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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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閑話 夜間飛行と乙女の夢



王妃セルフィSide


~~魔力体ドラゴンのお披露目後~~



今回は絶対にアスカちゃん達とアレに乗って空の旅をする。

なにせ今回は、アスカちゃんのくれた魔道具通信機がある。

今こそ切り札を切る時よね?


アスカちゃん関連の話をする時は人払いがされ、ごく少数のみで会議が行われる。

王族のみ。家族会議よねこれ。でもこの会議で大切なことが決まってきてる。

先代の陛下ご夫婦や、うちの両親、たまにミルフィが参加する場合もある。

 

まずアスカちゃんの作ったドラゴンの形の船?船でいいのかしら…。

とにかくすごいの。

以前、陛下のお姉様が嫁がれるときにグリシア王国で乗った魔導船がポンコツに思えるほど。

だって…消費魔力は凄いし、中は狭くて本当になんとか飛ぶのが精一杯って感じだったもの。


そのアスカちゃんの船を陛下に見せて説得してみる。

シルフィもジルスも大興奮だった。当然よね。しかもこれが飛ぶんだから…。

陛下もすごく驚いていたわ。だけど…


絶対にダメ! と。ここまでは想定内。

魔道具通信機の話をする。 

これも驚くわよね…。だってこれ…とてつもない代物だもの。

アスカちゃんはポンってくれたけど…確実に国家予算が動くレベル。

でもあの子はそんなこと望まない。だから違うことで何かお返しをしなきゃね。

恩ばかり膨らんていくわ…。 

それに信用を裏切る事もしないわよ。

あんなに優しい子を悲しませることなんてできるものですか!


これでも陛下は折れない。通信には大きな魔力が必要な事は伝えたから、魔力測定で上位二人を選ぶって事になった。

この戦い勝ったわ…! シルフィも話を聞いているから…あの子も同じ考えのようね…。

でも次期国王の貴女が行くことは絶対に無理よ…ごめんね。

アスカちゃんの話では長距離通信ができるのは私とシルフィくらいの魔力持ちのみ。

この城に私レベルの魔力持ちはいないのよ。 というかそもそも桁が違う。


陛下が理由は伏せた上で、陣頭指揮も出来る立場の者を城内から集め魔力測定を行った。

当然私より魔力の低い人しかいない。最終的には範囲を広げて城内から相当数の測定をすることに。

おかげでアスカちゃん達とのディナーの予定が流れてしまった。


測るまでもなかったのだけど、魔力量トップ二人はダントツで私とシルフィ。

アスカちゃんの魔力循環のおかげで私達は跳ね上がってるからね。

これが陛下に内緒にしてた切り札よ。 まぁ…言えなかっただけなんだけどね…。

アスカちゃんとの魔力循環であんな事になった…なんて。


トップ二人から選ぶと言った以上陛下も家族会議みたいなものとはいえ、正式なものだから取り下げることは出来なくて頭を抱えてる。

妻か、次期国王の娘だものね…。


陛下もアスカちゃんが側にいてくれるなら安心できる。とようやく折れた。


結果は言うまでもない。王国側から通信をするのはシルフィ。

納得いかないのはわかるよ。でも貴女の立場では不可能なのよ…ごめんね…。


さぁ。アスカちゃんに報告に行かないとね。

シルフィも不機嫌なままついてくる。



アスカちゃんに説明をしたら驚いていたけど私の事を絶対に守るって言ってくれた。

独身の頃だったら間違いなく惚れてるわ…。

この子の魅力は、魅了や誘惑のスキルなんかなくても危険よ…。


その上で、拗ねてしまっているシルフィの事まで気にかけてくれるのよ?

せめてなんとか義理の娘にできないかしら…この子に傍にいて欲しい。


アスカちゃんの提案っていうのがまた素敵で…。

シルフィのために一晩、あの船、それを飛ばしてくれるっていうの。

王国の上を周ってくれるって。


陛下に確認しなくてはね。





はぁ…。

まさかそんな条件を出してくるとは思わなかった。

陛下も乗りたかったのね…。

アスカちゃんにお願いしないと。


驚いていたけど了承してくれて。陛下の希望通り一周という約束で夜の空を飛ぶ。

少数のみに絞ったメンバーで乗り込んだ。


そうだ、この船好きな場所に窓が開くのよ?

陛下が子供みたいにはしゃいでて可愛らしいわ。

ユリネがアスカちゃんからってドリンクまで提供してくれたの。


ティーちゃんの船内放送が可愛くって。

私達の紹介をしてくれたの。

陛下付きの騎士まで手を降ってたのにはびっくりしたわ。

ティーちゃんのおかげで船内の雰囲気が明るくなり、そして窓の外に広がる夜の街、その景色などが非現実的な夢見心地に感じて…。


シルフィとジルスが気を使ったのか二人にしてくれる。


陛下とは立場があったから、まともにデートもできなかったものね。

ええ、もちろん今でも陛下のこと変わらずお慕いしております。

恥ずかしいです///


アスカちゃんのおかげで決して叶うはずのない夢のデート気分が味わえたの。

素敵な景色を見ながら…。

流石にここでそれはダメです…はい、後でお城に戻ってから…///



これだわ!

ジルス、では荷が重いわね…ジルスが辛くなるだけ…。

あの子にはもっと自由に、したい事をこれから見つけてほしい。

となるとやっぱり…



シルフィ。貴女アスカちゃんの事どう思ってるの?

うん?なるほど…それなら…。うん、それでね、そうよ! 頑張るのよ!

私の次の夢はこれね。もちろん無理強いなんてしない。

そうなったら素敵だなっていう夢。





~~翌日、明け方前~~


昨夜は本当に凄かったわ…色々と…。おかげて寝不足。

そんな事も言ってられないのだけどね。

そろそろ降りてくると思うから準備しないと。


ユリネなら昨日乗ってたし、また用事を頼もうとしたのだけど…。

いないってどういう事?まさかあの子…。

まったく…流石に本気で叱らないとダメかしらね。


物資の運び込みも、昨夜乗った者だけに絞っている。

極力情報の拡散を抑えるために。

ある意味アスカちゃんの存在が国家機密よね。

そんなこと言ったら泣いてしまうかしら…。


本当に見えないわね…そろそろだと思うのだけどぉお!?

はぁ~。びっくりしたわ…目の前にドラゴンがいきなり現れるんですもの。

物資輸送の時は考えないといけないわね。


アスカちゃん、迎えに出て来てくれたのね。

荷物を運び込む場所まで準備してくれてたなんて。

おかげで沢山積めるわ。これなら支援も滞りなく進むわね。


ユリネ…やっぱり残ってた。

しかもアスカちゃんに嘘までつかせて…。

アスカちゃんって嘘つけない子なのに。


シルフィ! どうだったの?少しは進展した?

そう…仕方ないわね。焦ってもうまく行かないわ…。ってシルフィ! それ何?どうしたの?


え?アスカちゃんからのプレゼント?透明の魔石って…貴女その価値わかってるの?

それだけの物贈られてるのなら進展してるわよ! 

しかも魔石は魅惑のあの形…。キレイすぎるのよそれ!

取り敢えず見せて! いいじゃない…。 羨ましくなんて…無くはないけど。

ケチ! 


アスカちゃん…シルフィが意地悪なの。

え?掃除が終わった?いつの間に…。



シルフィは早く降りなさい。陛下が待ってるから。

アスカちゃんとシルフィの事、陛下もノリノリで。結果を聞きたがってるからね。


シルフィをちゃんと見送ってくれるあたり、脈はあると思うのだけどなぁ。

まぁ…ライバルが多いようだけどね。しかもみんな女の子。


そのアスカちゃんは弟のユウキ君と別れた事で少し元気がないわね…。



荷物の積み終わったなら、いよいよ出発ね。


え?あっ…いい忘れてた。メイメを6匹積んだのよ。だめだったかな?

今なんて?密航…ユーリーネー!


この先の予定を話し合う。先ずはアリアと合流。


村までルナリアちゃんなら1日?

そんな早いの? ドラゴンって凄いわね。


アスカちゃんにそれ聞いちゃうの!?とんでもない答え返ってくるわよ?

え?深夜くらい? それ嘘よね? あぁ…ドラゴンのルナリアちゃんを傷つけないためか…。

でもアスカちゃん。貴女嘘が下手すぎよ?

まぁ喧嘩にはならないでしょう。仲が良いしね。あの子達。


私はユリネ。貴女に話があります。

部屋へ来なさい。


ちょっとお説教しないと…

あれー?この部屋こんなだったかしら?先日探検したときは真っ白で統一されてたような…。

そうよね?ユリネも見てたなら間違いないわ。

落ち着いたシックな色合いになってるわよ?

アスカちゃんの仕業よねぇ。本当に…私がこの方が落ち着けるとわかってるかの様だわ。

それよりユリネ、説明しなさい。アスカちゃんに嘘までつかせて…。


…気持ちはわかるけど。 それでアスカちゃんが機転を利かせてくれたと。

全くもぅ! シルフィがお世話になったのはありがとう。


流石に反省したようね…アスカちゃんの優しさで改心したってとこかしら?


ねぇ…なんだかすごくいい香りがしない?






完全な王妃様の独り言回です。

アスカの内心と王妃様の受け取り方の微妙なズレ、それを書きたかったのですが…。


次回はまた本編に戻ります。

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