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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第二章
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怪談



お昼はティーに言われたとおり、奈々、麻帆と一緒に中庭に来てる。

ここならいつもそれなりの人がいる。中等部、高等部問わずいるから数は多い。

「アスカって最近は屋上行ってたのに珍しいね?」

「暑くなってきたし、ここの木陰のがいいかなって」

「なるほど。てっきり怪談話が怖いのかと」

元から奈々みたいに興味津々でもなかったし。

「屋上って日影が少ないもんね。アスカちゃんの真っ白い肌が焼けちゃうのはよくないよ」

いや、日焼けしないけどね。


「でも、私はこっちで良かったよ。怪談とか苦手だし…」

確かに麻帆は苦手そう…。未亜は大丈夫かな?一応メールはしておいたけど。

怪談なんてなくて、私が転移した光が漏れてたからって。

安心したようなメール来てたし、平気よね。

ユウキに至ってはおおよそわかってたみたいだし…あの弟は優秀すぎて姉として困るよ。


「アスカ、今日もお弁当は手作り?」

「うん、妹と一緒にね。食べる?」

「いいの?じゃあ交換しよー!」

「奈々のはお母さんの手作りでしょうが…」

「そう言う麻帆はどーなのよー」

「私もだけど…」

「同じじゃない!」

「二人とも食べていいから、もめないの」

「「ありがとう!」」

現金な子達だよ…。まぁ二人が騒いでくれたから人目も引けたし結果オーライ。



「ねぇ、アスカ! このクリームコロッケめちゃくちゃ美味しいんだけど! まさかこれも?」

「ん? ああ、昨日の夜ご飯にグラタンしたからその残りでね」

「アスカちゃんのグラタン…このクリームコロッケから予想しても絶対に美味しいよね…」

あまりにもみんなが私の料理を絶賛するから変な効果かかってないか心配になるよ…。

一度不安になって鑑定してみたけど大丈夫だった。品質は高かったけど。


残したホワイトソースを、一口大に小分けにしてから魔法で冷凍させて、衣をつけて揚げただけなんだけどなぁ。

喜んでるからコロッケは二人にあげちゃった。

代わりに卵焼きと唐揚げをもらった。


甘い卵焼きって苦手で自分では作らないけど、たまに食べると美味しいね。 

唐揚げも下味がしっかりついてて美味しい。

奈々と、麻帆のお母さんもお料理上手。


「アスカちゃん、うちにお嫁にこない?」

「ちょっと! 私が先約だから!」

麻帆までなにを言い出すのよ…。しかも奈々に予約された覚えもないから。


「お弁当くらいまた分けてあげるから、変な冗談言わないの」

「マジならいいの?」

なお悪いわ! (ママのご飯は人を狂わせるー)

人聞きの悪いこと言わないでよティー。 (リアも今コロッケ食べてー転げまわってるー)

どういうこと!? (美味しすぎるぅ!! アスカ最高よー! って)

なにしてんのあの子。 (ティーもママのご飯大好きー!)

そっか〜、夜も作るからね。 食べたいものある? (んとね、カレー!)

いいよー。じゃあ材料買ってくよ。 (わーい。テレビでみたのー)

そうなのね、私のだとテレビと違うと思うよ? (ママのがいい!)

わかったよ。楽しみにしててね。 (はーい。ティーのミッションも終わったのー)

ああ、怪談話のね。大丈夫だった? (ばっちし!)

ありがとうね。 (うんっ)


「アスカ、そんな優しい目で食べてる私を見ないで…恥ずかしくなるから」

いや、別に奈々を見てたわけでは…。ティーと話してただけで。


「母性の化身みたいになってたよ、アスカちゃん。 コレは絶対に男の子狂わすわよ…」

「男共にアスカを渡すものですか!」

「そうよね、奈々! 私達が守らないと」

なんの話よ…。

怪談話はティーが何とかしてくれたみたいだし、お弁当食べちゃわないとね。

あまりゆっくりしてたらお昼休み終わっちゃう。



アスカは知らない。

怪談話はエスカレートし、目撃者が増えたことでより大きな話題になっている事を。

ただ、幸いにも中庭でお弁当のシェアする姿を血の涙を流しながら見てた人が多数いたことで、怪談話とアスカの関係は完全に否定されることにはなった。 (さすティー!)

何も知らないアスカは夜ご飯の買い物に思いを馳せていた…。




教室に戻ると朝以上に騒がしい。もうお昼休みも終わるというのに…。

トイレへ行く奈々達と一旦別れたから、一人で席に座って外を眺める。

「今日もでたらしいよ、例のお化け」

「なんで昼間にお化け?」

「でも、身体透けてたって…扉もすり抜けたらしいよ」

「ガチじゃんそれ! ヤバいよ。今までの怪談は噂程度だけど今回のは…」

「うん、もうあのトイレ使えないよ…」

ティー、やりすぎたんじゃないかな!? (それくらいしないとママのいんぱくとには勝てないの)

ティーは私をなんだと思ってるのかな? (さいきょーまおー。超美人の)

元魔王だから! (でも、すてーたすは、まおーのまま…)

確かに…。実質魔王のままなのかな? (まおーのママ! ぷぷっ)

ダジャレじゃないから! (怪談話とママが切り離されたから問題ないのー)

そこはありがとうね。 ただこの騒ぎ大丈夫なのかな。 (人の噂も七十五日) 

また難しい言葉を…。 (学校の図書館で本読んでるから!)

そうなのね。ティーもかなりスペック高いのよね。 (ママの子だし!)

ティーが自分で頑張ったんでしょ?偉いよ。 (えへへー)



「アスカ!!」

びっくりした…奈々か。ティーと話し込んでて気が付かなかった。

あまり普段から探知使うのやなんだよね…。クセついたら普通の人じゃなくなりそうで…。

元魔王が何言ってんだってツッコミは受け付けません。 (……)


「ちょっと聞いてるの?」

「聞こえてるよ奈々。どうせ怪談話の事でしょ」

「知ってたの!?」

「奈々、教室中でこんなに話題になったら聞きたくなくても聞こえるって…私もう怖くて…」

麻帆…なんかごめん。


「アスカちゃん助けて…」

そんな泣きそうになるほど怖いの?ほんとごめん麻帆。元は私の不注意だし…。

精神安定させて落ち着かせてあげるか。

「麻帆、おまじないかけてあげる。怖くなくなるように」

「いいじゃんそれ! アスカのおまじないは本物だよ! 私が保証する」

「なにそれ…。怖くなくなるならお願い」

「わかったよー」

麻帆のおでこに手を当てて魔力を送り安定させる。

魔力波長しか出てないこちらの人も私が見ると乱れていれば分かるからね。

それを安定させてあげる。これでマシになるはず…。


「なんか、今アスカの手光らなかった?」

ヤバっ…抑えた筈なんだけど。奈々ってちょっとカンがいいというか、鋭いの忘れてた。

「そんなわけ無いでしょ?ただのおまじないだよ」

「そうだよね、怪談話に影響され過ぎてるね!」

そう言って笑う奈々。良かったよこの子がちょっとアホの子で。


「そんな残念な子を見るような目で私を見ないでよ! 気のせいなんだってば」

「はいはい…」

顔に出てたか…。


「あれ…さっきまで手が震えてたのに。なんともないよ」

「だから言ったでしょ、アスカのおまじないは効くって」

「うん! ありがとうアスカちゃん」

「いいよー。気休めにでもなったなら良かった」



「おねーちゃーーーん!」

え?この声未亜?

 




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