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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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サプライズ



朝から疲れた…。

今日は気分的にみんなバラバラで登校することに。

私被害者だったはずなんだけどなぁ…。


「アスカ〜。あれ?一人なの珍しいね。 さては何かあったな…」

「まぁ色々と…」

「ん?何があったのよ」

「言いたくない」

「そんな事言わずに、お姉さんに話してみなさい。スッキリするかもよ?」

「奈々、同い年じゃない」

「ちっちっち。私は今日からアスカより一つ上なんだよ。お姉さんでしょ?」

「え?じゃあ今日お誕生日じゃない! なんで言ってくれないの?」

「今言った」

「そういう事じゃなくない?」

ティーのくれた記憶にもないからたぶん教えてもらってなかったんだろうな…。


「奈々、私達友達じゃなかったの?」

「友達だよ。マブだよ。親友。アスカは未来の嫁」

「じゃあ、なんでずっとお誕生日教えてくれなかったのよ」

「それは…」


「なに?」

「なんか恥ずかしくて。だって、私のキャラじゃなくない?」

「そんな事無いでしょ! 奈々なら、”今日私お誕生日だからプレゼントちょうだい!” とか」

「ひどくない!? しかも、やたらクオリティの高いモノマネ!」

「まぁ、冗談だけど…言ってくれたらお祝いしたのに」

「そういう、改まってーとか恥ずかしいんだってー。 さらっと、 あ、そうなの?おめでと! とかでいいんだって」

「そういうものかなぁ…」

「私はそうなの! だからさらっと流しといて」

何かそれも悔しいな。ちょっとくらいサプライズしたかったよ。

あ…そうか。今こそあれをする時なんじゃない? (………)


「奈々、ちょっとこっち来て」

「え…何〜?アスカちゃん強引〜。いいよ〜そういうの」

からの、壁ドン!

「お誕生日おめでとう。奈々」

「ひゃう… あ、ありが、と…」

びっくりサプライズ大成功ーかな? (ティーは、しーらないっ)

ティー? (ママ、頑張れー)

何よそれ…。



アスカは忘れてる。自分が目立つことを。

そしてここが通学路だと言うことを。

朝にやって後悔してたことさえも。 (ママはポンコツかわいい…)



サプライズでお祝いしてあげたはずなのに、あれから大人しくなってしまった奈々と教室へ。

普段ならチャイムがなるまで傍にいて騒いでる奈々が大人しい…。

やり過ぎた?それともそんなにサプライズ嫌いだったのかな?

ごめん、奈々。 どうしよう…。

「アスカちゃん! おはよー」

「麻帆、おはよー」

「朝から凄いことになってるわね」

「何が?」

「いえ、何でもないわ。それより奈々…あれ本人よね?」

「うん、大人しいけど奈々だよ。サプライズ嫌いだったのに私が驚かせたから…」

「あー…そういう解釈なのね。アスカちゃんは」

「え?違うの?」

「大丈夫よ、喜んでるからあれでも」

「そうかなぁ?」

「うんうん。そのうちパワーアップして復活するって」

「奈々はラスボスかなんかなの!?」

「それはどっちかと言ったらアスカちゃんでは?」

あ、はい…魔王ですもんね。

って麻帆知らないはずよね!?




麻帆の言うとおり、次の休み時間には元気になってた。

ただ、あちこち走り回ってる。

「ね?元気になったでしょ」

「うん、なんかこっちには来ないけどね」

「それは仕方ないよ。説明責任があるし…」

「なによそれ…記憶にございません。とか言って回ってるの?」

「変な方向へ喧嘩売りに行くのやめなさい」


ん?メール?

ユウキから?未亜も?どうしたんだろ。

二人とも文面はほぼ同じ。

お昼休みに話があるから予定あけといて。か…。まぁなにもないからいいけど。

中庭に行くって返しとく。

「メール?」

「うん、弟と妹からお昼に呼び出し?」

「あぁ…仕方ないわよね」

「?」

「奈々には言っとくわ」

「ありがと」


奈々に形のあるもの渡したいな。

サプライズ嫌いかもだけど…手持ちの素材でネックレス作って渡すくらいいいよね?

少し幸運になるくらいの。

2時限目後の休み時間に人のいない空き教室に行って作った。

授業中に、机の下で魔力ドームを使ってペンダントヘッドの加工だけはしたから後は魔石だけ。

幸運をほんの少し上げるだけの些細なもの。こっちで本格的な魔道具を渡すわけにいかないし。

奈々って緑色好きだったよね。

小さめの緑色の魔石に幸運上昇を刻み、ペンダントヘッドに重ねる。

うん、あの子は可愛いより、カッコイイデザイン好むからこれが良いね。

クロスをモチーフにした剣に、翼をあしらった形にした。小さな魔石がセンターに光る。

小箱に入れて包む。

あとは渡すだけ。喜んでくれるかな…。




そう思ってたのに…結局走り回ってる奈々を捕まえられず、話せないまま昼休み。

中庭の木陰でユウキ達を待つ。話ってなんだろ?

お弁当は朝に渡したし…。週末の予定?

土曜日は未亜とでかけて、日曜はリアを連れて異世界へ。

あっ…ユウキ達がどうするか聞いてなかった! それかぁ…。


「姉ちゃん!」

「お姉ちゃん!」

うわっ…びっくりした。なに?すごい剣幕だけど。

「そんな大きな声で呼ばなくても聞こえるってば」


「ねぇ…未亜姉ちゃん、なんで当の本人はケロッとしてるの?」

「私に聞かないでよ…」

「二人は、お弁当食べないの?」

「食べるけどさ…」


三人でお弁当を広げる。中身は同じだしシェアする訳でもないけどね。

「それで話って?週末の予定の事?二人はどうするの?」

「違うから。それは後でいいよ」

「お姉ちゃん! 朝何したの!?」

朝…って奈々のことかな?


「奈々と登校したよ」

「知ってるよ!? そんなの全校生徒が知ってるよ!」

「ほんと、目を離すとコレだから…姉ちゃん、朝から学校が大騒ぎなの知らないの?」

「?」

「ユウキ君、これガチだよ」

「姉ちゃん、落ち着いて聞いてね」

「うん?」

「今朝から大騒ぎの原因は姉ちゃんだよ。登校中に壁ドンしたでしょ」

「あぁ。うん。 奈々がお誕生日だったのに教えてくれてなかったからね。サプライズに?」

「「……知ってるよ!!」」

耳が早いねぇ。


「それがどうかしたの?」

「いや…どうかした?って、騒ぎになってて平気なの?」

「うん?別に私に影響ないよ?」

「そっか、お姉ちゃんへは誰も何もできないから…」

「規約か! まぁ本人に不都合無いなら良いんだけど、納得いかねぇぇぇ!!」

「お姉ちゃん、私は怒ってるよ?」

「え?」

「ああいうのは誰にでもしたらダメだよ…」

「誰にでもなんてしないよ!?」

親友だし、ちょっとお誕生日のサプライズにって思っただけだし。


二人が私を呼んだのは朝のことを確認したかったからかな?

「日曜の異世界行きはどうするの?」

「僕は行くよ。ただ別行動してもいいかな?ギルドで仕事して鍛えたい」

「いいけど、気をつけてよ?」

「わかってる」

前に渡した薬もそのまま持たせてるし大丈夫だとは思う。


「未亜は?」

「行ってもいい?」

「勿論いいよー。ただ、リアの弟に会いたいっていうのが目的だから、あまり自由はきかないと思うよ」

「それは大丈夫。お姉ちゃんと一緒にいたいだけだし…」

「うん?ならいいけど」

てことはまたみんなで出発だね。

ただ別行動するユウキと連絡取れないのだけ考えないとなぁ。

ティーの分体みたいに連絡手段取れる魔道具…私とユウキの魔力波長を刻んだ魔石をリンクさせれば…。

なんか、いけそうな気がする。


「姉ちゃん、きいてる?」

「え?ごめん。考え事してた。なぁに?」

「今日の放課後の予定だよ」

「えっと、一度家に帰って着替えたらティーとリアを連れてモールに行くよ」


「夜ご飯はどうするの?帰ってからだと遅くならない?」

「せっかくだし、外食しようかなって。リア達に選ばせてあげようかと」

「わかったよー。じゃあお弁当も明日は簡単になっちゃうね」

「そうだね、いざとなったら私がストレージに持ってるし…ユウキも持ってるでしょ?」

「もう無い…」

「え? かなりの量渡してあったよね」

「とっくに食べちゃったよ」

「なら言えばいいのに…」

「最近、姉ちゃん忙しかったし。毎日ご飯もお弁当も作ってくれてるのに」

気を使ったのね。


「じゃあ今度、時間あるときに作るから手伝ってね?」

「わかった。ありがと姉ちゃん」

「私も手伝うよ!」

「未亜姉ちゃんもありがと」





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