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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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デートとハプニングはセットでお得?



「お店の人、真剣になにか作ってたね」

「だねぇ」

「ちょっと魔道具作ってる時のお姉ちゃんみたいだった」 

「そうなの?」

私あんな感じなんだ…。


「お姉ちゃんの場合はもっと早くて意味がわからないレベルだけどね?」

「言い方ひどくない?」

「だって…何をしてるのか見えないんだもん」

傍から見るとそうなのかぁ…。


「きゃぁぁぁぁぁ!!」 

なに!?

「引ったくりよ! 私の鞄! 誰かー」

「クソッどけー!」

私達の正面からこっちへ向かって走ってくる男。


「おらっ! 怪我したくなかったらどけー!」

ナイフまで振り回してるのか…。

何人か慌てて避けてる、前を歩いてた人達、怪我してないかな…?


止めたいけど目立たないようにするには…それより!

まずは未亜を守らないと…って右側にいた未亜を引っ張ろうとしたら驚きすぎて固まってる!?

マズイ、このままだと未亜がアイツの進路を塞いでしまう。

未亜を守るためだし、多少目立っても諦める!

「おらぁーー! どきやがれ!」


未亜を庇う為に、未亜と犯人の間に回転するように自分の身体を割り込ませて美亜を抱きかかえる。

犯人に背を向ける形になるけど構わない。その回転の勢いに乗せて左脚で後ろ回し蹴り。

ナイフを蹴り飛ばし、勢いを殺さず犯人に向き直り、即座に軸足を変えて右脚で顎を蹴り上げる。

取り敢えず、未亜の安全は確保できたから離してあげる。


「マジかよ…あの女の子スゲぇ!」

「私見えなかった…何が起こったの?」

「すっごい美脚の蹴りを見た…」


ふぅ…これで大丈夫。なんか聞こえるけど無視しとこ。

犯人は蹴りが顎に入ったし当分起きないから放置でいい。

誰かが警察呼んでるでしょ。


「未亜、大丈夫?怖い思いさせちゃったね」

「う、うん…お姉ちゃんありがとう。それより! お姉ちゃんは怪我してないよね?」

「大丈夫だよー。それより鞄返しに行こうか」

そばに落ちてた鞄を拾い上げる。



鞄をひったくられた女性は反動で転んだようで擦りむいていたが、大きな怪我はないようだった。

「ありがとうございます。なんとお礼を言ったら…」

「お気になさらず、それよりちゃんと傷の手当してくださいね?」

「はいぃ…///」

大丈夫かな?顔真っ赤だけど…。

治癒使えば治してあげられるけど、こっちじゃそうもいかない。ごめんね…。


「お姉ちゃん…もう行こう?鞄返せたし」

「そうだね、では私達はこれで」

「あ、あの! …ありがとうございました」

未亜が引っ張るから手だけ振っておいた。



「お姉ちゃんは本当に怪我してない?」

「大丈夫よ。ナイフなんかで怪我しないから」

「…そうだったね。でも心配はするよ! 私のせいで…」

「未亜は何も悪くないよ。それに、守れたならそれでいいの」

「お姉ちゃん…」



未亜を落ち着かせるため、近くのベンチで少し休ませる。


大丈夫だって言うし、魔力の乱れもないからウィンドウショッピングしつつカフェへ向かう。


お店のオープン時間を少し過ぎたけど大丈夫よね?

ちょっとハプニングもあったけど、うさぎカフェに到着! (アレをちょっとのハプニングで済ますママ…)

だって、あんな奴に時間取られたくないし。 (ティーはママと未亜が無事ならいいのー)

大丈夫よ。ありがとね。 (あーい)


「お姉ちゃん、ティーちゃんと話してた?」

「よくわかったね?トラブルに気がついたみたいで私達の心配してくれたのよ」

「ティーちゃんと話してるときのお姉ちゃんは母性の塊みたいになってるからわかるよ」

なにそれ…。怖い。


「それより未亜、せっかく来たんだから入ろう?」

「うんっ! 貼られてる写真がもう可愛いよ、うさぎさん…」 


外のメニューとウサギの写真を見てから店内へ入る。

「いらっし…え?」

「?」

「いらっしゃいませ! お二人ですか?」

何今の間…

「はい。二人です。空いてますか?」

「もちろん! ご案内しますので、少しお待ちくださいね」

なんか店員さんの反応が…気のせいかな?




案内されたエリアのテーブルの周りには沢山のウサギが。

なのに他の2つのテーブルにはお客がいない。こんな空いてたっけここ…。


触れ合えるように、フローリングにローテーブルと座布団が置かれてる。

「未亜、抱くときは念の為、そこにあるペットシートを膝にひくといいよ」

「分かったよ。うぁ〜可愛い…」

まぁ汚れても魔法で何とでもなるけどね。


ん?この子当然のように膝に登ってきたね?

いいけど…。真っ白でふわふわだぁ。

撫ぜるとそのふわふわな手触りに意識を全部持ってかれたよ。



「ご注文はお決まりですか?」

はっ… しまった決めてない。

未亜も触れ合っててそれどころじゃないみたいだし…。

楽しそうでなにより。


「えっと、オススメを2つお願いします」

「わかりました! お任せください」

お店の人テンション高っ…。




未亜がウサギを離さないままテーブルに食事が届く。

「お食事前に手を洗ってくださいね、あちらに備え付けていますので。こちらタオルです」

「はい、ありがとうございます」

壁際を指さす店員さん。確かに簡易の手洗い場が設置してある。


「未亜、お料理届いたから手を洗って頂きましょう?  聞いてる?」

「ふぇ? はっ…あまりにふわふわで…」

わかるよ。私もさっきなってたから。




食事を始めるとウサギは少し離れてくつろぎだした。

しつけされてるのかな?まさかね…。

「お姉ちゃん、いつの間に注文したの?」

「未亜がウサギを抱いて、だらしなーい顔になってた時?」

「ひどいっ!」

「冗談よ。未亜が可愛かったから邪魔しなかったの」

「もぅ…/// お料理、美味しいね。すごく豪華だし」

そうなんだよね、前も母さんがオススメって頼んでたけど普通にパスタとサラダだったはず。

今日はランチプレートで、色々乗ってて目にも楽しいし、すごく美味しい。

まぁ別に多少高くなってもいいけどね。これだけ美味しいなら文句もないよ。




「食後のデザートになります」

「え?オススメのセットですか?」

「はいっ、こちらの中から好きなケーキを好きなだけお取りください」

大皿に何種類ものケーキが並べられている。

好きなだけって…そんな入らないよ? 

私も未亜も一つずつケーキを選びお皿に載せてもらう。


「追加がありましたらお声掛けください」

「あ、ありがとうございます」


「ケーキも美味しい! お姉ちゃん、連れてきてくれてありがとう」

「よかった。まだ時間あるしゆっくりしていいからね?」

「うんっ、もう少しウサギさんと触れ合いたい」

私はケーキと一緒に出してもらった紅茶を飲む。

オススメが豪華でびっくりしたけど来てよかったよ。




未亜がウサギまみれになって堪能して…お会計。

「お会計、ニ千円になります」

「え? 間違ってませんか?安すぎますよ」

「いえ、オススメがお一人500円ですから、お二人で千円です。

プラスウサギさん達との触れ合い料金がグループで千円ですので、間違ってませんよ」

「あんなに豪華なのに…とても美味しかったです。ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした!」

「またおこしくださーい。ありがとうございました!」




「オーナー良かったのですか?直接会いたかったのでは?」

店の奥から出てくる一人の女性。

「いえ、私が顔を出したらせっかくサービスしたのにバレてしまいます」

「まさか、 美脚の少女、華麗な蹴りでひったくり犯人を捕まえる! って投稿動画で見た人がお店に来ると思わなくってびっくりしましたよ。 顔は隠されてたけどあのキレイな髪は間違いないって思って。そしたら被害者がオーナーだったなんて…」

「ええ、店の運営資金、従業員のお給料も入ったバッグだったから盗られてたらと考えると…」

「よかったです、オーナーにひどい怪我がなくて。私もお給料が守られました!」

「ありがとう、サービスに協力してくれたこともね?」

「いえ、あの動画見て惚れましたもん。カッコよすぎです」

「そうね…」




「お姉ちゃん、すごくいいお店だったね。ウサギさん可愛くて…」

「そうだね、なんかサービスが前と違ってびっくりしたけどね。すごくお得だったし」

未亜が喜ぶならまた連れてきてあげよう。


駅までの帰り道で、またお店を覗きつつ歩く。

「この後どこに行くの?」

「近くに繁華街もあるけど…あんまりよね?」

「うん、のんびりしたいかな」

「なら、駅の近くに公園があるからそこへ行こうか」

「うんっ」


二人でのんびり駅への道を歩く。






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