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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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夜間飛行



「ごめんね、アスカちゃん…陛下が出した条件が ”ワシも一周だけでいいから乗りたい” だったの。そうなると当然ジルスもね?」 

わかったけどわかんない…わかりたくないよ!? でもそうも言ってられない。


「びっくりしましたけど大丈夫です。護衛の方は?」

「数人つくけど、気にしなくていいわ。話すこともしないから」

「わかりました。 では乗り込んでください」


陛下へ魔力体の説明をするって聞いてたから、左横腹の扉は開けたままにしてあった。

みんなそこから乗り込む。

私は全員乗ったのを確認して、扉を閉める。



今回はちゃんと意識してみんなの位置を確認して、乗り込んだのも確認。


「それでは離陸しますね。揺れもないので窓を開けるなり自由にしていただいて大丈夫です」

王妃様が、陛下達に教えて窓を開けてる。


ユウキ…なぜ床に開けた。未亜が怖がってるじゃない。

リアは喜んでるけど。まぁ飛ぶもんね。そりゃあ、高さとか平気だよ。


十数秒でお城より少し高いくらいまでの高度へ。

急上昇して負荷とか大丈夫かって?そんなの、この魔力体ドラゴンを覆ってる魔法防壁で完全無効です。

魔力体ドラゴンとか長いな…。 ティー、素敵な名前つけてくれる? (まかせて!)


「このまま王国をぐるっと周りますので、寛いでください」

飲み物くらい出すべきかな?

ストレージから何種類かジュースや、紅茶などを出してコップも用意する。


「アスカ様、飲み物配られるんですよね?お手伝いします」

「ありがとうございます、助かりますユリネさん」

さすがプロのメイドさん。こういう時、素早く気がついてくれる。

ゆっくり乗ってて欲しかったけど…陛下にも渡すならプロにお願いしたい。


コップへ注いだものを、お盆へ載せてみんなに配るユリネさんは流石だよ。

襲ってこなければ…。 (ティーが守るの!)

ありがとね。

「アスカ、個室って、入ってもいいかしら?」

「大丈夫だよ、一番前は空けておいてね?」

「わかったわ、中を見たいだけだから、大丈夫よ」

「リアちゃん、私も一緒に行くー」

「ええ、なら作戦会議よ!」

「わかったよ!」

なんのよ…。



進路を一度イメージしてしまえばオートパイロットだからすることが無い。

王国をぐるっと一周回るようにしてある。


今のうちに内部の間取りについて説明でもしておこうかな。 (誰にー?)

ティー、そこは突っ込んだらだめよ。 (にひひ)


ドラゴンの頭を先頭に右側に個室が並ぶ、一応10部屋用意してある。もちろん追加も可能。

各扉の間は窓を開けても外が見える。

扉を開けないと拡張された空間へ繋がらないから当然だよね。

だから室内を覗こうとか無理だからね!

頭の部分へは扉を抜けて行くと展望室にしてある。

左側は一番前からお風呂、トイレ、倉庫も一応作った。支援物資積むでしょうし。

それから玄関ホールへの扉。搭乗口だね。

左後ろ側の壁沿いにキッチン。

水回りとかを左側に集中させた感じだね。

真ん中は丸くて前半分がリビングと、後ろ半分がダイニングのつもり。

キッチンのそばにカウンターテーブルや椅子を置いてるからね。

リビングはソファーやローテーブルをおいて、ラグも敷いてる。


こんなところかな? (ママ名前決めた! ドラゴンツーリストTypeγ! 略してドラツー!)

ありがと。素敵だよ! じゃあティー、1つ大切なお仕事お願いしてもいいかな? (うん!)

今からマイクになる魔道具渡すからそれで船内放送お願いしてもいい? (おぉー)


…てててて。

「ママ来たよ!」

「はい、じゃあこれ持って…魔力流せば音楽も流れて声も入るからね。これ台本」

「あどりぶは?」

「任せるよ!」

「りょーかい、せんちょー!」

ピシッと敬礼して船内放送が始まる。

かわええ…。


〜♪

「この度はドラゴンツーリストによる夜間飛行にようこそー。素敵な夜の旅をお楽しみくださいなのー。 楽しんで頂けるとママが喜びますー! そしてー!今日は素敵なゲストもご乗船ですー。アクシリアス王国、国王ジルダリス陛下ー」

おぉ…アドリブすごいな。陛下も手を振ってるし。


「続きましてー麗しきセルフィ王妃様ー」

みんなノリいいなー。

「そしてー今夜の主役ーシルフィ王女様ー!」

まぁ王女様のために飛ばしたからね。 楽しそうにしてるし良かった。

「そしてーママのカタキージルス王子様ー」

いや、私生きてるから! 嬉しそうに手を降ってるけど王子それでいいの!?


「王族警護のプロフェッショナルー近衛騎士様ー!」

おぉ…騎士様も手を振ってる。ぎこちないけど…。


「昼間でもお構いなしー、ママを襲うメイドーユリネー!」

やめてあげて!? 手を振ってるし本人気にしてないのか…。


「そしてそしてーこのドラゴンのモデルにもなったー碧き秘宝ルナリアー!」

碧き秘宝かぁ…確かにキレイだもんねリア。 

照れてるなあれ。

「そしてー禁断の恋は実るのかー! ママの妹ー未亜ー!」

未亜が顔真っ赤にしてるけど!?禁断の恋ってなに?

「ママに勝てる日は来るのかー?弟ユウキー!」

すぐ追い抜かれそうだけどねぇ。

複雑な顔してるわ…。


「この船を作ったーティーのママ! アスカ船長!」

え…拍手されてるし…ど、どうも。 ついお辞儀しちゃったよ。


「船内放送はママの可愛いー子供のティーによるアドリブでお送りしましたー!この後も素敵な夜間飛行をお楽しみくださいませーなのー」

おぉう…盛大な拍手だね。 ティーすごいよ。 (頑張ったー!)

「ティー、お疲れ様。これは私からのお礼だよ」

ロリポップキャンディを渡してあげる。

「わぁ〜ありがとうママー!」




ティーのおかげで盛り上がったみたい。 


騎士様もはしゃいでるけど流石に王妃様も怒らないよね。

陛下の護衛騎士の人は手を振って以降微動だにしなくてなんだか怖い…。


「アスカ様、今夜は私のためにありがとうございます」

「喜んでもらえましたか?」

「はいっ! それで、私は今日ここへ泊めていただけるのですか?」

「そのつもりでしたが、許可貰えませんでしたか?」

「いえ…それは大丈夫です」

あ…わかったよ。


「それでは王女様のお部屋へご案内しますね?」

「…! はいっ!」

一番前側、ドラゴンで言うなら首の右付け根あたり。

ここは元々広めにしてある、理由は左付け根がお風呂になってるから。対になってるって事だね。

おおよそ◣こんな三角のままで拡張してある。他の部屋は長方形だね。

お風呂は広くしたい。いくら空間拡張すると言っても元が広いほうが楽だもの。


部屋の中は左側奥に大きめのベッド。右手前にソファー、ローテーブルとシンプル。

白を基調にしてるから明るい。

「コチラです、一番前の部屋になりますのでここに窓を開くと…」

右側の壁をなぞり大きな窓を開ける。

「進む先が一望できますよ」

「わぁ〜…素敵です。街があんなに小さく。街の明かりの魔道具がキラキラしてます」

「王女様は高いところは苦手ですか?」

「いいえ! ここも下が見えますか!?」

「はい、少し開けますね」

床を指で丸くなぞり窓を開ける。

「下からコチラは見えることはないのでご安心くださいね」

ドレスだしスカートだもんね。気にするかもしれないから。


座って下を覗いてた王女様は急に立ち上がって私に向き直る。

「アスカ様、私のわがままを叶えて下さりありがとうございます…」

「わがままですか?私は王女様の小さなお願い事を叶えたかっただけです。なので、いっぱい楽しんでください。ティーも言ってましたが今日の主役なんですから」

「ありがとうございます!」

おぉ…っと…。最近よく抱きつかれるよ。

相手は王女様だし、どうしようか悩むけど…。

軽く抱きしめ返しておいた。それで離してくれたから正解だったみたい。



ん、そろそろ高度が下がってきたね。ティー? (任されたのー!)



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