魔道具通信機
お弁当は持ったし、向こうで何か作る事になったとしても、材料は買い足したしてあるから大丈夫。
足りなかったら、向こうの街で買えばいいし…。
あ、大事なもの忘れてた! 魔道具通信機!
「みんな、それぞれ選んだカラーのを受け取ってね。そしたら使い方の説明するから」
「可愛いわね、アスカって魔道具のセンスはいいのに…」
服のセンスはダメって言いたいのかな?
「ティーの紫ー! かわいい〜」
「ティー付けてあげるからおいで」
「はーい」
腕が細いけど合わせてあるから大丈夫。
「はい、できたよ」
「おぉーティー専用2号機!」
また変な言葉覚えてきたね…。
「アスカ姉ちゃん、これって各魔石がそれぞれのカラーなのは分かるけど真ん中の赤色は?」
「それも含めて説明するね、じゃあユウキ真ん中の赤色の魔石に触れながら魔力を流してみて」
「わかった。おぉ…魔石と星型のラインが光った!」
「うん、それは全員に一斉通話を繋げるものだよ。 悪いけどユウキ、自分の部屋へ行って、そこからもう一度通話するイメージをして繋いで話してみて? 一度魔力を流したら指を離しても平気だから」
「わかった、行ってくる!」
なんかユウキ楽しそうだね?走って2階へ行ったし。
「お姉ちゃん、星のラインと全部の石が光ってる!」
「ホントだわ…」
「みんな赤い魔石に通話するって思いながら魔力を流してみて」
”聞こえるー?”
「おぉーユウキの声がするのー」
”その声はティーだね、他のみんなは?”
「ありがとう、ユウキ。聞こえてるよ」
”アスカ姉ちゃんだね”
「ユウキー」
”ルナリア!”
「ユウキ君?きこえる?」
”未亜姉ちゃん!”
「こんな感じで真ん中の赤色は全員に繋がるから、緊急時やみんなに伝えたいことがある時は、そこへ魔力を流してね。 ちなみに赤の魔石に触れながら音量の上げ下げをイメージすれば変えられるよ」
”なんて便利な…て事は隠密してたいときは下げておけるんだね?”
「そうだね、まぁ戦ってたりで音が困るときは、赤魔石を長押しして停止ってイメージして魔力流せば一時的に停止させられるから」
「すいっちおん! するときはー?」
「同じ様に長押しして起動するイメージして魔力流せばいいよ」
「個人と話したい時は相手の魔石に魔力流せばいいのかしら?」
「リア、大正解!」
”姉ちゃん、聞こえる?”
「早速使いこなしてるね、その方法で4つまで同時に繋げれるよ。ユウキ戻ってきて」
「あれ?5つじゃないの?」
「未亜、それは真ん中の石でできるからよ」
「あっそうか…ルナリアちゃん賢い!」
「ふふん」
個人に繋ぐときは星型に引かれたラインの自分の魔石と相手の魔石、センターの赤い魔石。
それぞれをつなぐラインにだけ魔力が流れて魔石同士にリンクが繋がる。
だから星型に光るのは全員への一斉通話の時だけって事だね。
「ただいま」
「ユウキありがとね。 あともう一つ大切な機能は、呼び出し…いわゆるコールができます」
「ママのスマホみたい?」
「そうだね、今は直接通話にしたけど、コールってイメージして魔力流せば…」
”ピー ピー”
「ママの魔石が光って、音がなってる!」
「ティー、私の魔石に触れて繋がれーって魔力流してみて?」
「ママにつながれー!」
「”これでつながるよ、逆に通話に出られないときは光ってる魔石を押すだけで止められるよ”」
「すごいすごい!」
「またとんでもない物作ったわね…これ魔道具の域を超えてないかしら」
「まぁ…アスカ姉ちゃんだし」
「うん、お姉ちゃんなら作れちゃうよ」
「ママの魔道具は世界一!」
「コレを私が流通させることは無いし、私達家族だけの特別製って事で…それと、今から向こうへ行くし念の為コール音は消しておいてね。私達だけは光でわかるから」
「王妃様が絶対欲しがる気がするわ…後は、うちのねえ様とか」
「その時は簡易版を提供するつもりだよ」
「アスカ姉ちゃん、簡易版でもヤバイ気がするけど…単純な通話機能とかでしょ?」
「そうだね、まぁ…魔力依存で届く距離が変わるから。普通の人だと使い物にならないよ」
「でも…王妃様と王女様は魔力量かなりあるんじゃないかな?お姉ちゃんの魔力循環で…」
それも考慮はしてるんだけどね。魔石を容量小さいのにすれば距離は抑えられるし。
どちらにせよ王妃様には全部伝えるし、流通させるかどうかは王妃様の判断に任せるけどね。
「ママなら遠くへ繋げれるけど…もし相手からは届かないーって距離の時はどーなるの?」
「えっとね、私から繋いだ場合は会話ができるけど、相手から私へ繋ぐことはできないね」
「おー? でも緊急の時はー?」
「うん、通話はできないけど、真ん中の赤の魔石を何度も連続で押し込めば、全員の赤色の魔石と押した人の魔石が点滅するよ。 そうなれば私が居場所もわかるから駆けつけるよ」
「ママによる完璧なサポート…」
「アスカ、私も質問いいかしら」
「いいよー何でも聞いて」
「落としたり、盗まれたりしたら?」
「えっとね、そもそも隠蔽術式を組み込んであるから私達以外には付けてるのさえ見えないよ。それに、私達しか使う事ができない。落としたりとかなら私が確実に見つけられるね」
「ほんとフルサポートだわ…」
「他に質問は大丈夫かな?」
「アスカ姉ちゃんとティーって波長同じじゃなかった?大丈夫なの?」
「うん、だから赤色の魔石でワンクッション挟んでるし、魔石に直接触れて魔力流さないと繋がらない様にしたんだよ」
「なるほど…?イマイチわからないけどわかったよ。それ以外はないかな。ただ使いこなせるかな…」
「私も…スマホも使いこなせてないもん」
「わからなかったら私に聞いてくれたらいいよ」
「それが良さそうね。なにせ開発者なんだから、直接聞けるならマニュアル要らないわね」
「ママ、この魔道具通信機はー、ファミリーリンクTypeα。略してファミリンって名前がいいと思います!」
「ティーが付けてくれたのならその名前にしようか、ファミリンね」
「なんか…可愛いわね。ティーお手柄よ」
「ドヤァ!」
ふふっ。初めて魔道具に名前ついたかも。 (おーママの初めて貰ったの)
そだねー。ありがとティー。 (♪)
「僕もアスカ姉ちゃんがいいなら」
「うん、ティーちゃんがつけてくれた名前だしね」
「じゃあ、そろそろ出発しようか。 どうしよう…お城へ行くの抵抗あるなぁ…」
「お姉ちゃんがこないだの騒ぎでアイドルになってるから?」
「くっ…」
向こうへ飛ぶ日時は前回のドラゴン騒動から3日後、お昼過ぎに。