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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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異世界を満喫、そして…


3カ月ほどたった。


観光や買い物も楽しんだし、ユリネさんに進められてカジュアルな女性物の服を何着か購入したりもした。女性用の服に慣れちゃった自分がいる。ズボンやハーフパンツがあってよかった。



アリアさんと仲良くなれたと思う。観光であちこち案内してもらったし。


王女様にも会った。

バカ王子と違い王妃様に似た美人さん。

お茶をしたり、聞きたいと言ったので異世界の話などをしてたから仲良くなれたんじゃないかな。


相変わらずユリネさんは有能だけど時々鼻息が荒いのが怖かった。



その後、疲れ果てた様子の王妃様から知らされたのは残念な結果だった。


「本当にごめんなさい。現状どうやっても性別を元に戻すのは難しいの。今一つだけ可能性のある方法としては送還する時の魔法陣に干渉して、身体から魂が抜けたときに性転換の術式が発動するようにする事。くらいかなぁ。でもこれは身体に干渉する物だから魂へ干渉できるかは正直わからないの。元々魂へ直接干渉するような物、今までなかったから…息子も身体へ干渉する事が目的で、魂までってのは考えてなかったみたいでね」


そっかー。うん、そんな気はしてた。


それにこの数カ月で今の身体に馴染んじゃったし、それなりに愛着もできた。かなりの美少女だしね。

戻れたらラッキーくらいでいいやもう。


ユウキにどう説明するかだけだなぁ。


私にもう一度殴られ、壁に刺さり、

王妃様に叱られ魔法陣の解析に王子も協力したらしいが役に立たなかったみたい。


ノリと勢いでそれだけの魔法陣を書いたのだから天才ではあるんだろうけど。

記録も記憶もしてないんだから。

断片的な魔法陣の残滓から解る事には限界があるよね。


「そういう訳でね、今言った方法を試してみない?危険はないから多分…。うまく行かなかったら他にも方法がないか考えてみるし」

細工をした送還魔法陣で帰るって事かな?危険に対して多分って…。

でもそんなこと言ったら召喚そのものが危険だし今更かな。


「あ、心配しないでね。魔法陣解析の経過報告のこともあるし、またこちらに来れるようにコレを用意したから」

そう言うと王妃様はキレイな透明な魔石の嵌ったリングをさしだす。


「これは?」

リングを受け取りながら尋ねる


「装着したらこちらの位置が書き込まれる、転移の魔道具といったとこかな。指輪を付けるとアスカちゃんが滞在してたこの部屋に来れるようになるの。この部屋はアスカちゃん専用にしておくから安心してね」

すごいな、世界を渡る転移魔道具とか。


「ただね、かなりの魔力が必要になるの。常に着けててくれればアスカちゃんの魔力を少しずつ吸収して満タンになったら使えるわよ。自分で魔力を注ぐこともできるけど、相当な魔力が必要よ。正確なアスカちゃんの魔力がわからないからはっきり言えないけど一度使うと一年は使えないと思う」

そうだよね、そんなにぽんぽん世界渡れたら…あぁ、私ぽんぽん渡ってるね。

自分の意思じゃないけど。


「召喚魔法陣と違って、転移だから消費魔力が桁違いなの」

なるほど。送還魔法陣は魂に刻まれている記憶の場所に帰るだけだし、召喚魔法陣は大まかなこと以外はランダム要素が強いもんね。

細かくすればするほど消費魔力は膨れ上がると。道理だね。

「私の魔力ってここに来る前に別の世界で測ったときはーーーーーーくらいなんですけど。魔力の充填にどれくらいかかるかわかります?」


王妃様が崩れ落ちたんだけど…orzになってる王妃様とかいたたまれない。

アリアさんもユリネさんもオロオロしてるし…


「なにそれ…嘘でしょ。私の何十倍?いやそんなレベルじゃ…。もうヤダ…異世界の人怖い」

「なんかすみません」

「3日」

「え?」

「魔力わざわざ注がなくてもリングをつけてれば3日あればその魔道具使えるだけの魔力貯まるよ。意図的に魔力注いだのならものの数十秒ね。すぐに使える」

あ〜うん、なんかごめんなさい。


取り敢えず王妃様に手を貸して立ってもらう。アリアさん達も心配してるし。

「ごめんなさい。それとこのリング、ありがとうございます」

ふぅ〜っとひと呼吸して落ち着いた王妃様は、もう一度送還魔法陣の詳しい説明と転移リングの説明をして私が送還魔法陣への細工に同意したら

「それなら送還魔法陣の準備してくるね〜」と去っていった。



「アスカ様帰ってしまわれるのですね…」

悲しそうにそう言うアリアさん。会おうと思えばすぐ会えそうだけど。

って思ったけど言わないでおく。


暫くは地球でゆっくりしたい。また違う所に呼ばれる可能性も大だけど。

それに、ここへすぐ戻ってきても解析の進展はしないでしょう。

王妃様にプレッシャーかける様な事はしたくない。だから…

「そうですね、でもまた会えますから」

そう言って笑っておく。

アリアさんも「そうですね、またお会いできますよね」って笑い返してくれた。


ん〜今のうちにお世話になった人に挨拶しておこうかな。


ユリネさんに、滞在の許可とかしてくれた王様、は簡単には会えないか…。


王女様はさみしがるかな?何だかんだと話ししたりして仲良くなったしね。

王子は…一応友達ってことになってるから挨拶くらいしようかな。

…殴りたくなるかもだけど。




それから一週間後、王妃様から準備が出来たと知らせがあった。


この一週間、帰るって話したら泣き出した王女様の説得をしたり。


前以上に世話をやこうとするユリネさんに振り回されたり…。


またバカなこと言い出した王子を天井に刺したり。


身内だけで〜と、王様が晩餐会をしてくれたりもしたからお礼も言えたし。


ストレージにあった地球のお菓子やら色々出したらみんな大喜びしてた。


お世話になったお城の人にもお菓子いっぱい配っといた。


このお城でかなりの時間お世話になったなぁ。

なんだろう、もっと長く滞在した世界のが多かったはずだけど…

こんなに帰るのが寂しく感じたのは初めてかもしれない。

良い人達ばっかりだった。うん、また絶対こよう。お菓子とかいっぱいもって。


送還魔法陣に入る。

みんな見送りに来てくれた。


「アスカ様、また絶対に来てくださいね」

泣きながらそう言う王女様とまた来る約束をする。


「離れてても友達なのである」

そう言う王子にこちらから手を差し出す。

びっくりしながらも握り返して握手した王子はちょっと前より落ち着いたかな?


「アスカ様〜! 私もついていきます〜」

とか言ってるユリネさんはアリアさんに捕まってる。


「この3カ月アスカ様の護衛をさせて頂き光栄でした。またお会いしましょう」

ようやく落ち着いたユリネさんとアリアさんとも再開の約束をし、二人にハグされた。

それはもう熱烈な。魅了解けてるよね?


「アスカちゃん、今回は本当にごめんね。でも会えてよかったわ。またいつでも遊びに来て。引き続き魔法陣の解析もしておくから」

結局王妃様の口調戻らなくなったな。涙ぐんでる王妃様とも再会の約束をして無理はしないでと伝える。

優しいハグをされました。


「息子が迷惑をかけたのぅ。だがこの出会いは得難いものであった。またいつでも来てくれ。我が王国はアスカ殿をいつでも歓迎する!」


その言葉が終わるのを待っていたかのように他にも見送りに来てくれていた使用人の人達からも次々と声がかかる。

本当に温かい王国だなぁ…。

きっかけはどうあれ王子にもちょっとは感謝かな。


送還魔法陣が起動し光りだす

「お世話になりました。またきっと会いに…」




最後まで言えないまま意識が途切れ気がついたときには見慣れた家のリビングだった。

ドタドタって音がしてユウキがリビングに駆け込んできた。

「兄ちゃん!」

「だだいまー」

そう返事をしたが目の前のユウキから返事が返ってることはなかった。


珍しく家に帰ってきてた両親も私を見るなり固まった。

その後ろから私の知らない女の子がリビングに来ても、ユウキは固まったままだった。





ブックマーク、いいね を付けて頂いてありがとうございます。

励みになります。

まだまだ続くのでお付き合いいただけたら嬉しいです。

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