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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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未遂事件



そろそろ起きなきゃ…。

後1時間くらいで着陸する。

「ふぁぁーねむっ…」

「おはようございます、アスカ様」

「おはようございます、王女さ…まぁぁ!?」

え?なんで…?どゆこと!?

「ママうるしゃいのー」

ごめんねティー。でもそれどころじゃ…。


「アスカ様?」

「ひゃい! 何でしょう…?」

というか王女様、目の下に凄いクマだよ…どうしたの!?


「王女様、ちゃんと休まれましたか?」

「…いえ。それどころではなくて…」

「疲労回復させますから、大人しくしてくださいね」

魔法をかけて疲労回復、血行促進。これでくまも消えるはず。


「なんだか身体がスッキリしました。ありがとうございます」

「でも、一度しっかり寝てくださいね?」

「…はい」

「それで…なぜここに?」

「昨日のこと覚えてらっしゃらないのですか!?」

えぇ…!? 私何した?お互い服は着てるし…乱れてもないよね。

昨日…えっと、部屋へ来てティーを抱いて寝て…。

あっ…そういえば一度、人の気配で起きたね。

扉の前に王女様とセナさんがいて…んー?そこから記憶にない。


「すみません…お部屋に王女様がみえたとこから記憶が…」

「ひどいです! あんな事したのに覚えていないなんて…」

ホント私何やった? シャレですまねぇやつだよこれ! (ママ言葉づかい…)

くっ…

「私ひどいことしたんですか?」

「知りませんっ!」

不貞腐れてプイってされた…。


「王女様…怒らないでください。私はどうしたらいいですか?」

「……もう一度ちゃんとしてください! アスカ様も記憶してください」

なにを!?


「…もう一度、お姫様抱っこしてください…」

「ふぇ?」

…なんだ、その程度かぁ。 じゃないよ私! 相手は王女様だよ! 次期国王陛下の!


「アスカ様? してくれないのなら…あーんなことやこーんなことしたって、言いふらしますよ?」

それ絶対にあかんやつ!

はぁ…諦めよう。


「失礼しますね…」

ベッドに座る王女様を抱き上げる。

「ふぁぁーやっぱり…しゅごい…」 

このまますぐ下ろすのも芸がないよなぁ。

ティー、窓を開けてもらえる? (…ぷいっ)

お願いよ…ティー。 (美味しいご飯…)

ちゃんと朝ごはん作ってあるから。ティーは一個多くあげるよ。 (あいっ!)

よかった…。


ティーが窓を開いてくれる。薄暗い中、星あかりでお城がぼんやりと浮かぶ。


「王女様、まだ星が出てますよ。星あかりでお城がキレイです」

「…はい。この眺めも見納めですね…」

「また、機会があれば飛ばしますから。 今回の空の旅は如何でしたか?」

「…約束ですよ?  私はとてもいい思い出ができました。最後にこんな…とっておきまで。みなさんに自慢したいくらいです」

それはやめて欲しいなぁ…。


「でも…勿体ないので、私の記憶の中に宝物として仕舞っておきます」

「そうですか…」

「もう一つお願いしてもいいですか…?」

「私にできることなら」

「名前で、シルフィと呼んでくださいませんか?」

「えっと…不敬になりませんか?怒られたりとか」

「誰からです?」

「それは、国王陛下、王妃様、騎士様?」

「あり得ませんよ。アスカ様ですよ?それに私が望んでのことですから」

「そういうことでしたら…シルフィ様」

「本当は呼び捨てにして頂きたいところですが…今回は諦めますね」

よかった…。


ティーが目で訴えてるし、シルフィ様をベッドへ下ろし私も座る。 (うん!)

「ところで…昨夜はなにか御用があったのですか?」

「……怒りませんか?」

「私も寝ぼけてたとはいえ、やらかしましたから…」

「…夜這いにきました」

「ええ!?」

思わずシルフィ様から少し距離を取る。


「あぁ…そんな…違うんです」

「えっと…なにか訳があったのですね?」 

シルフィ様の隣に座り直す。

「昨夜、お部屋へ戻った後、眠れなくて…セナに、お話に付き合ってもらったんです」

嫌な予感しかしない…。


「既成事実を作ってしまえばいいのです、夜這いしに行きましょうって…。私もそれに乗ってしまって…」

あんの騎士ぃ! アリアさんに言いつけてやる! (ティーも賛成!)


「でも、何もしなかったんですよね?」

「はい…アスカ様にお姫様抱っこされて満足してしまって…その後はドキドキして眠れませんでした」

「それは…申し訳ありませんでした」

「いえ、元は私がセナの誘惑に乗ってしまったのが原因なので…。でもそのおかげで、素敵な思い出が増えましたから」

そう言って笑うシルフィ様は本当に今回のひと時を楽しんでくれたんだと思える素敵な笑顔だった。



部屋へ戻って着替えるというシルフィ様を見送り、私もキッチンで朝ご飯の仕度をする。

まだ誰も起きてないのが救いだよ。

扉の外にいたセナさんはティーに威嚇されてたけどね。


「ママ、お皿ー」

「ありがとう、今日の朝ごはんはこれだよー」

ティーの持ってきてくれたお皿にホットドッグを乗せてあげる。

「わぁー美味しそう! でも1個…?」

「まさか。一度に乗らないからね。ティーだけは後2つあるよ。約束でしょ?」

「やったぁー!!」

ケチャップとかも出してあげて、マスタードとハラペーニョだけは辛いからって注意しておく。


ダイニングテーブルの、ティー専用に作った高めの椅子に座らせてあげて先に食べててもらう。

「飲み物はオレンジジュースでいい?」

「んまぁー! うん! オレンジジュース!」

コップも渡してあげる。

「ティー、その1つ食べ終わったら、また船内放送お願いしてもいいかな?」

「んぐっ…おぉーあれ好きー」

「マイク置いておくからアドリブで任せるね?」

「任されたー!」


ちょうど美亜も起きて来た。

「お姉ちゃん、おはよう。もしかして朝ご飯の仕度終わっちゃった?」

「うん。昨日のうちに済ませてたからね。未亜も食べるよね?」

「手伝えなくてごめんね」

「いいよー。はいコレ未亜の分だよ。辛いのだめだよね? これハラペーニョだから気をつけてね」

「ありがとう、お姉ちゃん!」

未亜がダイニングテーブルで食べ始めたら、ティーの船内放送が始まる。


「おはようございますー。 本船は着陸前にキッチンにてママ特製朝ごはんが振る舞われます。遅れると無くなるかもしれないので早くーだよー。ティーも食べるので放送はここまでー」

あははっ! 早く食べたくてだいぶ手を抜いたね。

可愛いなぁもぅ。


「ママー次のー!」

「ありがとうね、はい。この2つで最後だよー」

「あい!」

お皿を掲げて待ってたからのせてあげた。


「未亜、飲み物は?」

「カフェオレあったら欲しいかな」

「カフェオレねー。 はいどうぞ」

…ダダダダダダ

「え?お姉ちゃん何この音…」

「あぁ、ティーの放送聞いてみんな慌ててきたみたいだよ。ほら…」

リアはもちろん、ユウキにユリネさん。

シルフィ様も騎士様二人も走ってきたし…。


「ちゃんとみなさんの分ありますから」

急いでお皿に2つずつホットドッグをのせて配る。

ハラペーニョの事とかもちゃんと伝えたよ?

飲み物は未亜も手伝ってくれて配った。

ユリネさんが手伝おうとしたけど、もう時間も少ないからって説得して食べてもらった。


そろそろお城が近くなってきたね。









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