表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
145/758

飛行拠点



「説明したいのだけど大丈夫かな?」

みんなが私の魔力体ドラゴンを見上げて固まってる。

聞いてくれなさそう? それなら…。

隠蔽術式発動! パチンと指を鳴らす。 これ一度やってみたかったの。

まぁ鳴らさなくても消せるけど、雰囲気だよ!

この隠蔽は私でも見えないくらい強力、念には念を入れた結果。

指示が出せるから私には見えなくてもあまり関係はないし。


「消えた!」

「あれ?」

みんな驚いてるけど、今のうちに話を始めたいな。


「姉ちゃん! 説明を早く! なんなんだよあれ!」

「いや、さっきから話そうとしてたのに聞いてくれないから消したのに…ひどくない?」


ようやく落ち着いて聞いてくれる態勢になったみんなへ説明をする。

私の魔力から作り出したもので危険はない事。

今は隠蔽効果で消してる事。

「アスカちゃん、もう一度見せてくれる?」

「わかりました」

もう一度指を鳴らすとドラゴンの姿が現れる。


「私だわ…」

「お姉ちゃん、このルナリアちゃんに乗っていくの?高くて怖くないかな…」

「ちゃんと考えてるよーついて来て」

魔力体ドラゴンを伏せの状態にさせる。左横腹部分に触れると、水に触れた波紋のように穴があく。

「私のお腹が!」

「いや、ルナリアは大丈夫でしょ。これ姉ちゃんだし」

「そうだけど! 気分の問題よ?」

リアに似せたのは失敗したかしら…でも理由があるし。


「リア!! 戻ってたのね。部屋に行ったのに居ないから探したよ。でもなんでその姿?」

「ねえ様!」

「…え?リア? ちょ…え?じゃあこのドラゴン誰? この魔力反応はアスカ!?貴女ドラゴンなの?」

ややこしいタイミングでルナティア来ちゃったね。ごめんよー。


「ママだよーでもママはドラゴンじゃないのー」

「でも、だって!」

「ルナティア、説明するから。落ち着いて」

「あぁ、アスカ…。  え?なんで?ドラゴンなんじゃ……きゅ〜」

うわっ…。

ルナティアが目を回してしまったから慌てて駆け寄って抱き止める。


「ルナティアちゃんの気持ち、よーくわかるわ…」

王妃様まで…。


取り敢えずルナティアを抱きあげてと。

「中へ入りましょう。ルナティアを休ませたいし」

「アスカ姉ちゃんのせいだけどね」

うるさいなぁ…ユウキは細かいのよ。 (そうだそうだー?)


中は、入ったら小さなホール。まぁ玄関だね。

「ここで靴は浄化されるので綺麗になりますよ」

リビングとか汚れない方がいいもの。



その先の扉を抜ければ直径十メートル程の中にリビングと端っこにキッチン。その側がダイニング。

いわゆるLDK。その向こうに個室の扉が十個ほど。多めにしてあるよ。

勿論、あれもあるよ?リアの大好きなやつ。


リビングのソファーにルナティアを寝かせよう。

「んんっ…あれ?私…ってアスカ!?なんで私抱かれて…///」

「ねえ様ずるい…」

目を覚ましたけど、まだ不安定っぽいからソファーへ下ろしてあげる。 

「…ありがと」

「いいよー驚かせてごめんね」

私もそのまま隣に。


みんなにもソファーに座ってもらう。

大きなのを四つ程設置してあるから広さは充分。


「ふわふわなのー。寝れそう…」

「ティー、今は寝ちゃだめよ?」

「あーい」


「えっと…説明しますね。ここは私の魔力体の内部。居住空間になってて、飛べる拠点みたいな物です。個室もあるので、ゆっくり休めます。リアの好きなお風呂もあるからねー」

「やったー! じゃないわよ! なんで私の姿なのよ?」

「え? キレイだからかな」

「そ、そう。ならいいわ…」

「リアはちょろゴンー」

「ティー! 言ったわね?」

「わーリアが怒ったー。ママへるぷー」

リアと隣同士で座ってたティーが向かいの私のところへ走ってきて、膝の上に登ってくる。


「アスカに助けを求めるのはズルいわよ…」

「ティー、言い過ぎよ?ちゃんとごめんなさいしようね?」

「はーい。リア、ごめんなさい」

「…もう。いいわよ」


「さっきも見せたように隠蔽効果があるので飛んでいても見えることはないです」

「アスカちゃん、いいかしら?」

「はい、王妃様」

「中を見て回りたいのだけど! 凄いわよこれ。魔法船なんて比じゃないわ」

そういえば王妃様って好奇心旺盛な方だった。

「ではみんな一度自由に見て回ってください。特に危ない所もないので」

膝の上のティー以外全員駆け出してったよ。

ユウキも文句言ってた割に楽しそうにしてるじゃない…。


「壁ならどこでも窓にできるので…窓をイメージしつつ、窓にしたい範囲を指で囲ってください」

勿論、お風呂場への壁は無理よ?お風呂の中から船外は見れるけどね。

さすがに外への扉は私しか開けられない。飛ぶのに危ないから。


「お姉ちゃん、床もできるよ?」

「うん。ただ飛んでるときにそれすると、高さがわかるから怖いと思うよ?」

「……うん。私は無理だよ。高いの怖い」

未亜はイメージしながらの魔力行使になれてきてるね。

訓練の効果が出てるのかな。


「ティーは行かなくて良かったの?」

「ママの膝独り占めなのー」

「そっか」

撫ぜてあげると嬉しそうに目を細めてくれる。


「アスカ」

「うん?ルナティア、どうかしたの?」

話があるみたいで私の隣に座る。


「妹の事、ありがとう。あの子完全な人化出来てるよね?貴女のおかげでしょ?」

「ううん、私だけじゃないよ。リアが頑張ったのもあるし、うちの家族が協力してくれたから」

「そう…私じゃ無理だったから。 まぁあの子、私の言う事は聞かないのだけど」

そんなこと言ってたね。リアっていつも素直なんだけどなぁ。


「ルナティアも大活躍したんでしょ?王妃様から聞いたよ」

「だって、とう様の不始末だもの。アスカに助けてもらって、はいおしまいって訳にいかないよ」

この子達、娘ドラゴンは本当に責任感があるというか…お母様に似てしっかりしてる。


「それで、これってなんのために作ったの?」

そっか、ルナティアはその辺の話を聞いてなかったね。


「今回こっちへ来た目的はリアを弟さんに会わせるためだよ」

「その為だけにこんな物まで作ったの!?」

「最初はリアに乗ってーって話だったんだけどね」

「普通はそうだよ!?」

「でもそれだと、一緒に旅を楽しめないでしょ?」

「それでコレを? あの子どれだけ愛されてるの!?ちょっと羨ましいよ…」

「大切な家族だからね。 ただ、ルナティアも協力してるっていう支援。あれも兼ねると思う」

「確かに、遠距離だと支援が遅れるから助かるけど…」 

遠いと支援するのも大変だものね。


「ねぇ、私もティアって呼んで」

「いいの?」

「最初はリアが騙されてないかとか…色々と心配したけどね。とう様の事やコレを見たら、妹を大切にしてくれてるのわかったからね。貴女も家族同然よ」

「わかったよ。じゃあ、これからよろしくね?ティアねえ様」

「……! もう一回言って」

「ティアねえ様?」

「これから私を呼ぶときはそれね! 決定」

「わかったよー。 ティアねえ様は弟さんに会いに一緒にいかない?」

「行きたいのだけどね…また弟の顔見たいし。でも、とう様には会いたくない」

「あぁ…そういえば言ってなかったね。今も氷漬けのまま、力も封印されてるって」

「え? 待って。今日来た貴女がなんでそんな事知ってるの?」

「この子のおかけだよ。ね?ティー」

「うんー。偵察ー今もカチカチ」

まだ向こうに分体いたの!? (うん、ねんのためー?)

そう、ありがとね。リアの事心配してくれたんだ? (ママの心配なの!)

ふふっ。


「この子って確か貴女の魔法から生まれたっていう…」

「うん、こないだの襲撃に間に合ったのもティーのおかげだよ」

「何ていうか…規格外の子は規格外なんだね…」

失礼ね、ティーはいい子だよ! (有能なだけなのー)

だよねー。 (うんっ)


「そっかぁ…なら行きたいけど。ここで任されてる仕事もあるからね。すぐには無理かな」

「残念。ティアねえ様とも旅ができるかと思ったのに」

「…ここでの仕事が落ち着いたら追いかけるから! そしたら合流するよ」

「うん。ありがと。 あ、ならこれ渡しておくね?」

「魔石?」

「コレに隠蔽効果かかってると私達の魔力を追うこともできないから。それを身に着けててくれたら私の魔力を追えるようになるよ。魔石に少し魔力流してくれる?」

「うん、私の波長の登録?」

「そうそう。刻み込むから一度渡してー」

これ、私の魔力波長が刻んであるから、リンクさせておけば居場所がわかるようになる。

魔道具通信機を作ったときの予備の魔石。もちろん透明。

リアのとお揃いになる様にシルバーでドラゴンの意匠の縁取りもつけてペンダントに…。

チョーカーはまた誤解招くし。 後は魔力電池と魔法防壁もつけとこ。


「はい、これでティアねえ様専用ペンダント」

「可愛い…形はリアのとお揃いにしてくれたんだね」

「うん。せっかくだからね」

「でも私のはチョーカーじゃないの?」

「それが原因でティアねえ様とひと悶着あったじゃない…だから避けたのに」

「ちぇー」

チョーカーが良かったの!?あんなに怒ってたのに…。


「ありがとう、大切にするね」

ペンダントでも嬉しそうにしてくれてるし、大丈夫だよね。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ