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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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イメージと心の在り方



地下室のテーブルの上へ、魔道具に使う皆の魔石をそれぞれ準備する。後で魔道具作りたいからね。


道具の準備とかしてたら、全員地下におりてきた。

それじゃあ始めようか。



「魔力の操作や制御っていうのはイメージに左右されるっていうのは前にも話したと思うけど…それはほとんどの魔法に当てはまるの。例えば…」

魔法で出した水を浮かせて、球体やキューブ、動物など色々形を変えて見せる。


「水なら手始めに形を変えるっていうのに向いてると思うよ。流体だからね。 やってみて? イメージが難しかったら実際の物を思い浮かべると楽かな。球体ならボールとかね」


ティーは流石に簡単にやってのけるね。

リアも複雑な形じゃなければ大丈夫みたい。

ユウキは…球体にして浮かすのがギリギリかな?

未亜は、意外と器用にこなしてるね。

「わからないことがあったら聞いてね」


「アスカ、これをどうやったら人化に活かせられるかしら…」

「私が知らない魔法だからはっきりとは言えないけど、魔法ってイコール、イメージなの」

「全部が?」

「私の知る限りそうね、勿論それでどうにもならないことはあるよ?水を炎にしようとかは無理」

「それはそうよね」

「ただ、氷に炎を混ぜて水にはできるよ」

「え?別の魔法なのに!?」

「見ててね」

左手に出した氷の塊に右手で出した炎を纏わせる。

勿論氷は溶けるから水になる。

氷が溶けたら炎を消す。

目の前に水球を浮かべる。


「なにそれ…」

「ドラゴンの人化って、ドラゴンの形になってる魔力の塊を一度純粋な魔力にして、そこから人の姿にしてるんじゃないかな?」 (ティーもそう思うー)


目の前にある水球をドラゴンの形にして、そこへ氷魔法の吹雪を当てて凍らせる。

それをリアの前に置く。

「……すごい。ドラゴンだわ」

「リアは飲み物に氷が入ってて、無くなったの見たことない?」

「あるわ、水になって無くなって……それって…」

「そう。さっき私が出した氷も炎で溶けて水になったの。それをドラゴンの形にして、また凍らせただけ」


「似てるわね…。 でも、それなら私が中途半端に翼とかが残るのは?」

「うーん、多分だけど…ドラゴンっていうと、翼、角、尻尾、鱗って目立つ特徴よね?」

「そうね、それがアイデンティティでもあるわ」

「それが原因だと思うよ」

「どういう事?」


「リアの翼ってすごくきれいよね?」

「…ありがと」

「多分リアは無意識にそういう自分がドラゴンであるっていうアイデンティティを意識しすぎる事でイメージに影響してるんだと思う」

「そんな…じゃあどうしたらいいの?」

「ドラゴンとしてのアイデンティティや矜持って姿を変えて、見えなくなったらそれで無くなってしまうものかな? 国王陛下に話をしてた時のリアはほぼ人の姿だったけど、ドラゴンっていう種族を想う立派なドラゴンでかっこよかったよ?」

「……かいかぶりすぎよ」


「そうかなぁ? んーじゃあ難しいこと言わないよ。リアは私やここにいる皆と一緒に居たくない?」

「一緒にいたいわ! 当たり前よ」

「そう、ならきっと今なら完全な人化ってリアにとって簡単だと思うよ?」

リアには変に理屈を話すよりこっちのがわかりやすいかもしれないね。


「…わかったわ、試してみてもいい?」

「いいよー。ここの高さ足りないかな?広げるから待ってね。 ごめんね、皆。ちょっと部屋を拡張するから気をつけてね」

「わかったよ」 (おー!)

地下を空間拡張で高さ10メートルくらいまで広げる。


「わわっ…部屋が!」

未亜がよろけてユウキに支えられてるね。

「皆大丈夫?」

「姉ちゃん、こっちは平気だから気にしないで続けてー」

「ありがと」


「リア、チョーカーを外して、手に持ってれば貯まってる魔力は使えるからね」

「わかったわ」


リアはチョーカーを外し握る。

淡く青い光を放ちながら大きくなっていく…。

やがて光はドラゴンの姿に変わる。


「ちょっと懐かしいね、その姿」 

「そうね…」

「僕は初めて見たよ! キレイなドラゴンだ」

「だね、ルナリアちゃんキレイ」

「この姿もかわいーの!」

「だね、私も初めて見たときにそう思ったよ。木漏れ日を浴びてキラキラしてたもの」

「褒めても何も出ないわよ!」

照れてるな。 (てれてるー!)


「リア、人の姿になって私達と一緒に居たいって気持ちを込めてみて。それだけで上手くいくよ」

「ほんと?信じていいの?」

「うん。絶対に大丈夫」

「わかったわ」

「ルナリアちゃん、お姉ちゃんの事大好きなんでしょ?」

「ええ。もう離れたくないって思ってるわ」

「ちゃんと人化しないと私が独り占めしちゃうよ?」

「ダメよ!」

「なら頑張って! ルナリアちゃんなら大丈夫!」

「独り占めなんてさせないわ!」

未亜なりの応援なんだろうけど…私の扱いに疑問を感じるよ。 (ママ、しー)

わかってるよ。水差したりしない。 (ティーも参戦したかったけどガマンしたのー)

えらいねー。でいいのかな?これ…。 (〜♪)


淡く青い光を纏い小さく小さくなって…。

光の消えたそこには、完璧な人の姿のリアがいた。

「ほらね、完璧だよ」

「うそ…ホントにできてる。里でどれだけ練習しても無理だったのに…」

自分の姿を確かめるリアに鏡を渡してあげる。

「角もないし、鱗も…アスカ! できたわ!」

「うん、おめでとうリア」

「おめでとう、頑張ったじゃん」

「おめでとー! さすリアー」

「ルナリアちゃんおめでとう。これじゃあお姉ちゃんを独り占めできなくなっちゃったね?」

「させないわよ!」

「ティーもいるのー!」

「いや、姉ちゃんは僕の姉ちゃんでもあるからね?」


多分リアは人とあまり関わりがなかったんじゃないかな。

更に姉のルナティアが、人間界に行ってしまったのも影響してそう。

私達と関わることで人を知り、人であることへの抵抗感がなくなったんだと思う。

ドラゴンである事のプライド。

人でいたいって思う気持ち。

それぞれがバランスの取れた結果だよね、きっと。 (ママの存在が一番おっきーと思うー)

そんなにかな? (ティーも人の姿が好きだからー)

美味しいもの食べれるから? (それだけじゃないもん! ママと一緒だからだよー)

そっかぁ…。ありがとうね。





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