのカットとかしてるから、いつでも声かけて」

「はーい」

窯だけ予熱かけとかないといけないね。



同時進行で、夕食の仕度も始めようかな。

もし王妃様がキッチンに来ても、夕食の仕度ですって言えるし…。嘘が下手らしいから私。 (うん!)

「未亜、夜ご飯なにか食べたいものある?」

魔力ドーム内で、未亜が計量してくれた材料を混ぜながら、今夜の献立を相談する。


「食材は何があるの?」

「こないだスーパーで色々買い足したから、割と何でも?」

「うーん…私、またお姉ちゃんのグラタン食べたいな。すごく美味しかったから」

「こっちでは作ってないもんね。わかったよ」 (やったぁ!)

前回作ってからそんなにたってないけど…ティーも喜んでるし、いっか。 (うんっ)

「ありがとう!」


前と同じでは芸がないし、ポテトグラタンにでもしようかな。 (…!)

…とか考えつつ、取り敢えずフルーツのカットも済ませて、冷蔵庫へ。


未亜が計量してくれたものを預かり、魔力ドーム内で混ぜ終え、ボウルに移して未亜に渡す。

「ありがとー」

泡立て器でやってたら時間かかって大変だからね。



次はじゃがいもを一口大にカットして、蒸してる間にホワイトソースを作る。

エルフの森で貰った鶏肉やキノコもあるし、具材には困らない。


「お姉ちゃん、スポンジ生地、型に流したよ。あとは焼くだけ」

「ありがとう、窯は予熱してあるから、温度と時間をイメージして窯の魔石に魔力流してー」

「わかった。 イメージ…イメージ…」

「難しく考えなくて大丈夫だから。何度くらいで何分〜って感じでいいよ」

「…なるほど、160度で、30分くらい…」

うん、大丈夫だね。



少し硬めで蒸し上がったポテトにホワイトソースとチーズをかけて、キッチンのオーブンへ。

数が必要だからどんどん作らないと。

「アスカ様、お手伝いします」

ユリネさんが応援に来てくれたけど…別の事をお願いしたい。


王妃様のお誕生日に向けてサプライズの準備を王女様から依頼されてる話をする。

そのためにキッチンへあまり来ないでもらえると助かることも…。

「なるほど…わかりました。私は王妃様の足止めですね?」

「言い方はアレだけどそうなります。お願い出来ますか?」

「お任せください、お茶をお出ししてきます」

そう言って王妃様の部屋へ向かったユリネさんが、なんだか逞しく思えたよ。 (大丈夫かな…)

暴走しなければ優秀なメイドさんだし…。 (ママを襲ってるイメージしかないのー)

最近はそれも落ち着いたみたいだから。 (油断しちゃだめー)

わかったよ。押し倒されたりとか、もうゴメンだしね。


次は生クリーム作らないと。

とは言ってもこれも魔力ドーム内で済ませるんだけどね。

「お姉ちゃん、さっきもだけど、その中で何が起こってるの…?」

「わかりやすく言うなら、ハンドミキサーみたいな? 家ならあるけど今はないからね」

「便利すぎるよ…」


「未亜、スポンジ焼けたらクリーム塗ったり、フルーツ挟んだりはここでするけど、仕上げのデコレーションはティーとリア、シエルにも手伝ってもらおうかなって」

「うんっ、みんなでやるの素敵かも」



魔石をイメージしたカラフルなゼリーもデコレーション用に作ったし…。

後はデコレーションするだけって状態までキッチンで作ってから、ストレージに入れて移動する。

仕上げを見られてしまったら一番よろしくないもの。

未亜はゼリーと、クリームやフルーツをマジックバッグに持ってくれてる。


ティー、リアとシエルを連れて手を洗ったら私の部屋へ来て。 (らじゃー!)


「未亜、私の部屋に行くよ」

「シエルちゃんの部屋じゃなく?」

「多分、服作りで散らかってると思うからね」

「あぁ…確かに」

「ティーに頼んでこっちへ呼んだから、先に行くよ」

「はーい」



私の部屋に大きなテーブルを作り出してケーキを取り出す。

自分の魔力体って便利だよね…。イメージするだけでいいし。

「ここにフルーツとか出せばいいのかな?」

「うん」


「ママーきたよ!」

「私達にケーキなんて作れるのかしら…」

「うちも経験無いの」

「大丈夫だよ、デコレーションだから。センスが問われるけどね?」

私より余程みんなのがセンスいいし…。


基本だけ伝えて、あとは任せることに。

二段の大きなケーキにびっくりしてたけど、楽しんでるみたい。

下が直径50センチ、上が30センチ。

このサイズならユウキも怒らないでしょ。



ちょうどユウキからファミリン通信だね。会話の音を上げとけばみんなにも聞こえるよね? (うん!)

「許可はとれたー?」

”うん、説明にちょっと難儀したけどね”

「あぁそっか。ごめんね、ありがと」

”いいよ。それより、ケーキ。ちゃんと加減したよね!?”

「大丈夫だってば。そんなに私って信用ない…?」

”ある意味での信頼だよ?やり過ぎるっていう…”

「ひどいなぁ…みんなも一緒だから大丈夫だよ」

”…わかったよ。 こっちへ着くのって明日の午前中?”

「そうだね、まぁ着いたらわかるでしょ?」

”そうだね、姉ちゃんの魔力なら”

「ドラツーの隠蔽があるから、ファミリン外してると私達の魔力を感知できないから気をつけてよ?」

”え、そうなの!? んーでも外さないから大丈夫。 じゃあ待ってるから、みんなにもよろしくね”

「はーい。まぁ聞こえてるよ、みんな側にいるし」

”そっか、じゃあまた明日”

「うん、明日ね」

ユウキに会うのも随分久しぶりな気がするよ。時々ファミリンで話しはしてたけど…。


私がユウキと話してる間に、ケーキはキレイに飾り付けられてて…。

側面に魔石を模したゼリーがキラキラしてて、フルーツは綺麗に並べられてる。

やっぱり任せて正解だった。

「みんな、ありがとね、すごく素敵だよ」

「ティー頑張ったー! ここの魔石ゼリー飾ったのー」

「ありがとねー。上手だよ。 でもどうしてほっぺにクリームついてるのかな?」

「ふふー♪残ってたの舐めちゃったー。リアも舐めてたのー」

「残ったのならいいけど…拭いてあげるからおいで」

「はーい!」


「私だって、こことか頑張ったのよ?」

リアも魔石ゼリーを飾ってくれたらしい。

「ありがと。リアも上手くできてるねー」

「ふふん。クリーム美味しかったわ」

「それは何よりだよ」


「う、うちはこことか…うまくできたと思うの」

シエルは器用にフルーツを並べてくれたんだね。

「シエルもありがと、服作りも頼んでるのにごめんね」

「ううん、楽しかったの」

「そっか、良かった」


「お姉ちゃん、早めにしまっておこう?崩れちゃうとヤダし…」

確かに未亜の言うとおりだね。

「私のストレージへ入れておくよ」

ケーキを収納し、取り敢えず解散に。




シエルとリアは服作りに戻っていったから、私達はキッチンへ。

グラタンの確認するつもりだったのだけど…長老二人とティアねえ様がキッチンにいるね。

「アスカ、すごくいい香りがして…」

「夕食の仕込みをしてたからね、もう少ししたら夕食だから待ってて」

「待ちきれないよー」

「展望室からの景色もすごかったけど…こっちのがすごいわ」

「ベルナ。よだれ…」

「ふぇ? 仕方ないわよ、これは…」

「わかるけど…」

焼き上がるのにもう少しかかるから、耐えてもらうしかないのが申し訳ない。


「お姉ちゃんのグラタン…楽しみ」

「ママのグラタンは世界一♪」

ティー、焼けたらまた船内放送お願いできるかな? (わかった!)





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