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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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モールへゴー



放課後。ユウキ、美亜と一緒に急いで家に帰る。


結局、奈々に渡せなかった…明日かぁ。意味なくなっちゃうよね。今日じゃないと…。

はぁ…。明日謝ろ。

仕方ないよね、こっちも予定があったもの。


ティーに予め帰る時間を伝えておいたからリアも起きて準備してくれてるはず。



「ただいまー。二人とも早めに着替えてね」

ユウキと未亜にそう伝える。

「わかってる」

「はーい」

と言ってもみんな部屋は2階だし一緒に階段上がるんだけどね…。


ティー達は私の部屋にいると思う。

「ただいま。ティー、リア。準備は…バッチリだね」

「おかえりー! うん! ばっちしー」 

「楽しみだったから早くに準備終わってしまったわ」

「すぐ着替えるね」

服は適当に選んだ。化粧はリングつけるだけでいいし…。


「アスカ、明日でいいからまた魔力操作教えてほしいの」

「いいよー。また訓練しようか」

「ええ。前回のでだいぶイメージかつかめたからもう少しって気がするのよ」

「すごいじゃない。なら明日には上手くできるかもしれないね?」

「そうだといいのだけどね」

「ママがついてればへーきだよー!」

なら私も頑張らないとね。


「よし、準備できたし行こうか。下で二人も待ってると思うし」

「「はーい」」






モールも徒歩で行ける距離ではあるけど、スーパーよりは遠いから急いでるときはバスに乗る。

私やユウキなら走るのが一番速いけど…街を爆走するわけにいかない。


「…勝手に動いてるわ。馬もいないのに…」

「んー魔法で動いてるような物だと思っておいて。説明すると長くなるから」

「わかったわ」

リアは初めてのバスに乗って興味津々。


例によって私達以外には会話が聞こえないようにしてる。

「リア、どんな物を持って行きたいの?」

「それを悩んでるのよ…向こうに無いものだらけだからわからなくて…」

誰に渡したいかによると思うけどね。


「ルナリアちゃんはお母さんと弟のドラゴンに渡したいの?」

「ええ、後は里の人にも何か…バカとう様が迷惑かけたし」

「みんな人の姿になれるの?」

「そうね、弟が生まれるまでは私が一番若いドラゴンだったから…」

数百年ぶりの赤ちゃんかー。本当に揉め事にならなくてよかった。


「人数にもよるけど菓子折りとか?でも、それなら姉ちゃんが作ったほうが美味しいよなぁ」

「アスカはお菓子も作れるの!?」

「ママのお菓子!」

「少しだけならね。ほら、ホットケーキもお菓子みたいなものじゃない?」

「あ…。…甘くて美味しかったわ」

しまった…。思い出させちゃったか。



モールに着いて、スーパーを凌ぐ大きさに呆気にとられたリアは、その後大興奮であちこち見て回った。

お母様には暖かいブランケット。弟ドラゴンにはふわふわのビーズクッションを選んだ。

買うときに持ってるお金が使えない事に気がついて愕然としてたよ。

わかってたし、最初から出すつもりだったから気にしなくていいのに…。

「アスカ…ごめんなさい。手持ちのお金がこっちでは使えないって忘れてたわ」

「そんな事いいから。家族でしょ?私が困ったとき助けてくれたらいいよ」

「わかったわ。 ただアスカが困るの想像できない…」

結構頻繁に困ってるけどね?主に自分のせいでたけど。


里のみんなへは長老達にはお饅頭。比較的若いドラゴン達へはカステラを買った。

「リア、これだけで足りる?」

「ええ…たぶん」

うーん、遠慮してるなこの子。 (うん…)


「ユウキ、私ちょっとお花摘みに行くからみんなをお願い」

「わかったよ。この辺にいるね」

「うん」

急いでお菓子コーナーへ戻り、焼き菓子やゼリーやら追加で何箱か買い込んだ。

帰ったら渡せばいいよね。リアのマジックバッグに入れておけばいい。 (さすママ!)

ドヤァ! (あははっ)



「お待たせ、みんなは他にお買い物よかった?」

「僕はないよ」

「ティーも!」

「未亜は?何かあるなら言っていいからね」

「えっと…服を少しだけ見ていいかな?」

「いいよ、じゃあ行こうか。ティーとリアも何かあったら買っていいからね」



未亜は可愛らしいワンピースを買ってた。良く似合いそうだよ。

リアはスカートを見てたけどまた遠慮するから買って渡した。

ティーには着ぐるみのパジャマを何種類か。着たら絶対かわいいやつ…。 (♪)



「今日は外食します」

「外食?外で食べるの?」

「ルナリアちゃん、ここにはね食べ物のお店もたくさんあるから選ぶの大変かもだよー?」

「姉ちゃん、レストラン街を歩いてみたら?興味示したとこに入れば良くない?」

「そうだね、なら行こうか」



レストラン街は10数件の飲食店が並んでる。ラーメンからお寿司、パスタに色々。

「ティーは何食べたい?」

「リアの食べたいもの!」

微笑ましいわこの二人…。お互い譲り合おうとしてるのよ。

「姉ちゃん、顔」

「え?」

「お姉ちゃん緩みすぎだよー。可愛いのはわかるけど」

だって…あれは無理よ。尊い…。



二人が同時に興味を示したのはくるくる回るお寿司だった。

窓から店内を見て大喜びしてる。

「アスカ、なんでお皿が回ってるの?見てるだけで楽しいわ…」

「すごいー。 いっぱい回ってるのー」

「ここにしようか?回ってる中から好きなの選んで取って食べれるんだよ」

「ここがいいわ! ティーもいい?」

「うんっ! ここがいい!」

決まりだね。

なによ…ユウキも未亜も顔緩んでるじゃない。デレデレよ?


少し待つみたいだから名前を書いて順番待ちの椅子に座る。

うん?ティーは膝の上?わかったよー。抱き上げて抱える。



「アスカ…?」

ん?

げっ! 奈々…。


「ちょっとアスカ! 今、げって顔したよね?」

「気のせいよ…」ふいっ…

「こっち向きなさい。そしてこのちっこいアスカは誰?可愛すぎるんだけど…」

「ティーはティーだよ?」

なんて説明する?妹?弟?どうしよう…


「ティーはしばらくお姉ちゃんのとこにお世話になってるのー」

「しっかりしてて可愛い! 親戚の子?こんなに似るものなのね」

ティー、さすが。機転の速さはピカイチだよ。 (さすティー?)

うん、さすティー! (プリン食べてもいい?)

好きなの食べていいよー! (わーい)


「それより奈々はどうして?奈々の家からは少し遠くない?」

「ほら…私、今日誕生日だから家族でお寿司でもーってね」

「ああ…なるほどね」

あっ…そうだよ。プレゼント…。

奈々が捕まらないし、帰りは急いでたから渡せなかった。

ちょうどよかった…。


「奈々、これ受け取って」

「え?何これ…」

「今日学校で渡したかったんだけど。奈々が走り回ってて…捕まらないから渡しそこねたの」

「プレゼント…?」

「うん、サプライズとか嫌かもだけど受け取って」

「ありがとう…アスカ。嬉しいよ。開けていい?」

「うん」


「わぁ…カッコイイ。どうしたのこれ?売ってるもの…じゃないよね?こんなの見たことない…私の好みど真ん中すぎるもん」

「作った」

「え?」

「だから。授業中や休み時間使って作ったの!」

「…マジで!? アスカのスペックの高さ甘く見てたよ。ありがとう。嬉しすぎるよー!抱きつきたいけど…ティーちゃんがいるから今度にするね」

「喜んでくれたならいいけど、抱きつくのはやめようね?」

「なんでよー」

「奈々、お待たせー。ってお友達?」

「お母さん、お父さん達は?」

「もうすぐ来るわよ。それよりお友達なら紹介してくれないと」

「えー」


「すみません、同じクラスのアスカです。この子は今預かってる…」

「ティーだよー」

「こっちが弟のユウキ、こっちが妹の未亜です。うちにホームステイしてるルナリアです」

それぞれ挨拶をする。リアが若干緊張してるね。


「ご丁寧に…奈々の母です。こんな美人なお友達がいたのなら紹介してくれればいいのにー」

「いやよ! ネタにするじゃない」

「ケチねー」

ネタ?お寿司屋さんだけに!? (ぷぷっ! ママ座布団二枚!)

また変なこと覚えてきたね。 (お昼にやってたー)



奈々のお母さんは女の子同士のそういう漫画を書いてるプロの漫画家さんらしい。

「アスカ、ごめん…たぶん次の漫画にそっくりな子が出てくると思う」

「漫画でしょ?私だってわからないんじゃない?」

「まぁね…、ただモデルにされると嫌かなって」

「うーん…経験がない事はわからないから…なんとも言えないね」

それより…。

奈々のお母さんと未亜が盛り上がってる。


「ねぇ、奈々。うちの妹がファンだとか聞こえたんだけど…」

「私もよ」

「姉として止めたほうがいい?」

「それは無理、やめたほうがいいよ。趣味なんて人それぞれだし…」

「でも年齢制限大丈夫なの?」

「あぁ…一応ギリ全年齢向けだから」

「そうなの?ならいいや」

「気にしてたのそこなの?」

「だって…年齢制限は理由があるものでしょ?だから心配だっただけ」

「過保護だねぇ」

「うるさい」



この数ヶ月後。

アスカそっくりの子と未亜そっくりの子が主役の、ちょっぴりお色気ファンタジー漫画がバカ売れする。

それに気がついたアスカが悶絶することになる。

奈々の母親の漫画家史上最大のヒット作となり、後にアニメ化までする。


なお、その漫画を宝物にしてる子がいる事をアスカが知ることはない。




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