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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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再会のアリア



荷物の最終チェックもじきに終わるから、そうしたら出発。


「ティー、例の試してみてくれる?」

「わかったー!」

多分、分体を送ったんだろう、ティー本体は私のそばにいるし。 


「いけるよ!」

「ありがとう。じゃあ隠蔽したまま、村へ向かって上空を旋回しつつ周りの警戒をお願い」

「らじゃー」

また可愛く敬礼してくれる。


「お姉ちゃん、ティーちゃんに何を頼んだの?」

「ドラツーの事だよ。私達これから馬車で移動しちゃうし」

「あぁ〜なるほど」

「ティーはここにいるって事は分体だけってことかしら?」

「うん、ティーは一緒に行くもんね」

「お手伝いするの!」



「アスカちゃん、荷物は問題ないわ。行ける?」

「はい、大丈夫です」

魔力体を2つ出して馬の形にする。

ルニアさんが御者をするそうなので、その指示に従うようにしておく。


準備もできたし皆で馬車に乗り込む。

ティーは私の膝の上にいる。お気に入りだね? (安心するのー)

そっか。 撫ぜてあげると嬉しそうにしてる。 (♪)

両隣には未亜とリア。


初めて馬車の中を見たセナさんとユリネさんが驚いていた。

王妃様は、指示を出せるよう御者側への窓がある前の席に座ってるから、私達は向かい合うようにテーブルを挟んだ向かい側。

セナさんとユリネさんは更に後ろで待機するって言うから急遽座席を追加した。

すごいお礼を言われたけどね。揺れないとはいえ、座っててほしい。


「ルニア、出発していいわよ?」

「いえ…王妃様。既に発車してます。 これ全く揺れないんですけど…」

「え?」

王妃様に、何したの?って顔で見られたから簡単に説明した。


「この世界にこれ以上に安全で快適な馬車は無いでしょうね。魔法や魔道具に力を入れてるグリシア王国でもムリよ…」

グリシア王国って魔法学校のあるって言う…。

あの話しなきゃだけど…今は無理だね。

そろそろ村が近い。探索に人の魔力反応が増えてきたし。


「王妃様、王家の紋章ってライト入れてますか?」

「あ、そうだわ。この管理用の魔石から出来るんだったわね?」

「はい、紋章をライトアップするイメージで魔力流せば大丈夫です」

頷いて壁にある魔石へ魔力を流してるからちゃんと点灯しているはず。



村も一応、木材で塀が作られてるみたいで、それが窓から見えてきた。

アリアさんに会えるかな…。

半ドラゴン姿のリアは緊張してるのか口数が少ない。

手を握ってあげたら少しは安心したみたいだけど…。

未亜は外の景色をずっと見てるね。

物珍しいのかな?



村について、入るときに門番に止められたけど、紋章を見て慌てて通してくれたみたい。


「アスカ様、あちらを…アップルの果樹園です」

ユリネさんが教えてくれたから、未亜の見てる窓から一緒に覗いてみた。

村の入り口から左側に真っ赤な実をつけた木が沢山! 

「すごい…これ全部アップルなんですか?」

「はい、アリア様からそう伺っております」

うわぁ…食べたいよ。 (ママよだれ垂らしたらだめ。ティーにかかる)

垂らしてないから! (ほんとー?)

膝の上でご機嫌だったティーから苦情が…。そこまで飢えてないからね!?


「なに?アスカちゃんはアップル好きなの?」

「はい、フルーツの中で1、2を争うくらいには」

「そうなのね、ここは品種はいくつかあるけどアップルの名産地なのよ。新しい品種を開発してるって聞いたけど…どうなったのかしら」

そんな事もしてるんだ。すごいな…。



馬車が止まった。体感では揺れがないからわかりにくいかも。

「外の確認をしてまいります〜王妃様はもう暫く待機してください〜」

「わかったわ、よろしくね」


セナさんが先に降りていった。

ちゃんと騎士してるんだ…。それはそっか、近衛騎士ってエリートだもんね。

普段の言動がアレなだけかな。 (アリアさんに報告するのー。アイツはダメ)

ティーがえらくご立腹です。 (プンスコ!!)



「失礼致します」

この声! (アリアさんだー!)


「アリアね、入っていいわよ」

「はっ…」


「え…?」

アリアさんが一時停止してしまった。

見渡して私を見つけて、驚いてるね。

「アスカ様!?」

「こんにちわ、アリアさん」

「はっ…来られていたのですね。お迎えできず…」

「いえ。 突然またお邪魔してしまいました」


「アリアー?私もいるのよ?」

王妃様拗ねなくても…。

「はっ…失礼致しました、王妃様。この様な辺鄙なところへ直接出向いて下さりありがとうございます」

「いいのよ、私も旅を楽しんでいるからね」

「確かに、これはまた素敵な馬車ですね」

「ええ、アスカちゃんが私のためにって用意してくれたのよ」

「なるほど…納得いたしました」


王妃様にアリアさんが現状報告などの話をしていたので私達は後ろで待機してた。

「アスカ、傍にいてね…お願いよ」

「うん、もし何かあっても守るから、安心していいよ」

「私を守ってくれた時のお姉ちゃん凄かったもん、大丈夫だよ、リアちゃん」

「ママはさいきょー」

半ドラゴンの姿のリアはやっぱり不安なようで、ずっと繋いだままの私の手を握る力がつよい。


「リア、大丈夫。きっと伝わるよ。ね?」

そう言って、少しかがんで最近抵抗がなくなってきたハグをしてあげた。

「ありがとう…私頑張るわ」




王妃様がいるからいくつか手順があるみたいで…。

わからない私達にはルニアさんがついてくれる。

簡単に紹介されるから近くにいなきゃいけないらしい。

アリアさんは王妃様の傍に。

騎士様たちは全員近衛騎士の鎧フル装備。兜で顔が見えないから、見た目ではルニアさんとセナさんがわからない。

アリアさんだけは見分けつくけどね。マントをしてて、兜が豪華なの。



アリアさんが降りて、次に王妃様。その後、魔力的にセナさんかな。


私達は、少し間をあけてから降りる。

ユリネさんは馬車で待機。

ルニアさんの指示に従って王妃様から少し後方へ。

演説というか説明をするみたい。



ここは村の中央にある広場らしい。

ドラゴンの襲来で大変だった事への慰問、支援物資を国から移送してきた事など。

村の人達が集まって聞いてて、賢者様だー!とか王妃様ーって聞こえる。

流石、魔王を討伐したパーティーの賢者様だね、人気がすごい。


私達のことは予定通り、支援の手伝いをしに来てるって簡単に説明してくれてた。

リアのことも敢えて触れない。

何人か気にしてるみたいだけど…どうなるかな。


あの翼…ドラゴン?可愛いー、女の子だー。とか、

ドラゴンが支援を手伝ってるのか?さすが王妃様、ドラゴンにもお知り合いが…。

こないだのドラゴンも王都で退治されたらしいしな! とか。 生きてるよ一応。


まぁそんな感じで怖がるような人はいないみたいだね。

食料は奪ったけど、破壊したり、危害を加えたりはしなかったみたいだから、まだ良かったのかも。

なら王都でもそうして欲しかったよ…。

ルニアさん、セナさんと輸送用の馬車から皆で荷物をおろした。

村の兵士の人かな?も手伝ってくれたよ。


「お嬢ちゃんたち若いのに…ありがとうよ。冬を越すのに不安があったからな」

「王妃様のおかげだな!」

「お嬢ちゃんはドラゴンなのか?きれいな翼だなぁ…」

「ええ…今は人の姿になってるけどね」

「こんな風に手伝ってくれる優しいドラゴンもいるんだな。何より可愛いし!」

計算どおり! 照れてはにかんでるリアは可愛さ倍増。 (どんっ!)


「お姉さんはまたとんでもない美人さんだな?」

これでドラゴンのイメージが少しでも回復すれば…。 (ママ 話しかけられてるよ)

「え?私?」

「そうだよ、他に誰がいるんだよ。はははっ」

ごめん聞いてなかったよ…。



無事、支援物資も村へ正式に譲渡され、任務はここまで。

一度馬車へ戻るよ!








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