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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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森のエルフ



「それで、エルフがこんな所で何をしてるのよ?」

「それは…」

「リア、それより怪我人を診てあげないと」

「そうね、アスカお願い」

「わかったよ」 

「リア…? …!! もしかしてルナリア様?」

「知ってるのね? 今から二人の治療してくれるから大人しくしてなさい」

「はい…」


二人を魔力ドームで包んで、鑑定の術式を流し込む。

なんか魔道具なくても鑑定はこれでいい気がしてきた。必要なのって治療の時くらいだし。


動かない方の人は全身にかなりの火傷をしてるね。

熱を吸ったのか肺もダメージを受けてる。

もう一人は…腕とか脚に軽度の火傷と、アザくらいか。

「リア、このまま治療始めるからね」

「お願い」

魔力ドーム内でしっかり治療のイメージをして、外に出て魔力ドームを解除。


「何…これ…」

「そっちのエルフも治ってるはずだから見てあげるといいわ。 アスカ、ありがとう…」

「いいよー。もし私がいたら話しにくいって相手が言うなら席を外すね」

「多分大丈夫よ」

木にもたれかかってたエルフの様子を見てたもう一人が抱きついてるね。

良かったよ。完全に気を失ってたし、かなり危ない状態だったから…。


あぁ…でもそんなすぐに動くと、体力までは戻ってないんだから気をつけて…。

二人は、リアと私の前に来ると跪いてフードを外した。

おーほんとにエルフだー。

「ありがとうございます…この御恩はエルフの誇りにかけて決して忘れません」

「兄を助けていただき、なんとお礼を言ったら…ありがとうございます」

「そんな改まらなくていいわ、アスカなら片手間だし、そういうの嫌がるから。そうよね?」

「うん、元気になったのならそれでいいですから。ただ、体力までは戻らないので気をつけてくださいね」

「はい…」

「それで、何があったか話してくれるかしら?」



二人に飲み物と、食べ物…はタブーとか特にないらしいから、おにぎりを渡した。

どうやらしばらく何も食べてなさそうだったからね。

食べながら二人に話を聞く事に。

「実は…」


二週間ほど前にルナリアの故郷近くのエルフの森に、突然大きな狼型の魔獣が出現。

暴れまわり炎を吐いて森を燃やしたらしい。 (なんでエルフの森はすぐ燃やされてしまうん?)

どこで覚えてきたのそれ…。今は笑えないからダメよ。 (はーい)

ドラゴンへ助けを求めるために何組かのエルフが森を出ようとしたらしい。

でも森を出る前に炎に巻かれそうになり、妹を突き飛ばし、助けた兄が火傷。

その後、森をなんとか抜けたが方向がわからなくなり、平原へ出てしまった。

人間とは関わりがないから会わないように、森や林などを使って移動してたと。

持っていた薬でなんとか保たせていたけど、その薬も尽きて、食料や水もなくなり…。

諦めかけてたところへ私達が来たらしい。


「大変だったようね…でも、こっちは里とは反対方向よ?」

今言ってあげなくても…。二人ともガーンって効果音なりそうなくらい絶望してるじゃない。

「そんな…森を抜けられたのは私達だけなのに…」

「何組かが動いてたんでしょ?」

「あの炎では…他の組もやられてる可能性のが高いです」

そんな…。 (ママ…森大変。エルフの人たちみんな怪我してるの…)

見に行ったの!? (うん、偵察ー)


「リア、ちょっと話が…」

「うん?」

エルフの二人から離れて、ティーから聞いた話を伝える。

「そう…」

「ドラゴン達は煙を見て動いたりはしないの?」

「しないわ、人の争い事には関わらないって掟なのよ…。助けを求められた場合は、内容次第で稀に動く程度ね」

「……」 (ママ、ドラゴンへ救援を呼びに行けた人はいないみたい…)

そう…。どうしたら…。


「アスカ、お願い。助けてあげて…。お願いよ…」

「うん、わかったよ。王妃様に聞かなきゃだけどね」

「それはわかってるわ。あの二人は…」

「連れて行くよ。ドラツーに乗せてね」

「ありがとう…」

ティー、ある程度王妃様に伝えてもらえる?エルフ二人を連れて戻るから。 (あーい)


「リア、二人の説得お願いね、適任でしょ?」

「わかったわ!」




リアが二人のエルフに説明し、人間の、しかも王族と合流することに戸惑ってはいたけど、合意。

四人で馬車へ向かう。 (王妃様待ってるってー馬車ももうすぐ林につくよー)

ありがとティー。

「リア、林を抜けたら馬車が来てるから」

「わかったわ、二人共もう少しだけ頑張りなさい」

「はい」

「わかりました…」

体力の限界が近い二人を無理させたくはないけど…。あと少しだから。


ん?ユウキからファミリンで通信?しかも緊急…。

「リア、林を出てて。すぐ追いつくから」

「ええ」 

慌ててみんなから離れて繋ぐ。


”姉ちゃん! 今どこ!?”

「今アリアさんの村を出て少し行った林にいるよ」

”ギルドに来てみたら、フェンリルが出たらしいって情報が。そっち方向なんだよ!”

「あーうん。多分今からそこへ向かうよ」

”どういう事!?”

「今、その被害者を保護したの、リアの知り合いだから助けに行くよ」

”相変わらずトラブルに突っ込んでいくんだから姉ちゃんは!”

「仕方ないよ、ほっとけないし…」

”不意打ちされても姉ちゃんなら大丈夫だろうけど、王妃様もいるでしょ?だから連絡したんだ”

「ありがと、ユウキ。片がついたら連絡するよ」

”わかった、未亜姉ちゃん達をちゃんと守ってよ! 数もわからないんだから”

「当然よ」

”それだけだから、姉ちゃんも気をつけて!”

そう言ってユウキからの通信は切れた。


みんなを追いかけ林を抜ける。

馬車もきてるね。 ティー。ドラツーおろして。 (もう降りてるー)

ティーのその声とともに馬車の左側にドラツーが姿を表す。

ありがとティー。 (うんっ!)






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