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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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ドラゴンの仔



リアに案内された私達は一つの洞窟へ入ってきている。

明かりの魔道具が付けられているから明るさは問題ないけど…。

「本当に洞窟なんだね」

「それはそうよ。誰かが工事して家を作ってくれると思うの?」

「確かに…」 

ここへ来るまでも幾つか洞窟は見かけたけどドラゴンは見ていない。


「ねぇリア、ここにドラゴンってどれくらいいるの?」

「そうね、ここだけなら10ってとこかしら。周辺の山にもいるから…合わせたら結構いるわよ」

「そうなんだ。見かけなかったから…」

「あぁ…それは多分…」

「なに?」

「アスカが怖いのよ」

「…え?」

「初対面の私を思い出して…」

あぁ…。


「お姉ちゃんどういう事?」

「………」

「ママの魔力ってドラゴン数十匹分は余裕であるからー。ドラゴンは魔力に敏感だし」

「さすが魔王…」

「くっ…」

「未亜…ママにとどめ刺さないでー」

「そんなつもりはないよ!?」

「ほら、もうすぐ家の一番奥につくから遊んでないで」

遊んではないよ! ダメージ受けてるんだよ…。


洞窟その物が大きくないから、なんでだろう?って思ったら中へ入るときは姿を変えるものらしい。

小型化したり、人化したり。 やっぱり小型化出来るんだ…。 (うん!)

ドラゴンのまま眠ったりするのは日向ぼっこのために外でするものだそう。

生態がよくわからないね。ある意味神秘だわ。


「かあ様! 帰ったわ!」

「リア! それにアスカさんも。ようこそ…このような洞窟ですみません」

「お邪魔します。こちらこそ突然でごめんなさい。妹の未亜と…」

「ティーだよー!」

「お邪魔します、未亜です」


「かあ様、弟は?名前決めたの?」

「落ち着きなさいリア、お客様もいるんだから」

「みんな家族だから大丈夫! 堅苦しくしないでいいわよ?みんな緊張してしまうわ」

「そう、家族…。 ふふっ。わかったわ。みなさんお好きに寛いでください」

「ありがとうございます」

とはいったものの…どうしたらいいのかな?地面に座ればいいのかな…。

ワイルドだー。取り敢えずその場へ座る。

未亜も悩んだ末にその場に座ったね。

ティーは私の膝の上。 (とくとーせき!)

だね。


ルナシアさんが赤ちゃんドラゴンを連れてきた。

前に見たときより一回りほど大きくなってる。四つ足でてちてち歩いてて可愛い。

寝てる姿しか見てなかったからね。

リアも会えたのがよほど嬉しいのか抱き上げてる。


「あの、これ…私の生まれた世界のお菓子なんですが、よかったら食べてください」

「ありがとうございます、お世話になったのに…また」

「それはもうお気になさらず。 赤ちゃん少し大きくなりましたね?」

「ええ、この時期は成長が一番早くて。目を離すと歩いていってしまったりで…」

目の下にクマがあるし。お疲れみたい。


「可愛い…リアちゃんがデレデレになってるのもわかる気がするね」

「うん、会いたいって言ってたからね」

「リアがおねーちゃんみたいになってるのー」

「みたいじゃなくてお姉ちゃんなのよ! かあ様、この子名前は?」

「それが…話すと少し長くなるのだけど、リア。ちゃんと聞いてくれる?」

「大切な話みたいね、わかったわ。 アスカ、弟をお願い」

「わかったよ、席外そうか?」

「いえ…そのままで。アスカさんにも関わりがあることなので、聞いてください」

「わかりました」

てことはあのドラゴン絡みかな?


受け取ったドラゴンの子は、私が抱いても嫌がらず大人しくしてくれてる。

ティーもなぜかドラゴン姿になった。並ぶとこれまた可愛い…。 (♪)

この子は背中からしっぽにかけて赤いラインが入ってて、その他はリアと同じような色。

この赤は父親の色だね。アイツ赤黒かったし。

膝の上でドラゴン2匹がじゃれてて可愛すぎる。

横から見てる未亜もデレデレじゃない。


「かあ様話って?」

「あのね、別れることにしたの」

「え?とう様とってことよね?体は大丈夫なの!?」

「ええ…辛かったけどね。あれで済むなら…。ティアから聞いたけど、あなた達であの人の後始末をして回ってくれたのよね?」

「ええ。あんなでも、とう様だからその尻拭いくらいはしないと、ドラゴンとしての沽券に関わるわ」

「あちこちの村に降りて何してたかは聞いてる?」

「食べ物の要求をしてたって聞いてるわ。だからその支援をして回ったの」

「それだけじゃないのよ…人化して気に入った女の子に声かけたり、手を出そうとしたりしてたらしいわ」

「は? それホントなの?」

「ええ、その為にわざわざあちこちの村や街に立ち寄ったらしいの」

「…呆れた。でも誰からそれを?」

「本人よ。アスカさんの魔道具で頭だけ魔法の解除ができるから。長老達が言い分を聞くって…」

「よく本人が話したわね?」

「抵抗できないまま、力を剥奪するって言われたら…ね?」


なんか…とんでもない話を聞かされてしまってるのだけど。

ただ、あれだけの村や町へ、わざわざ寄って回った理由ははっきりした。


「かあ様はそれで良かったの?」

「ええ、今までは我慢してきたけど…流石に限界。父親がいなくなるけど許してね…」

「いいのよ。かあ様もこれ以上辛い思いしないで済むならその方がいいわ」

「ありがとう…」

「この事ねえ様は?」

「ついさっき、帰ったときに…」

「喜んでたでしょ?」

「ええ。せいせいするって」

「ねえ様らしいわね。そうなると…弟の名前どうなるの?」

「そうなのよ。それを相談したくて…」


私も未亜もとてもじゃないけど口を挟める雰囲気じゃなくて…。

ティーは赤ちゃんドラゴンと私の膝の上で寝てるし。


「アスカ、どうしたらいいと思う?」

ええ…そこで私にふるの!?

「状況がわからないのだけど…名付けに、なにか特別な決まりがあるってことでいいの?」

「あっ…そうね。話してなかったわ」

おいおい…。



リア曰く、女の子なら母親の種族、リアならルナドラゴン。

その”ルナ”が名前につく。成長すると必ず母親の種族になるから、らしい。

男の子だと父親の種族が名前に入る。成長するとその種族になるから。

同じ種族のドラゴン同士や、雌雄いる種族の場合はまた別らしいけど。


ただ、雌雄いない種族の場合に両親が別れると、引き取った方の種族に偏ると。

男の子なのに母親の種族の特徴が強くなる。それでこの子、色が…。


どうやらドラゴンの婚姻関係っていうのは、私達が思うよりも、重く深いもので。

魂と魔力の共有とでも言うのかな?それぐらい強い結びつきを持つ。

だから基本は一夫一妻。添い遂げると。

別れることは滅多にない。魂が引き裂かれるような苦痛を味わうから。

それでも別れを決断させるほどあのドラゴンはルナシアさんを傷つけたってことだよね。


人化して人と婚姻する場合はドラゴンの常識は当てはまらないらしいけど…。

人の街でハーレムを作ったドラゴンもいるらしい。

男だった時なら羨ましいとか思ったのだろうか? (ママはある意味ハーレム…)

どこが!? (なんとなくー)

まったくもぅ…。



リアくらい大きくなってて個として成長していれば身体に両親の別れによる影響はない。

縁が切れるだけってことかな?

ただ…幼い子は両親と魔力の繋がりがまだ強いために、別れて繋がりが切れると、今回のように偏る。


「そうなると…この子の種族って何になるの?」

「ルナドラゴンになるわ。ルナドラゴンはメスしかいないの」

「え?じゃあ…」

「性別が変わってしまうわね。妹になるわ」

両生類かよ!!


「それって問題はないの?」

「過去にも数回こういう事がありまして…そして一度だけ娘を父親が引き取った事で性別の変化が起こりました。その時は、子供の魔力に不調がでて著しく成長に影響がでました…」

「大丈夫なんですか!?」

「…成長が遅くなるだけよ。一定まで育ってしまえば問題はないわ」

「それにしたって…」

私自身、性別が変わるっていう大事件を経験してるから他人事と思えない。


「あの…この子の魔力の流れを見てみても構いませんか?不調がないか…」

「そんな事できるのですか!?」

「そっか! アスカなら魔力循環で…」

「お姉ちゃんって王女様の不調も直したもんね!」

ただ魔力循環だと、この子が抵抗した場合は危なくて無理だ。


「魔力循環だと抵抗がない事が絶対条件になってしまいますが…流れの確認だけならすぐ出来ます」

「お願いします! 唯一の不安がその事だったので…」

「アスカ、お願い。弟を…いや妹になるのかしら?診てあげて」

「わかったよ」


軽く診るよりはしっかり鑑定したほうがいいよね。

寝てるとこごめんね。


小さなドラゴンは魔力ドームに包まれる。




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