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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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追放者



はぁ……。

昨夜は酷い目にあった。

未亜とリアに揉みくちゃにされて、二人がそのまま寝ちゃって…。

ティーはあの後、起きもしなかったし。

やっと着替えれるよ。


取り敢えずフェンリルの事、王妃様に報告しないと。

それから支援の予定も組み直さないとね。

ここってドラゴンの里が近いから、リアだけでも送ってあげて、しばらくゆっくりさせてあげるとか?

支援活動終わったら迎えにこればいいし。

でもそれだと、ドラゴンのイメージ回復が…。

まぁ本人がどうしたいか聞けばいっか。それを優先してあげよう。



リビングへ出たらユリネさんがキッチンにいるね。

朝ごはん忘れてたよ…。


「ユリネさん、おはようございます」

「アスカ様、おはようございます。食材勝手に使わせていただいて…すみません」

「いえ。 そのために置いてあるので使って大丈夫です。それより、仕度ありがとうございます。手伝いますね」

「はいっ」

ユリネさんも家事スキルが高いみたいで、有り物で色々作ってくれた。

見慣れない料理だけど美味しそう!


「それでは私は王妃様の元へ行きますので」

「はい、ここは任せてください」

フェンリルのことは食後にでも報告すればいっか。

今朝は王妃様の部屋の前にはアリアさん。誰かと違って安心感がすごい…。


ダイニングテーブルに食器やらを並べて…。

「お姉ちゃん…おはようございます」

「おはよう未亜」

「あの、昨日は…」

「ストップ。思い出させないで…」

「はい…」

「なにか飲む?」

「お水を…」

「わかったよ。   はい、どうぞ」

「ありがとう」

コップを受け取ってちびちび飲んでるね。チラチラ見ないで。思い出すから…。


二人の涙と鼻水で服はぐっしょりになるわ、そのまま寝ちゃうから着替えられないわで、散々だった。

服や私の身体をガッチリ握ってるから引き剥がすこともできなくてね。

思い出すと頭痛い…。気がする…。 (ママ!?どこ?)

おはようティー。キッチンだよ。


…てててててっ

走って抱きついてきたティーを抱きとめる。

「ママ!」

「おはようティー。どうしたの?」

「起きたらいなかった」

「ごめんね、朝ごはんのお手伝いしてたんだよ」

「ママのご飯?」

「今日はユリネさんだよ」

「…そう」

露骨にがっかりしたね!?私は嬉しいけど、ユリネさんの前ではやめてあげてね? (むー)

卵焼きならあるよ?それは私が焼いたから。

「食べる!」

「はいはい、じゃあちゃんと椅子に座ろうね」

「はーい」

「ティー、リアは?」

「めずらしくベッドー」

めずらしくって…確かにそうだけど。

起こしてきますか。


朝ごはんだよって起こしたんだけど…

なんか甘えたがるから仕方なく抱き上げてダイニングテーブルへ連れてきた。

「リアちゃんズルい…」

「ふふん」



「アスカちゃんおはよう」

「王妃様、おはようございます」

「昨夜はお楽しみだったようね?」

「何がですか!?助けてって言ったのに…」

「心配かけたんだからあれくらい受け止めてあげなさいよ」

「納得できません! ちょっと無茶はしましたが危ないことはしてないのに…あんなに怒られて」

「…え?アスカちゃん、死にかけたんじゃないの?」

「魔力の枯渇程度で死ぬもんですか!」

「え?ちょっと詳しく!」

そもそも魔力の枯渇ってことが起きない事、

仮に不確定要素が重なって完全な枯渇になったとしても体力を消費して補充される事。


「何よそれ…」

「王妃様には話しましたよ?魔刻刀使いすぎて気絶したーって」

「言ってた! じゃあ魔力も体力もなくなったら流石に?」

「ええ、復活までにちょっと時間かかりますね」

「…魔王だわ。本物の魔王がいるわ」

最初からそう言ってるのに…。 (……!!)



みんな揃って朝ごはん。やっと日常が戻った気分だよ。

「そういえば昨日エルフの長老様と話しをしたのだけどね?」

「はい?」

「エルフって長寿なのは知ってるわよね?」

「はい、数百年とかザラですよね」

違う世界でも短命なエルフは聞いたことがない。しかも若い見た目の期間が大半を占める。


「その理由を教えてもらったのよ」

「そんな話しをよくしてくれましたね?」

「ええ、あの魔力回復薬の瓶からその話になってね? あ、あの瓶の出処もハッキリしたわ」

王妃様が聞いた話によると、あの瓶は間違いなくあの里で作られたもので、一人のエルフが持ち出した物らしい。


「森の外で人間に会って仲良くなって、街へ出入りするようになったらしくてね。可愛い服とかアクセサリーが欲しくて、売るために持ち出したみたいよ」

「それがなんで狼のお腹の中に…」

「街へ向かう途中で狼の群れに襲われて、慌てて持っていた荷物を捨てて逃げたらしいわ」

「なるほど…そうなると、そのエルフは?かなり立場が悪くなりませんか?」

「…ええ。それも後で相談するけど、まずは長寿の話に戻るわ」

長寿と見た目の若さが続く理由は魔力量。

魔力が多いほど長寿らしい。人間でも魔力の多い人は寿命も長く老けにくいとか。


「王妃様の見た目が若いのもそれだったんですね。賢者様ですし」

「ありがとう。じゃなくて! アスカちゃんもよ?」

「あ…てことは未亜もユウキも…」

「私も?お姉ちゃんやユウキ君と一緒…。嬉しいっ!」

「未亜、ドラゴンの私もよ!」

「うんっ!」

未亜は意味をわかってるのかな…。あれは多分お揃いって事に喜んでるだけな気がする。


「そうなると、後は…」

「そうね、シルフィもよ」 

というかそもそも元魔王の私に寿命あるのかな…。魔力が尽きることもないし、尽きても復活…。

うわぁ…。考えるのやめよう。そうしよう。


「だからね?アスカちゃん達こちらに移住しない?今すぐとは言わないから…」

「え?」

「だって…魔法も魔力もない世界だと、アスカちゃん達だけその姿のままって不自然じゃない?」

「…っ! それは…確かに色々不味そうですね」

「だから、こちらにいつでも移住してもいいって頭の片隅にでも覚えておいて?」

「ありがとうございます…」

そっか…そういう弊害が。今すぐにどうこうはならないけど、将来的に考えなきゃかな…。



「あの…薬を持ち出したエルフはどうなったのですか?」

「それね。森から追放。らしいわ…」

「厳しいですね…」

「持ち出した事だけでも罪が重いけど、それ以上に森への被害、里の人達への被害でね」

「でもそれは…もう元通りですよね?」

「ええ、でもだからって許されてしまったら?同じ事がまた起こるかもしれない…」

「…憶測です」

「もちろんそうね。森もエルフにも結果としては被害がなかった事にはなった。アスカちゃんのおかげでね」

結果、私はすごいお説教を受けたのだから割にあわない…。

 

「それで…そのエルフの子、アスカちゃんが好きにしていいそうよ?」

「はい!?」

「森とエルフを救ってくれたアスカちゃんに処遇を任せますって」

「なんでですか! 一人の命ですよ?」

「そうよ! アスカちゃん、貴女も命がけで森とエルフを救ったのよ! って事になってるから…」 

なんてこった…。


「事実はどうあれ、命がけでみんなを救ってくれたアスカちゃんになら任せられるってことなの。 エルフの長老様達も、その子を無碍に扱いたい訳ではないってことよ。体面上、許して里には置けないし、赦せない人もいると思わない?」

「それは…わかります」

「そこに残るのが本人にも良いことだと思える?」

「…いいえ」 

「だから、なのよ。一度会ってみて、どうしてもダメって言うなら城で預かるけど。 魔王に、ドラゴンに魔力体に人間って多種族がいるんだからエルフが増えてもいいじゃない」

魔王は種族ではないよ? (ママの種族は人間ではないよ?)

嘘でしょ!?初耳なんだけど! (一度自分を鑑定するといいの)

見たくないなぁ…。


「わかりました…会ってみます。本人や家族は納得してるのですか?」

「ええ。勿論よ。私も立ち会ってたから間違いないわ。それに、エルフの里との公式な協力関係も結べたのよ?」

魔道具通信も活躍したらしい。

アスカちゃんのおかげよーって王妃様は喜んでるけど…。

エルフ族の子かぁ。どうしたものか。



フェンリルの事?しばらく持っててって言われて終わったよ。



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