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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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新たな仲間



話の終わった後王妃様がエルフ族の子を連れて戻ってきた。

とりあえず任せるから、話してみなさいって言われたのだけど…。


「…………」

このエルフの子、土下座したまま動かないのだけど。

「あの…」

「申し訳ありませんでした!」

「いえ…だから」

「里を。森を…みんなをありがとうございます!」

「それはいいですから」

「煮るなり焼くなり好きにしてください!」

「しないよ!?そんな事」

「…売られても仕方ないので」

「そんな酷いことするわけないよ!」

「でしたら、貧相ですが…身体で」

「何を言ってるの!?」


話にならねぇ…。 (ママ、口調…)

だって! これどーすんの? (壁ドン?)

それ前に大惨事になったよね!? (いっそ美味しくいただく…)

ティー?どこで覚えてきたの?怒るよ? (学校の男子…)

潰す…。 (ママストップ!)

まったくもぅ…。 (気をつけるの…)

そうして。 それでこの子どうしよう?名前すらまだ知らないし。 (みんなに相談?)

そうね、知恵を借りましょうか。 (うんっ)


あの子ソファーに座ってって言っても聞かないから、取り敢えずはあのまま放置するしかない。 


「みんな、どうしたらいいかな?」

「お姉ちゃんはどうしたいの?」

「取り敢えず普通に会話がしたい…」

「たしかに…」


「アスカはあの子どうするつもりなの?」

「それを相談してるのだけどね?」

「わかってるわ、アスカは?って聞いてるの」

「う〜ん、里に居られない理由もわかるし、かといってお城に…」

「お城にねえ様はいるけど、面倒なんて絶対見ないわよ?」

「なによ。私がなんだって?」

「ねえ様は面倒くさがりで、年下の面倒は見ないからエルフの子も無理よ…って…え?」

「私の事そんなふうに思ってたんだ?」

ついさっき到着したティアねえ様だね。魔力が近づいて来てたから私は知ってたけど。


「ね、ねえ様…なんでここにいるのよ?」

「アスカがいるから?」

「渡さないわよ?いくらねえ様でも!」

「ティアねえ様、いらっしゃい」

「アスカー! ねえ様が来たよー」

みんな当たり前のようにハグするよね。


「ちょっと! アスカ!?」

リアだってするじゃない…。

「ティアねえ様はお仕事のきりがついたの?」

「うん、ユウキ君も大活躍だったよー。肉が大量だよ! マジックバッグに入れて持ってきたから支援物資に振り分けないと…。 王妃様は?」

「お部屋に。 あの騎士様がいる扉だよ」

「ありがとー行ってくるねー」

ユウキ、頑張ってるんだね。


「アスカ…ティアねえ様ってなに?説明しなさい!」

「お姉ちゃん、私も聞きたい…」

またこれなの!?というか前に聞いてなかった?


放置されるエルフ…。

「……これが人族の言う放置プレイ?」 


(ママ、あいつなんかヤバいやつ!!)

えっ?ちょっと待ってね。今それどころじゃ…。






はぁ…毎度毎度何なの…。未亜もリアもなんですぐ怒るの?

…まぁいいや…。今はそれよりも考えないと。


エルフの子を引き取るのはいいとして、取り敢えず名前とか知りたい。

もう無理矢理ソファーに座らせた。 (ティーに任せて!)

大丈夫? (うん!) 

なにか耳打ちしてるね…エルフの子ビクッてしたけど…。


あ、顔上げた。

金髪ストレートをポニーテールに纏めた、可愛らしい顔立ちのエルフ。

グリーンの瞳がエルフっぽい。

「エルフ族のミレーヌ·フィシエル·ルアリス·ミーニアと申します」

名前長っ!

ミレーヌが母方の名前で、フィシエルが名前。ルアリスが父方の名前でミーニアが家名?

ややこしい…。

「フィシエルかシエルとお呼びください」

「わかったよ。シエル、でいいかな?」

「はい」

私達も自己紹介をして、ドラツーの案内はティーとリアがしてくれた。


それにしてもティーはシエルになんて言ったの? (ママを困らせたらダメーって)

そっか。ありがとね。 (うんっ!)

取り敢えずコミュニケーションは取れるようになったから後は慣れて貰うしかないね。


両親は違う里へ移るらしい。確かにあの森には居づらいよね…。

シエルはあの魔力回復薬が、ちょっと高級品くらいの認識しかなくて持ち出すことがいけない事なのも知らなかったらしい。

普段から見慣れてるとそうなるのかもね。

年齢は人で言うなら12歳くらいだとか…。ユウキより年下なのね。

エルフ年齢ならその十倍くらいらしいけど。



今、ドラツーはエルフの里から一番近い村へ物資を届けるために向かってる。

リアだけでも先に里へ送って行こうかって話たら、また泣き出した…。捨てないでって。

違うって納得させるまで苦労したよ…。そもそも捨てるとか…なんの話よね。


支援物資は当初と逆のルートでこっち側から順に回る事になった。




ティアねえ様が運んできてくれた肉類は王妃様と騎士様達が振り分けてる。

かなり増えたみたいで王妃様が喜んでた。

ユウキも頑張った結果だから私も嬉しいよ。


「アスカ様?」

取り敢えず何しようかなぁって考えてたら後ろから声をかけられる。

「シエル、あのね…様とかつけなくていいから」

アリアさん達は職業柄、譲ってくれなかったけど…シエルにまではやめてほしい。

私もこの子と話さなきゃいけないからちょうどいい。


「それではなんとお呼びすれば…」

「敬語もいらないから。アスカとか好きに呼べばいいよ」

「お姉様、その…いいの?」

何でそれをチョイスした!?


「もういいよそれで…何か用事だった?」

「うちはエルフの森と、そこに住むすべての生き物に仇なした大罪人だから…」

言いたいことはわかるけど…。

「本来なら極刑もありえたの…でもお姉様のお陰で森もみんなも元通りになって」

心の傷とかまでは癒やしてあげられていないけどね…。

「お陰で減刑され森の追放ですんだの」

エルフにとってはキツイ刑だと思うけど。

「うちの命はお姉様の物だから、好き使ってほしいの」

重いわ…。まずこの考え方をなんとかしないと…。


「シエル、ちょっと大事な話があるからちゃんと聞いて」

「はい」

「私は、シエルの命はいらない」

「じゃあ…うちはいらないってこと?」

「そういう意味じゃない! シエルの命はシエルの物! 確かに私が森やエルフを助けたから、シエルは助かったのかもしれない。 でもね?私は森もエルフもみんな、助けたかったの。その中には当然シエルも入ってる。わかる?」

「…はい」

「それを理解した上で答えてね。シエルはこれからどうしたい?貴女の本音を教えて」

「……少し考えてもいい?」

「いいよー。時間はあるからゆっくり考えて。悩むなら相談に乗るからね」

「一つだけ聞きいても…?」

「うん?」

「お姉様はうちがいたら迷惑?」

「そんな事はないよ、ただ…私この世界の住人じゃないのよ」

「…え?」

疑ってるなぁ…。まぁこんな話いきなり信じろって方が無理か。


「私と、未亜、ティーもそうなるかな。後、今はいないけど弟のユウキもね」

「はぁ…」

言葉だけじゃ信じられないか。


「なら証拠を見せてあげるよ」

ストレージから地球のお菓子や漫画、携帯ゲーム機、色々出してあげた。

色々触ってみてるね…。漫画、気に入ったのかな?文字読めないでしょうに…。


「なんなのこれ…お姉様! うちも行ってみたいかも」

「あぁ…それね。多分いきなりは難しいと思うよ」

「そうなの?」

転移するための条件を話してあげた。

魔力循環しなきゃいけないってやつね。


「確かに厳しい条件…相手の魔力を完全に受け入れなきゃって」

「でしょう?」

「それにエルフは特に魔力が高いから循環させるとなると、かなりの魔力が必要になるの」

「魔力量なら多分問題はないと思うけどね」

「…そうだった。お姉様は森を魔力のみで回復させた蒼白の癒やし手様なの」

ちょっと待って…今おかしな肩書き聞こえた。


「その蒼白のーってなに!?」

「森に祀られる事になった蒼白の癒やし手様なの」

「意味がわからない…なんでそんな事に」

理由をシエルが延々と語ってくれてるけど何も頭に入ってこない…。

蒼白く光ってたからってとこだけは理解した。

後は理解したくない…。





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