すれ違う想い
(どうしよう…ママのお部屋に置いてきた分体からの連絡が途中で切れた…消えたっぽい?
ヤバいってだけ伝えた後に…消えたってことはバレそうになった?消された?誰に?
ママに話さなきゃ…でも殆ど情報が送られてこなかったからなんて言えば…?
取り敢えず学校に置いてる分体を向かわせなきゃ。でも慎重に…前より隠蔽を徹底的にして)
王妃様との話も終わり、最後にかなりの恥ずかしさを味わった私は部屋へ戻ってきた。
「ママー。お話長かったね」
「うん、ちょっと大切な話をね」
「だからティーね、おとなしくしてたー」
「ありがとうね」
ティーを抱き上げてベッドに座る。
現状で、王妃様と話してわかったことはユウキにも伝えるとして…。
今はこれに関してはなにも出来ることはない。
「ティーも話は聞いてたの?」
「うん。でもティーはママと一緒にいたからママの知ってるのと同じ事しかわからないの」
「そうよね。ずっと一緒だもんねー」
「うんっ」
「ねぇママー地球には魔法使える人いないのー?」
「うん、魔法とかが、そもそもないからねー。認識すらされてないよー」
「魔力を感じ取れたりとかは?」
「うーん、カンのいい人だとなんとなく違和感感じたりするかも?程度だと思うよ、どうかしたの?」
「ううん、気になって」
「そっか。魔法なんてゲームとかの中にしかない世界だからねー」
(………)
まず、ユウキと話して。その後は魔法学校の確認をするか、魔族の子孫に会いに行くか…。
でもなぁ。 どんな顔して会いに行けるの? 私は姿も違うし、衰退して苦労してきた人たちに…。
ユウキにはファミリンで王妃様とのやり取りを詳しく伝えておいた。
いずれ確認はした方がいいかもだけど、慌てることはないって結論にお互い落ち着いた。
また追々考えよう。 (ティーはどこでもついていくよ!)
ありがと。大好きだよ、ティー。 (ティーも!)
今は、今しかできない事をしないとね。
それから二日かけて村々をまわり、支援物資の輸送も無事に終わった。
何事もなく進むとこんなスムーズなんだなーって…。
倉庫にいたメイメって言う、あのもふもふの羊さんとの別れが寂しかったくらい。
今はリアとティアねえ様を弟に会わせるために、ドラゴンの里へ向かってドラツーを飛ばしている最中。
随分時間がかかったけどやっと当初の目的に向かってる。
移動中にしたことといえば…。
シエルの魔力循環…これは結論を言えばできなかった。
本人の抵抗感があるというより、根本的に相性が悪いって言った方がいいのかな?
私の魔力とシエルの魔力がぶつかって弾き合う。
他のみんなだと、私の魔力と混ざり合って流れるんだけど。
連れて行くとなると考えないといけないね…。
それよりも一度でいいから行ってみたいっていう王妃様とティアねえ様のが騒がしかった。
ティアねえ様は問題なく魔力循環できたから、私がびっくりした。
前は抵抗あるって言ってたのにね。
なんか未亜とリアがすっごい顔してたけど…。
王妃様は時間を戻せるでしょ?って痛いとこをついてくるし…。やっぱりバレたか。
陛下に内緒で?って聞いたら、うっ…ってなってたから多分大丈夫かな?
里が近くなったらティアねえ様が飛んで先行し、里のドラゴン達に説明をしてきてくれるって言うから、ティアねえ様が乗り降りしやすい様に、ドラツーをカスタムした。
階段を使い、ドラツーの背中に新設した離発着場に出て、ドラゴン化して飛び立てるように。
階段は物資の輸送が終わった事で、馬車以外は空っぽになった倉庫の中にある。
もちろんティアねえ様が飛ぶときは速度落とすけど。
相変わらずドラツーはティーが喜んで飛ばしてくれてる。 (たのしーの!)
こんな感じでね?私よりうまく飛ばすし。 (ティーが一番ドラツーをうまく飛ばせるの)
そうだね。お願いするよ。 (あーい!)
「アスカー私そろそろ先行するよー」
「もうそんな距離?」
「うん。だからゆっくり来てね?この子が全速力で飛んだら私が抜かされちゃうし」
「わかったよ、ティアねえ様が飛ぶにも危ないから、ちゃんと速度は落とすよ」
「アスカの愛を感じるよー」
またハグするのね…。ティアねえ様は仲良くなってからスキンシップがすごい。
ティー、速度を落としてもらえる? (はーい)
先行するティアねえ様を見送ったから、リアにも教えてあげないと。
リアは…部屋だね。未亜もいるけど…お邪魔かもだから声をかけるだけにしておこう。
部屋をノックして…外から声をかける。
「リア、里が近くなって、ティアねえ様が先行してくれたから。そろそろ降りる準備しておいてね」
「アスカ、入っていいわよ?」
「ううん、用事それだけだから」
私も仕度しないとだし…。
一応、私も手土産は持ってきてるからね。
着替えたほうがいいかな? (大丈夫! ママはいつもキレイ!)
ありがとう〜。ならいっか。
「アスカ! 待ってよ…なんか冷たくないかしら?」
「え?」
リアの部屋の前から離れようとしたら、扉を開けて出てきたリアに止められた。
冷たくしたつもりは無いのだけど…。
「もしかして怒りすぎたから?」
「うんー?冷たくしたつもりは無いよ? あ〜でも、最近未亜もリアも凄い怒るなぁとは思うよ」
「……そう」
「ほら、ティアねえ様が来たときもめちゃくちゃ怒ったじゃない」
「それは…ごめんなさい」
「いいよー。ただ何であんなに怒るのかちゃんと教えてくれないと」
「わかってないの!?」
「だって、なんで?どうして?って怒るだけじゃない。なにか悪いことしたのなら言ってくれればいいのに」
「そう言われればそうかも…。 アスカは私や未亜の気持ちわかってるわよね?」
「気持ち?えっと…ごめん具体的に言ってくれないと」
「アスカを大好きだって気持ちよ!」
「うん、私も二人の事大好きだよ。大切な家族だからね」 (……)
「あ、あぁ…うん…。そう言う事ね?わかったわ…」
「うん?違うの?」
「違わないけど違うのよ…なんて言えばいいの?」
「私に聞かれても…」 (ママ、そろそろ近いから一度止まるよー?)
わかったよ! ありがとうね。
「そろそろ到着するみたいだから早く仕度してね?」
「ええ…」
去っていくアスカを複雑な思いで見送るリア。
「リアちゃん…お姉ちゃんってもしかして鈍いのかな?」
「そうね、あれだけアピールしててもダメなのかしら?」
…てててててっ
「未亜ーリアー。ユウキがね?ママは相手の好意にめちゃくちゃ鈍いって話してたよ?」
「ティーはそんな話いつしたのよ?」
「ママが王女様にプレゼントしてー未亜とリアがママにキレてたとき?」
「あぁ…」
「今までも何人も落としてきたって言ってたの」
「「え…?ちょっと詳しく!」」
ユウキから聞いたと言うティーの話を聞いた二人は頭を抱える。
「思い当たる事があり過ぎるわ」
「うん…お姉ちゃん優しいし、プレゼントを渡すタイミングや内容も的確…」
「ライバルが増えるって半分冗談だったのだけど…これは本気でヤバいわね」
「うん、ヤキモチで八つ当たりなんてしてたら…」
「愛想つかされるわ!!」 (それはないと思うけどなぁ…ただ、ママはティーのママだし!)




