両親
「貴方! そっちにはいた?」
「いや…家中探したが…。それに何度かけても二人のスマホに繋がりもしない」
「おかしいよ! 夜中だよ?アスカ達が夜遊びなんてすると思えない!」
「ずっと留守にして放ったらかしてきたから…。グレてしまったのか!?」
「バカ! 私達が信じないで誰があの子達を信じるの!」
「そうだが…」
「それとね…私、こないだ帰ってきた時に感じた違和感が拭えないの…。ねぇ…よく思い出して。アスカって銀髪だった瞳の色は?」
「いや、ナツハの血を引いてるのならおかしくはないだろ?」
「それだよ! 私の今の髪色を見て?目の色も…」
「……? いやしかし…。俺たちが持ってる写真だって銀髪だぞ?」
「でも! あの子達がこっちで目立たないように身籠った時に対策したはずよね?」
「ああ、ナツハも、普段から偽装しているしな。ただアスカの時は初めてで失敗したんじゃないのか?」
そんな単純なもの?おかしいよ…色々と。記憶がぐちゃぐちゃしてる感じ。
なんなの、これ…。アスカ達に何があったの?
「アスカには悪いけど…部屋を調べさせてもらうよ!」
「おい…さすがにそれは」
「夕夜は待ってて、アスカは女の子なんだか…ら…?」
あれ?何この違和感…。
「わかった、何かあったら呼べよ」
「う、うん…」
おかしいおかしい…何この違和感は。
取り敢えずアスカの部屋へいってみなきゃ…。
タンス…。服しかないね。
もっと可愛い服も着ればいいのに。
ベッドの下…。隠すならここ?いやそれは男の子…。っ! なにこの違和感…。 (ヤバい…強制力が…)
「!! 誰?」 (……)
気のせい?たしかに感じたんだけど…。
クローゼット! そこだね?
バンっ!
いない?でも確かに感じる…。 服の後ろ? え…これって! うそ…でしょ? そんな…。
「夕夜! きて! 早く」
………ダダダ
「どうした?いたのか?」
「違うの…見てこれ…」
「ん?アスカのクローゼットか。 これは…魔石!? どういう事だ?」
「うまく偽装されてたのだけど、私なら魔力を感じ取れるから…」
「この魔石の意味は…?」
「そこまではわからないよ。おそらく魔道具の類だとは思うのだけど…」
「魔道具…そんなものがどうしてここに?」
「ねぇ、もしかしてあの子達も貴方のように”よばれて”たりしないよね?」
「まさか、あれは俺の体質で…近くにいなきゃ巻き込まれない筈だぞ?」
「でも、血を引いてる…」
「…っ! そんな事あってたまるか! それならなんのために俺たちは…」
「そう、あの子達と離れてまで…。無意味だったの…?」
「俺はもう一度、隣に行ってくる…アイツとも話さないと」
「ええ…私はミナに連絡してみるよ。今こっちにいるといいけど…。 未亜ちゃんを預かっておきながら、こんな事に」
「いや、無理だろ…あいつらは”帰った”だろう?」
「…そうだったよ。やっと”当たり”をひいて…」
何度も何度も…それでやっとミナ達は当たりをひいた…。
私達は…?後どれだけこんな事を繰り返せばいいの…。
「アスカ…ユウキぃ…」
「泣くな…覚悟していたはずだろう?」
「…だけど…あの子達まで。危険な目に合ってたらどうしたら…」
「落ち着け。大丈夫だ。俺たちの子だぞ?勇者と蒼白の巫女の子供なんだぞ?」
「…うん」
「帰るまで待つか…こうなったらもう全部話すしかないだろう」
「そう…だね。私達が呼ばれる前に帰ってくれるといいけど…」
「ああ…。それに、もしかしたらアスカ達が”当たり”を引いてるかもしれんだろう?」
「それは流石に楽観的すぎると思うけど」
「呼ばれてると仮定して、対策しておくか?」
「そうだね、私達がまだいない時間に戻ってこられたら、有耶無耶になるから。今まで気が付かなかったって事は時間が戻って帰ってきてる可能性もあるよね…私達に会えるようにするくらいの干渉なら私にだって…」
「わかった。頼む」