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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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母娘



ティーと赤ちゃんドラゴンを抱いて、草原で座ってたら、後ろから気配が近づいてくる。

敵意はないしいっか…。怯えてるのは地味に傷つくけど。

私に用事なのかな? 離れたとこで止まったし…。


「あのー。 なにか御用ですか?」

振り返ってこちらから声をかける。

「は、はい…貴方がアスカ様ですか?」

様って…。燃えるような真っ赤な髪に黒い瞳の…お姉さん?


「はい、そうです。様とかいらないので普通に呼んでください」

「…虐めますか?」

「そんなことしないよ!?」



このお姉さんはフレイムドラゴンのフレアベルナって名乗ってくれた。

長老衆の一人で、私が凍らせたドラゴンの姉にあたるらしい。

「弟がご迷惑を…」

「私も、凍らせてしまって…」

「いえ、それはもう。 自業自得ですから。あの子のせいで私の立場も危うくなっていたので…」



フレアベルナさんの話をまとめると、弟のドラゴンがやらかした事で責任問題が発生する。

今、唯一ここの里にいる親族のフレアベルナさんか、弟のどちらかが行動の後始末をしなければならなかったと。

ご両親は違う山の里に住んでるらしい。

ルナシアさんは王国への謝罪に行ったりしてるからそれ以上の責任は問われないって事らしい。

赤ちゃんもいるしね。

娘である、リアとティアねえ様が支援をして回ったのも大きいみたい。


だから、私が止めて氷漬けにした事で捕まえる手間はなくなり、責任の追求は本人のみ。

聞き取りをして、酌量の余地なしって事で氷漬けのままドラゴンとしての力の剥奪。

今、氷をといても、狼にすら勝てない。しかも力が戻ることはないらしい。

詰んだねあのドラゴン。

その辺の報告をするために来てくれたと。


「長老衆も酷いです、怖いから一人で行けって…王妃様は大丈夫だからって言ってくれましたけど…」

その話で傷つくのは私だと思うなぁー。

「話してみたら王妃様の仰ったとおりで安心しました」

「それなら良かったです。私もあのドラゴンのお姉さんが話が通じる方で安心しました」

「強い事と、私が長老衆の一人という事で多少大目に見られていたので、図に乗ったようです…」

アホすぎる…。 (迷惑なのー)

だよねぇ。


「ところでその抱かれてるドラゴンは…?」

「この子はティーと言って私の魔法から生まれた子です。今はこの姿ですが…」

ポンッと人型に変わるティー。

「こんな感じで姿を変えられます」

「長く生きてきましたが…初めて見ました」

「ティーだよー」

人の姿で私の膝に座るティーを見て、ニコニコしてるからティーの可愛さは最強だね。 (ママの子だし)


「それで…こっちの赤ちゃんドラゴンは、ルナシアさんのお子さんです」

「…え? いや確かに…シアの魔力も感じるけど…ほぼアスカさんの魔力?え?昨日見たときは、背中が赤く…。ちょっとこの子まさか! この身体の色…」

キュ?

フレアベルナさんが大騒ぎするから起きちゃったね。大丈夫よ。

キュ…。

撫ぜてあげたら安心したのかまた寝ちゃった。


「すみません、この子に何があったか教えていただけますか?」

「はい」

リアの家…もとい洞窟で起こったことを詳しく話した。



「…ということは、この子はアスカ様の膨大な魔力をその身に循環していると…」

「そうですね、きれいに流れてます」

「この子。上位種ですよ?ルナドラゴンの…でいいのかしら」

「え?」

「身体的特徴、魔力量どちらも普通のルナドラゴンではないんです」

そう言えば、リアとルナシアさんは薄い水色、ティアねえ様は二人よりもう少し緑が強いくらい。

この子は翼はリアと同じような色だけど身体は白銀。私の髪みたいな色してるね。

どーすんのこれ…ルナシアさんになんて言えば?


「凄いことです。ここ数百年、上位種が誕生した事なんてありませんから」

それ大丈夫なの? (ママは子持ち…)

それはもうティーがいるからそうだよ。 (認知された!)

最初からしてるし。またそんな知識をどこで…。 (昼ドラ)

まったくもぅ!


「すみません。私、長老衆に報告に行かなければ…。これで失礼しますね。弟の事ありがとうございました」

「わかりました」

ついにお姉さんにお礼まで言われてしまったよ。あのドラゴン悲惨すぎる。

私もルナシアさんに話さないとなぁ…。

怒られるか…悲しまれるか…。気が重い。

取り敢えず洞窟に戻ろ。 



洞窟に戻ってきたら、なんか奥が騒がしい…。

まだ揉めてるのかな。


「お姉ちゃん、私気がついたよ!」

びっくりした…洞窟の暗がりから急に出てくるから。

「未亜、どうしたの?」

「寝盗られたなら寝取り返せばいいんだよ!」

うちの妹がなんの話をしてるのかちっともわからない。


ただ未亜の目が正気じゃないのだけはわかる。

「落ち着きなさい未亜、何を言ってるの?」

「落ち着いてるよ?だからお姉ちゃん…」 (わぁ…これは)

「ちょっと…何するの!? やめっ! ああーもぅ! スリープ…」

今、この子何しようとした!? まったくもぅ…。

取り敢えず…ここ地面だけど、寝かせておこう。


後はルナシアさんに報告を…。

「かあ様の言いたいことはわかったから! リアも落ち着きなさいよ」

「でもねえ様だって…」

「私は何番目でもいいもの。そもそもあの子を独り占めにできると思うの?」

「それは…」

「でしょ?だったら古い考えなんて捨てて、自分がどうしたいかのが大切じゃないの?それにこの姿ならドラゴンの縛りを気にしなくてもいいんだし」

「ティアはいいことを言いますね。そのとおりです。これからは人との共存のために長老衆も変わると言ってましたからね」

「むー! わかったけど…納得いかないわ!」


なんか難しい話ししてるね。人との共存とか話してるし、ドラゴンの未来のことかな…。 (……はぁ)

ティー? (ううん、ママはママだなぁーって)

そうだよ? 

それより今はこの子の事話さないと。



「あのーちょっといいですか?」

「アスカ! 私のおと…妹は?」

「今は寝てるよー。その事で三人に話が…」



フレアベルナさんから聞いた話を伝える。

「えぇ!! じゃあ私の妹は上位種? かあ様、ルナドラゴンだと初めてじゃない?」

「そうね、聞いた事がないから…」

「アスカの魔力が…そんな事って…信じられないわ」

ティアねえ様は興奮してるし、ルナシアさんは考え込んでる。

リアは…ショック受けてる?


「ごめんなさい…また私のせいで」

「何言ってるの?アスカ! これは凄いことなのよ。おめでたい事なの!」

「ええ…まさか私の子が…。アスカさんありがとうございます。娘共々よろしくお願いします」

「かあ様! だからそれは私が許さないって言ったじゃない!」

リアは怒ってるけど…ティアねえ様や母親のルナシアさんが喜んでるのなら大丈夫なのかな。








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