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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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自称、魔王



翌朝に、皆がいるタイミングで真実を話した。

長老ドラゴン二人は朝が弱いらしく、まだ寝てていないからちょうど良かったし。


「倒れたのも嘘をついたのもティーの為だったからママを怒らないであげて…」

「ちょっと待ってね、アスカちゃん。こないだ私に話したのもフェイクだったの!?」

「はい…ごめんなさい」

ティーが聞いてても大丈夫な話にしてたから…。それに全部が嘘でもないし。


「ならお姉ちゃんって一度死んじゃってたの!? そんな…」

「そうなるのかな?ドラツーもあるし、厳密に人としての死と同じ物なのかわからないけどね?」

「アスカが居なくなったりしないのはわかったわ…でも、もう無茶はしたらダメなんだから!」

「ごめんねリア」


「そうですよ! あの時、私もどれだけ悲しかったか…」

「ユリネさん…。 はい。ごめんなさい」


「アスカ様はもっとご自分を大切にしてください!」

「わかりましたアリアさん」


「アスカ様の優しさはよくわかってますけど…私を含めたこれだけの人が心配するんですからね?」

「そうよね〜。まだ付き合いが浅い私でさえ本当にショックでしたから〜」

「気をつけます…」

ルニアさんにセナさんまで…。


「うちのせいで…お姉様ごめんなさい」

「シエルのせいじゃないから! 私が自分でした事だからね」

「でも…」

「だってほら、現に私は元気でしょ?」

「うん…」

シエルには話さないほうが良かったのかな。

でもこれから一緒にいるなら早めに話しておいたほうがいいよね。 (うん!)


「私がいない時にそんな事になってたなんてねー。でもそうなるとアスカって何者?もう人の粋を越えてない?」

ティアねえ様にそこを突っ込まれるとは思わなかったよ。


「お姉ちゃんは元魔王でしょ?」

「そうね、私もそう聞いてるわ」

「でも…話を聞いてる限り、”元”でもない気がするのだけど…どうなの?アスカちゃん」

えーっと…。 これ、言わないとだめなやつかなぁ…。 (だよー)

仕方ないか。


「えっと、昨夜改めて自分を鑑定したんですけど…聞きますか?」

「私がアスカちゃんと初めて出会って…魅了の確認に鑑定かけた時は偽装してたのよね? あの時に偽装を解いてくれるって言ったのに…それを聞いておけばよかったのかしら…」

「かもしれないです。以前にちゃんと鑑定したのは魔王になる前だったので。 だから、私もちゃんと把握していなくて…。今は種族もおかしな事になってますね」


「お姉ちゃん、おかしな事って…? 大丈夫なの?」

「うん。例えば未亜を鑑定したら、種族は”人”になると思うんだけど、私は ”人? 魔王” ってなってる。だから現在進行形で魔王みたいだね」

人の後にハテナ付いてるの地味にショックだったよ…。


「鑑定に人か怪しまれるってどんな状況よ! まぁ私は別にアスカが魔王でも何でもいいわよ」

「うん。お姉ちゃんはお姉ちゃんだし」

「そうよね。何か変わる訳でもないもの。話してくれてありがとう、アスカちゃん」

アリアさん達も頷いてくれてる。

「ありがとうございます…」


「それはうちの妹達も惹かれる訳だわ。強くて魔力の大きい相手に惹かれるのはドラゴンの性みたいなものだし」

「ねえ様もでしょ!」

「そうなんだけど…。それを言ったら、かあ様もじゃない?」

「それだけは私が許さないわ!」

「仲間はずれにされるかあ様可哀想…」

「うっ…だって…」

ドラゴン姉妹の会話がなんかおかしな事になってきてるね?


「お姉様、魔王ってなに?」

「え? こっちにも何年か前にいたはずだけど、シエルは知らないの?」

「アスカちゃん、エルフ族との交流は今まで無かったのよ。里を捨てて街にいるエルフはいても、ほとんど里へは帰らないみたいだから」

「エルフの里へ情報がいってなかったって事ですか?」

「そうね。連絡手段も、どこに住んでるかさえも謎だったから」

なるほど…。エルフの里の事は王妃様でさえ知らなかったんだものね。


「普通はエルフの里を見つけることもできないの。里を捨てた者も帰れなくなるし…」

「そうなの!?」

「うん、隠蔽されてるから。特殊なアイテムがないと里に入れないの…」

そうなんだ…。私は里を離れたあとも場所がわかるんだけど大丈夫なのかな。 (ママの探索魔法だと、エルフの隠蔽も意味がないのー)

…まぁ、もう行くこともないからいいけどね。 (行ったら祀られるー)

ヤダよそんなの。 絶対行かない!


「それでお姉様、結局魔王って…?」

「魔力が高く…いろんな種族がいて、それらをまとめて魔族って呼ぶんだけど…」

「ママはその魔族の王様だったの!」

「王様!? お姉様そんな偉い人だっの?」

「いや、王の座はちゃんと譲ったからもう王ではないのだけどね?」

「えっとー、魔族の中で飛び抜けて強い人が魔王って種族になるのー」

そうなの?初耳なんだけど…。 (ママ…)

そんな残念な人を見る目で私を見ないで!?

てことは一度に何人か魔王が居ることもあるのか…。 (そんな強い魔族が複数誕生することはまずないの。魔王は世襲制だし)

そうなのね…。そういえば私も次の魔王へ引継ぎしたよ? (本来引継ぎをすると元の魔王は消えるけど、ママは異世界人で送還されただけだから)

だから魔王のまま…。 (そゆこと)


「そう言えば私の戦った魔王って、鑑定した時、種族は魔族だったわ…。てことはアレは自称魔王!?」

「種族が魔王じゃないなら自称なのー」

「な、なんてこと…私たちが必死で倒したのは…」

「魔王(自称)なの」

王妃様がショックで項垂れてるのだけど、いいのかな!? (ティーやらかした…?)

後でフォローしようね。 (うん…)


「最強の魔族、魔王…。お姉ちゃんヤバいね!」

「まぁアスカだし! 当然よ」

私は私で、妹にヤバいとか言われてるし、何が当然なのかリアを問いただしたい…。


「魔王なら討伐〜?」

「セナ…それならお前は私を敵に回す事になるな?」

「私もですね」

「冗談ですから〜! 隊長もルニアも本気で殺気飛ばさないでくださいよ〜」

「私も戦えませんが…アスカ様の側に付きます」

「私達ドラゴンも敵に回すことになるわね、ねえ様?」

「うん。全力で行くよ!」

「本当に冗談ですから〜! アスカ様助けてください〜」

そこで私に助けを求めるのはどうなの?


「ティーはセナが王女様を唆した事も許してないの!」

「ティー様! それは言ったらダメなやつです〜!」

「セナ…どういう事だ? 少し話を聞こうか」

「ひっ…いや〜! 助けて〜!」 (自業自得なの!)

アリアさんに個室へ引きずられて行ったけど…大丈夫なのかな? (お説教くらいは仕方ないのー)

まぁそうだよね…。冗談で済まない事になってたかもだし。


セナさんの悲鳴で長老ドラゴン二人も起きてきたから、皆で朝ごはんになった。

何事か気にしてたけど、ルニアさんに何でもないですって言われてたよ。

セナさんの扱い…。



暫くしてなんかボロボロになったセナさんがアリアさんと個室から出てきた。

アリアさんに謝られて、セナさんにも謝られた。

あまりにも可哀想だったから甘いホットミルクをセナさんに出してあげたら泣いてたよ。

「ありがとうございます〜優しさと温かさと甘さが沁みます〜…」





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