その話長くなるよね
私の我流レシピで作ったグラタンを、予熱しておいたオーブンに入れてタイマーをセット。
そろそろリアを起こしに行こうかな。話もしなきゃいけないしね。
流石にベッド広げたし落ちてないよね?
なんか不安になり急いで部屋へ行き確認。
「よかった。これで落ちてたらもうベッドを大きくするだけでは無理だったよ…」
「リア、起きて。そろそろご飯だよ?」
「んぅ…アスカ…」
あ、これまずいやつだった。寝ぼけてると…
「アスカーぎゅー」
それくらいならいいけど。
「はいはい、リア〜?ご飯いらないのかな?」
「いる!!」
「おはよ、起きたね?」
「あ…うん。おはよ、アスカ」
これって寝起きがいいのか悪いのか判断に困るわね。
「それと、少し話もあるから聞いてね?」
「それって…お昼にティーが慌ててたやつ?」
「うん、話聞いてるの?」
「話してくれなかったわ。ママにきいてーって言われちゃった」
そっか、気を使ってくれたんだね。ありがとティー。 (さすティー!)
だね。 でもどこで覚えてくるのそういう言葉。 (学校?)
あぁ…なるほど。
もう少し出来上がるまでに時間かかるから、話しを始めようか。
みんなリビングで寛いでるしちょうど良い。リアはまだアクビしてるけど…。
「今日、何があったか話すね、ティーも補足があったらお願い」
「まかされたー!」
お昼に、ティーがお城に残してきた分体から緊急事態って事で呼ばれて、急遽飛んだ事。
「アスカ姉ちゃんの魔法…ってか、ティーそんなことできるの?」
「私も今日初めて知ったの。でもおかけで間に合ったからお手柄だよ」
「ドヤァ!」
原因はドラゴンの襲撃。穀倉地帯で暴れて畑をメチャクチャにしてた事。
「…そんな! 嘘でしょ?みんなそんな事しないわ!」
「でも、事実なの。 で、そのドラゴンって言うのが……リアのお父さんだったの。リアを出せって」
「はぁぁぁ……あのバカとう様ね。 アスカ向こうへ連れてって。潰すわ」
「リア、話はまだ続くから。落ち着いて」
「ええ…わかったわ」
ルナティアが止めてたけど聞く耳持たず、私が話しても聞く耳持たず。
ドラゴンの自分が何故人間に合せて配慮しなければいけないんだって態度だった事。
「なんか、典型的なドラゴンで逆に安心感あるね。今まで倒したドラゴンも会話ができると思ったら、大体そういうのだったし」
「だね、だから私も なら貴方に合わせないよ。って魔法を5割くらいの力で展開したの」
「姉ちゃんの5割って。国が普通に滅ぶレベルでしょ…」
「勿論、使うつもりはなかったよ?威嚇だけ」
「撃てばよかったのよ。そこまでしても反省しないわ。きっと」
怖いことを…実の娘なのよね?
謝るっていうから魔法を消して、邪魔だから人化させた事。
荒らした畑を私が直してる間に、謝るどころかアリアさん達を脅してた事。
「アリアさんを!?私達お世話になったのに…大丈夫だったんだよね?お姉ちゃん!」
「もちろん止めたよ。流石に頭にきて足元から凍らせたよ」
穏便に人化して来れなかったのか、なんで畑を荒らしたりアリアさん達を脅すような事をするのか。
それらに対する答えが全部、俺はドラゴンなんだぞ! そんな態度だったから全身凍らせて解けなくした事。
「アスカ…」
「ごめんね、リアのお父さんなのに…」
「良くやってくれたわ!」
「え?」
「ドラゴンの中でも迷惑な存在ってのが総意なのよ…とう様じゃ無かったら私だって…」
ぇぇ…。
その後でリアのお母様が赤ちゃんのドラゴンを抱いて王城へ謝罪に。
お母様が子育てで疲れて寝てるスキに凶行に及んだらしいという事。
「卵、生まれたのね!! 男の子?女の子? 可愛かった?」
「うん。男の子だって言ってた。小さくて可愛かったよ」
「よかったー。 かあ様大変だったのね…私も出てきちゃったから」
下手したらドラゴンと人との戦いになりかねない! ってドラゴン達も慌てた。
でも、国王陛下はリアやルナティアからドラゴンの話を聞いてたから、今回の事の報復などをして敵対することは絶対にないって約束した事。
「ママがねー畑直したから被害もないって。犯人は氷漬けだしー」
「よかった…。私が話をした事、無駄にならなかったのね…」
「うんー。リアお手柄ー!」
「ありがとティー」
急な事だったしその後は少し話をしただけで帰ってきた事。
「ママね、今あっちでアイドルになってるー?」
「え? ちょっとティー、どういう事!?」
「ふふっ、さすがよアスカ!」
「あぁ…なんとなく想像できたよ僕は」
「お姉ちゃん、ついに…」
ついにじゃないから!
「救国の美少女ー。慈愛の英雄ー。あとねー」
「ティー、お願いやめて…。もう無理だから、許して…」
もう遊びに行けない! (えー。王妃様達待ってるー)
そんなこと言われても…
「アスカ、その氷漬けのどうなったのかしら?」
「お母様がそのまま持ち帰って長老達の判断を仰ぐって」
「そう。ならいいけど」
「でも私しか解けないから、流石にそれは…って思って魔道具をお母様に渡しておいたよ」
「え!? かあ様が解けるの?」
「うん、リアのお父さんだし、流石にあのままにはできなくて」
「多分もう解いてるわよ?」
「え…」
「だって、アレと一緒になったくらいよ?言いくるめられてるわよ」
ついにアレ呼ばわり。 あんなに落ち込んでる感じだったから大丈夫かと思うよね?
「かあ様の唯一の欠点は、見る目がないの、だからあんなヤツと…かあ様が卵生まれるってときも、若いメス追いかけてたクズなのに」
なんか、救いようのないドラゴンなんだけど…。
「ならまた暴れたりするかな?」
「流石にそれはないと思うわ。多分長老達に力を封印されてるわよ。掟だもの」
「掟?」
「ええ、一方的な他種族への敵対行動は一番罪が重いから」
なら安心かな…。 (ママ心配ー?)
うん…もしまたあんな事になったらって思うとね。 (なら見てくるー)
え? ティー! 危ない事はしたらダメよ! (しないよー見るだけ)
ほんとね?気をつけるのよ! 絶対だからね。 (はーい)
「向こうにいるティーの分体が確認に向かってくれたよ」
「ティーはゆーしゅーなので! 後、ママ。おーぶんー。だいぶ前にとまったのー」
「あぁ! 忘れてた」
「そうだよ! お姉ちゃんのグラタン…見てくる!」
台所へ未亜が走っていったよ…楽しみにしてたもんね。ごめんよ。
「これだけいい香りしてるのにね。話に集中しすぎたよ」
タイマーがセットしてあるから焦げたりはしない筈…。
「お姉ちゃん、めちゃくちゃ美味しそう! 早くご飯にしよ?」
台所から未亜の興奮した声がする。
「そうだね、ユウキはお茶お願い。ティーと、リアはフォーク出しといてー」
「わかったよ」
「はーい、ティー行くわよ! アスカのご飯が待ってるわ」
「おー!」
グラタンはみんなに大好評で、また作る約束をしたよ。
あんなに喜んでくれると思わなくて、嬉しくなった。
食後にくつろいでたら膝の上にいるティーが突然下りて…
「ママ、分体から報告ですー」
ピシッと敬礼してて可愛すぎる…。
「ありがと、ティーは大丈夫?」
「うん、へーき。 あのねーまだ氷でカチカチ!」
「そうなの!?」
「リア達のママが、一番怒っててー。愛想尽きたーって」
「マジですか…」
「ママのおかげー。赤ちゃんを心配して色々あげたの」
「ああ! ベビーバスケットとかだね。でもそれって関係あるの?」
「うん、赤ちゃんの心配して色々してくれてー、あんな事したのに助けるための魔道具を信じて託してくれたからー」
「確かに間違ってはないけど」
「その恩を仇で返すことは絶対できないってー。魔道具はね、ちょーろーが管理してるみたいー」
「そっか…私がした事間違ってなかったんだね」
「うんっ!」
「この話、リアにするべきかな?」
「気にしてるからー、話したほうが?」
「だよね、なら一緒に話しに行こ」
「りょーかい!」