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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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いいわけ



ドラツーの自室から転移リングで飛ぶ。一応、こちらへ飛んだ時間へ戻るようにして…。


光とともに身体が消えて、地球のリビングへ…


…っ! 干渉された!?  


やっぱり…。そんな気はしたんだよ、だから、時間を戻るようにして試したんだし。

言い逃れさせない気ね…。これではっきりした。

うちの両親は私達に重大な隠し事をしてる。 

私達もだから怒れないけど…怒りたくもなるよね?




見慣れた自宅のリビング。

母さん達は… (ママの部屋にいるよ。地下への扉になってる魔石をいじってるの)

ありがとう、ティー。


そーっと…行く理由もないか。

階段を上がり、自室の扉を開ける。 


……。

娘のさ?クローゼットに両親が頭突っ込んで何かしてるとか…。

怒っていいよね?しかも近づいてきても気がつかないんだ?

「二人とも! 私のクローゼットに何してるの!!」

「うひゃ! ぃ…っう…」

「うぐっ… ってぇ…」


顎を押さえた父さんと頭を押さえた母さんがクローゼットから出てくる。

「二人揃って私のクローゼットで何してるの? ねぇ?」

「いや、これは…母さんがな?」

「ちょっと貴方! 私のせいにしないで…じゃないよ! アスカ! この魔石は何?」

「そ、そうだ。魔石だ! 説明してくれないか?」

………


「先に説明するべきなのはそっちじゃないのかな?」

頭にきてちょっと魔力をのせて威圧した。


「ちょ…まっ…て。アスカ…なにこれ…。貴方、助け…?」

「…………」

ドサッ…

「うそ…貴方!?」

やりすぎた?そんなに力込めてないのだけど。





目を覚ました父さんと、泣きそうになってた母さんは今私の前で床に正座してる。

私がさせた訳じゃないよ?勝手にしたから止めなかっただけ。


「「ごめんなさい…」」

「何に対して謝ってるの?」

「娘のクローゼット荒らしたからだな…」

「貴方、そっちじゃないよ。私達がずっとアスカ達に嘘ついてたことだよ」

「それはそうだが…娘のクローゼット荒らした父親なんてレッテル張られたら…」

「はぁ…。クローゼットの事はもういいよ。二人が変態なのはわかったし」

「「ぐはっ…」」

二人が地味にダメージ受けてるけど今はどうでもいい。


「それで、嘘ついてたって?話してくれるの?」

「そのつもりだよ。でもユウキと未亜ちゃんは?」

「ユウキは別行動してて合流出来なくて。未亜は私の判断で、今はまだ聞かせない方がいいかなって」

「二人はどこにいるんだ?ちゃんと話してくれ、アスカ」

「勿論話すよ。でも、先に話すのはどっちなのかな?」

「ひぃ…」

「アスカ、お父さんを威圧するのはよくないよ!」

「子供に嘘ついてほったらかしてたのはいい事なの?」

「うっ…それは。ちゃんと理由があって…」

「それを聞かせてって言ってるの」




母さんたちから聞いた話は、私達が頻繁に経験してきたような…、それでいてまたちょっと違う…。

そんな話だった。

父さんと、隣のおじさん、未亜のお父さん。

この三人が若い頃、異世界へ召喚されたらしい。

勇者として…。


その時に母さんと会って、結ばれて…。そのまま地球へ付いてきたらしい。

「え?じゃあ、母さんって異世界人?」

「うん…」

そう返事した母さんは、おそらく偽装の解除をしたんだと思う。魔力が流れたし…。

見破ろうと思えばできたと思うけど、まさか母さんが…。なんて思わないし。


その姿は…私と同じ、銀色の髪に紫色の瞳。

え…私のこれって、王子の趣味じゃなかったのか。

それに何か若くなった…?



私もユウキも、身ごもった時点で地球で目立たない様に偽装してくれていたらしい。

髪の色や瞳の色で目立つからって。


でもアスカのは解けてる?って母さんが悩んでるな…。 

これ、多分強制力が働いてるから、母さん達は混乱してそう。 (強制力は地球の人に強くかかるの)

なら異世界人の母さんは…。 (かかりにくい?)

なるほどね…。だから父さんは普通なのか。写真を母さんに見せてるし。

「いや、生まれた時から母さんにそっくりだっただろう?」

「……すごく違和感があるんだけど」

「母さん、その事は後で話すから。今はそっちの話を進めて」

「…わかったよ」



それからも、父さん、母さん、未亜のお父さん。 隣のおじさんは偶にだけ。

一緒にいる時に何回か異世界へ召喚されたらしい。

どうして呼ばれるんだろう? って一度、異世界で調べたら、原因は父さん。

召喚されやすい体質らしい。 

なにそれ…。


一度目は奇跡的に呼ばれたけど、それ以降は父さんが窓口というかキーになって。

周りにいる人を数人巻き込んで召喚される。

何度目かの異世界で未亜のお父さんも相手を見つけて結婚。


「なら未亜のお母さんも異世界の人?」

「そうなるな。しかも異世界への渡りの力を持った聖女だ」

「その力で、元の世界へ帰ろうとしてたのよ…だから未亜ちゃんと一緒にいられなかった」

「なんで?渡りの力があるなら、いつでも…」

「違うの…。希望のところへ必ず渡れるわけではないの」

「危ない場所へ飛ぶかもしれん…そんな場所へ子供を連れていけるか?しかも一度その力を使ったら魔力が回復するまで帰ることもできん」


「でも、移住したのって異世界だよね?」

「そうだ。やっと元の世界へ繋がったんだ。それで、行き先の固定をして娘を迎えに来たんだが…」

「未亜ちゃんに拒否されて…ミナ泣いてたよ」

「事情はわかったけど…未亜の気持ちを考えると、仕方ないと思う。自分達が帰りたいからって、ほったらかしたんでしょ?私も未亜の立場なら許せないよ」

「それには…」

「貴方!」

「…っ」


「…? 大体そんなに帰りたいなら、最初から帰る手段を確保しておくべきじゃない」

「…そんな簡単なものじゃないんだ。召喚されて、用事が済んだら返されて…」

「私やミナの様に誓いを立てて付いていくっていうのは大きな決断なの」

「それでも自分で選んで決めたんでしょ?」

「そうだけど…」

「私なんて、自分の意志と関係なく変えられて…強制力ですべてが変わってしまったんだよ!?

それなのに…自分で選んで決めたくせに!  そのツケを子供に?未亜がどれだけ寂しい思いをしてたか、その両親にわかるの!?」

「…アスカ? 変えられた?強制力?なんの話?」

「……それはいいよ。後で話す。それで?母さん達が私達をほったらかした理由を聞いてない」

「………」


「それは俺から話そう。俺が召喚されやすい体質なのは話したな?そして周りを巻き込むことも」

「うん」

「お前やユウキを巻き込みたくなかったんだ…近くにいたら巻き込んで異世界へ…」

「貴方…それは言い訳だよ。私も一緒…」

「しかし…」

「いいえ、私もミナと同じ。生まれた世界へ帰りたかったの」

「……そう。なら勝手に帰ればいいじゃない」

「アスカ!」

「やめて、貴方! ごめんなさい…確かに私のわがままなの。 アスカが生まれ、ユウキが生まれて…その時に思っちゃったんだ。両親に二人を会わせたいって…」

「……」


「そんな時だ…母さんがアスカを身ごもってから、無くなっていた召喚が、ユウキが5才を迎えたあたりからまた始まったんだ」

「召喚を拒否することはできない、しかも巻き込んでしまうから側に居られない…。だから事情を知ってるお隣へ、アスカ達を預けて離れていたの」

なんで私を身籠ってから数年は呼ばれてないの?

召喚が母さんや私達に気を使ったみたいなのは何なの!?

まぁ今はそれより…


「…母さんだけでも残れたんじゃないの? ユウキがどれだけ寂しがってたか知らないでしょ?」

「ごめんなさい…」

「謝ってほしい訳じゃないよ! 理由を知りたいの!」

「…俺は勇者だが、万能ではない。母さんの巫女としての力がないと死にかねん」

「勇者が聞いて呆れるよ! よくそれで勇者とか名乗れるね?」

「アスカ! お父さんになんてこと言うの?」

「だってそうでしょ?私が威圧にちょっと魔力のせただけで気絶したじゃない。ユウキのが遥かに強い勇者だよ」

「…ユウキが勇者?」

「そう、私も元勇者。 そして元魔王…」

「「………え?」」



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