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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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緊急事態



リアは、まだしばらくフィアと一緒にいたいって言うから、ティーと未亜、三人でドラツーへ帰ってきた。

「アスカ様、おかえりなさいませ」

「ただいまです、アリアさん」

ドラツーの入り口で見張りなのかな?アリアさんが出迎えてくれた。


「王妃様が私を探しておられたとティーから聞いたのですが…」

「それでしたら…おそらくドラゴンの長老様方との会談に関する報告かと思います。今は休んでおられますので、アスカ様も今はお休みください」

「わかりました」

なにか話に進展があったのかもしれないね。



未亜はドラツーへ戻るまで俯いたまま何も話さなかったんだけど…。

ようやく正気に戻ったのか、真っ赤になって謝った後、自分の部屋へ駆け込んでいった。

時々暴走するよなぁ未亜。 (……)


お留守番しててくれたシエルの様子を見に行こうかなと思ったら、リビングにいるね。

私が置いていった本を広げながら作業してるみたい。


「シエル…って、なにこれ!?」

「お姉様、おかえりなさい」

「ただいま。…じゃなくてね?服がすごい量なんだけど!」

「この本凄いの! 新しいアイデアが一杯浮かんで…」

「楽しかったのならいいけど、ちゃんと休憩も取らなきゃだめだよ?」

「はーい」

「ママ、ティーの服?」

「そうだね、シエルにちゃんとお礼言わないとね」

「うん、シエルーありがとー」

「えへへ…お姉様のもあるから着てほしいな」

「そうなの?見せてもらえる?」


ファッション雑誌を見たからか、こっちの世界だと斬新なデザインになりそうだけど…。

私でも抵抗なく着られるようなデザインで、すごく好みかも。

「おしゃれでいいね! ありがとうシエル。着てみてもいい?」

「うん。手直しが必要なら言ってほしいの」



ティーと一緒に自室へ戻り、シエル作の服に着替える。

「ママ、これかわいい!」

「ほんとだねーよく似合うよ」

お腹に大きなポケットのついたオーバーオール。

活動的なティーにはピッタリ。本人も動きやすいみたい。


私のは…コルセットシャツワンピ。少しスカートが短いけど…まぁいいや。

ワンピースを着て、レザーコルセットで留める。 ピッタリ…過ぎてびっくりだよ。

「ティーがねー。ママのサイズも伝えたの!」

「そうなの?よく知ってたね?」

「うんっ! 上からねー」

「ストップ! それは言っちゃだめ。 ティー、シエルに見せに行こうか」

「はーい。いこー」



リビングで片付けをしてるシエルに着た姿を見てもらった。

「二人とも可愛い! サイズ大丈夫そう?」

「私はピッタリだよ」

「ティーも!」

「良かったのー」

「シエル、ありがとうね。大切に着させてもらうよ」

「ありがとー!」

まだ作りたそうだったから、生地とか材料が必要なら言うように伝えた。

勿論、無理しないようにだけは念を押したけどね。

欲しがったから追加で渡した素材を抱えて、嬉しそうに自室へ持っていった。


私もお礼にシエルのための魔道具アクセサリーを作らないとね。

効果はいつも通りみんなと同じ。他は…後から何か思いついたら足せるようにだけしておこう。

まだシエルの事は知らない事が多いから。




ティーとリビングに居たら王妃様も部屋から出てきたので、話を聞くことになった。

 

渡した魔道具通信を使って、ドラゴンの長老衆と陛下との会合をする日程を決めたり、

ティアねえ様が正式に王国側へ派遣されて常駐するドラゴン代表になった、とか。


「それでね、アスカちゃん。長老様達をこのドラツーに乗せて王国まで送迎してもらえないかしら。その為にもう数日、ここで待たなきゃいけないのだけど…」

「わかりました、大丈夫ですよ。長老様達は大丈夫なんですか?」

「ドラツーの話をしたら、乗りたいってノリノリだったわよ。誰が行くかで揉めてるわ」

「それはまた…」

「人数は二人、一人は襲撃したドラゴンの姉に当たる人。あと一人の枠を巡ってね?」

「フレアベルナさんですね、お会いしましたよ」

「そうそう。アスカちゃんに会いに行くときは泣きそうだったけどね」

そう言って笑う王妃様はちょっとひどい。 (ママ! 緊急事態!)

え?どうしたのティー。 (ママのママとパパが帰ってきてるの)

あぁ…。時間戻しちゃうから平気よ? (それが…バレてるの)

バレてるって? (異世界転移)

「はぁぁぁ!?」

「ちょっと、アスカちゃん! どうしたの!?」

「…すみません。緊急事態みたいです」

「大丈夫なの?話を聞きましょうか?」



一度戻らきゃいけないかもだから王妃様にちゃんと話しておかないと。

「私達の留守の間に両親が帰宅したようで…ティーの分体から報告が」

「そういえば、ご両親は留守がちだって言ってたわね。でも、時間を戻すのなら大丈夫よね?」

「いえ…ティーによると、私達が異世界転移してる事を何故か把握してる様でして…」

「どういうこと!? ご両親も召喚とかの経験者?」

「いえ…そんな話聞いたことありません。でも、私達のように隠していたのなら…」

「…アスカちゃんはどうするつもり?」

「一度戻って話を聞いてみようかと。 ただ…ユウキが別行動なので、連絡だけ取ります」

「そうね、未亜ちゃんはどうする?」

「置いていきます。ややこしい事になりそうなので、巻き込まない為にも」

「そう…わかったわ。未亜ちゃんの事は任せて」

「ありがとうございます。もしリアが戻ったら説明だけお願いしてもいいですか?」

「ええ。大丈夫よ」

リアは久しぶりの帰省で、せっかく家族といるのに、邪魔したくないし…。




地球へ戻っても、飛んだ時間にこちらへ戻ってくるから長老衆の送迎に影響はないことを伝えたら、 

「今は自分の心配をしなさい。こっちの事は気にしなくていいから」って。

ありがとう王妃様。


取り敢えずユウキにファミリン通信を。

”姉ちゃん?またくだらない用事なら…”

「緊急事態。母さん達が帰ってきたって。しかも異世界転移がバレてるらしいの」

”はぁぁ!?いや待って…どう言うこと?”

「ティーの分体からの報告なの」

”何か証拠残した?”

「ううん、全部ストレージ…いや一個ある!」

”地下への扉か!”

「そう、でも偽装してあるから…魔力を辿れるような人しか気が付かないはず」

”てことは…”

「うん、その可能性があるね。取り敢えず私だけでも一度戻って話してくる」

”こんな事なら別行動するんじゃなかったな…”

「仕方ないよ…予想外すぎるもの」

”一人でって事は未亜姉ちゃんやティーは置いていくの?”

「うん、状況が判らないのに未亜を連れて行くのは…。ティーはいざって時の為にね」

”…そうだね。後で未亜姉ちゃんに怒られたら僕も仲裁するから、母さん達から話を聞いてきて”

「ありがとう、行ってくるね」


王妃様にもう一度未亜達の事を頼み、ティーにもお留守番を頼む。

「ママ…ティーもいくの」

「そうしたいけど、こっちにいて欲しいの。それに分体は向こうにもいるんでしょ?」

「うん…でも、ママと会話するくらいしかできないの」

「充分よ。こっちへ伝えてほしい事があったら言うから、お願いね?」

「…わかった」

「ありがとう、ティー」

ティーとハグをして、転移の準備。リングの魔力は充分。

行けるね…。





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